日下部保雄の悠悠閑閑

元ラリードライバーがカート大会に出てみたら……

チーム写真。左からキムタク、クイーン額賀、エース廣川、私

 ウチの会社では、繁忙期を外してたまにKART大会やGOLF大会を行なったりしている。今年は新型コロナウイルス禍でずーっと暇なので、士気鼓舞もあって思い切ってKART大会に参加することにした。

 KART大会を行なう時はコースを半日借り切ってやることが多いけれど、今年はKARTの名門コース、大井松田カートランド主宰のレンタルカートFESに便乗して、2チーム+1チームで参加した。2時間の耐久レースであり、他の参加者は常連さんばかりで、シッカリKARTを乗りこなすアマチュアばかりだ。

 レンタルカートは4サイクルで200ccぐらいのクラッチ付きKART。KARTには全く素人で、何回か乗ったけど4輪の癖が抜けずに未だに乗りこなせないでいる。

 KART大会参加のアレンジをしてくれた我が社の實方くんからは「練習して他のチームの邪魔にならないようにしてくださいネ」、と言われていたのにもかかわらず、呑気に当日の朝を迎えてしまった。

 4人編成のチームは額賀由利子さんと廣川祐樹くん、木村巧弥くんにボクの4名だ。額賀さんは潮来でカートコースも運営し、ドライバーとしても活躍している姫、廣川くんはKARTのベテランで4輪も経験が深い。木村巧弥くんはあのキムタクとは全く関係なく、ボク同様KARTの素人である。

 豪雨の中で始まった短い練習走行では、当然のごとくグローブから靴の中、そしてレインコートを着ていなかった下半身はずぶぬれになって、気持ちわるいのなんのって……。下から水攻めに遭うのは初めてである。

必死に走るキムタク

 2時間の耐久レースはドライで始まったものの、雨が降ったりとややこしいコンディション。スタートの廣川くんは常連さんの中でもどんどん順位を上げて、自分の持ち時間内で見事トップに躍り出た。さすがだ、よくやった!

 KARTに乗り慣れたクイーン額賀もソツなく滑りやすいコースを走り、順調に消化していく。さすが姫! 難しいコンディションの中を走り切ってボクにつないでくれた。

クイーン額賀の華麗なカーティングスタイル。抜かりなく雨合羽を着ているところはさすがでございます

 3番目の順番はまずは15分乗ることになった。コースインではイエローラインカットをしたらしく、1分のペナルティから始まり、4輪の、しかもFFみたいなドライビングになってしまい、タイヤがグリップするのを待っていて、自分でもダメだなこりゃという感じになってしまった。KARTはデフがないのでこんなドライビラングをしていると、遅いわリズムに乗れないわで、とても競争にならない。他のKARTの走行ラインの邪魔にならないように走るのが精いっぱい。練習しなかったツケが回ってきた。

 いつもはKARTに乗ると結構汗をかくし、横Gで腰や肋骨が痛くなるのだけれど、ウェット路面もあるとはいえ、まったくそんな兆候もうかがえずに、翌日からも痛みは全くない。なんともだらしない走行である。スピンもするし緊張感のないことおびただしい。

KARTはマシンの公平性を保つため、選手交代のたびに前のKARTに乗り換えていく

 もう1回、10分乗ってからトータル25分の自分の乗車が終わって、あまりにひどい走りに、エースの廣川くんはじめ、常連さんの走り方をコースサイドで眺めることにした。観察すると、コーナーの手前からわずかなハンドル操作でリアを流しながら走っていく。ラリードライビングに似ていなくもない。自分のようにコーナーで待っていても曲がってくれないだけでなく、押し出しアンダーになるだけだ。

乗り慣れているカーターは、随分リアを流しています

 ただ、他チームも走る本番中に試してみようという勇気もない。やはり練習あるのみだ。

 ただし、長年サスペンションのあるクルマに馴れ親しんできた身としては、突然走りが閃くとも思えない。でもでもである。KARTと格闘するのは面白く、刺激的に違いない。

 というわけで、4人で臨んだ2時間耐久は13チーム中12位とブービー。不甲斐ない結果になったが、怠惰は身体と心に刺激的でいろいろと勉強になりました。さて、コソ練しなくちゃ!

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。