イベントレポート

【ジュネーブショー 2018】ピレリ、タイヤの動作状況をドライバーやカーメーカーに伝える新システム「サイバーカー」

タイヤの内圧、温度、溝の深さなどのデータを収集するとともに、ABSやスタビリティ・コントロールを制御

2018年3月6日~18日(現地時間)開催

新システム「サイバーカー」を発表

 ピレリは、スイス ジュネーブで開催されている「第88回 ジュネーブ国際モーターショー」(プレスデー:3月6日~7日、一般公開日:3月8日~18日)で、タイヤとクルマを繋ぐセンサーを実装した新システム「サイバーカー」を発表した。

 サイバーカーは、クルマの走行に重要な情報をオンボードシステムに伝達し、安全なドライビングと性能向上を可能にするシステム。2018年末までに主要なカーメーカーのEV(電気自動車)および従来モデルに向けて市販される。日本市場への導入は未定。

 ピレリのサイバーシステムは、タイヤ内部に配置されたセンサーとそれに繋がるピレリ・クラウドが基盤となる。搭載する2~3gのセンサーで各タイヤの動作状況をモニターし、データをクルマのコントロールユニットに送信。収集されたデータは、サイバーカーの場合はクルマのオンボードシステムとアプリに送られる。ピレリ・サイバーテクノロジー・プラットフォームは個別の伝達システムを持っており、サイバーカーの場合はドライバーとカーメーカーのそれぞれに情報を伝達する。

サイバーカーが収集したデータはクルマのオンボードシステムのほか、アプリにも送信される

 サイバーカーが収集できるデータにはタイヤの内圧、温度、溝の深さのほか、EVにとって重要な情報である垂直荷重も含まれており、クルマの正確な重量を認識することによってバッテリー残量を把握することができ、車載CPUで次の充電までに走行可能な距離を正確に計算することができるという。

 また、サイバーカーはカーメーカーのインタフェースを通じて、垂直荷重、温度、内圧などの標準的なタイヤの動作パラメーターをドライバーに伝達し、内圧の異常などをタイムリーに検知することが可能。トレッドの摩耗状態やタイヤのローテーション時期といった情報により、タイヤメンテナンスが容易になるなどのメリットをもたらすとした。

 加えて、サイバーカーはバレーパーキングやロードサービスなど、個別のドライバーニーズに対応するカーメーカー固有のサービスにアクセスできるほか、ABSやスタビリティ・コントロールを制御する機能も有しており、安全性と性能を改善する重要なデータを供給。サイバーカーを搭載したクルマは、タイヤのIDカードを読み込み、ドライバーの安全性と快適性を高めるためのセットアップを変更できるとしている。

サイバーカーの制御イメージ

 このほか、ピレリブースでは、ピレリのフラグシップストア「PZERO WORLD」の雰囲気を再現する展示を実施。なお、ジュネーブショーでは展示されるスーパーカーのうち60%が「P ZERO」を装着しているとのこと。

編集部:北村友里恵