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第272回:映画『敵』感想と考察

今回は現在公開中の映画『敵』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

筒井康隆が発表した同名小説を映画化したヒューマンドラマ。去年の東京国際映画祭でグランプリを獲得しています。

フランス文学の大学教授だった渡辺儀助(長塚京三)は、妻(黒沢あすか)に先立たれた身で、祖父の代からの家で一人生活。預貯金があと何年持つかを計算しつつ、きたる貯金が底を尽きるXデーに向けて、毎日規則正しい生活を送っていた。しかしある時「敵がやって来る」という謎のメールを受信し、次第に日常生活へも影響を及ぼし始める。

監督は吉田大八。『桐島、部活やめるってよ』(2012年公開)の監督です。ロメロ好きの神木隆之介が頑張る映画。橋本愛タランティーノの話するシーンもあったような…見返してみようかしら。

主演は長塚京三。よく見る方だなと思いますが、具体的に何に出てただろう?何でも映画主演作は12年ぶりだそうなのでバイプレーヤー的なポジションが多いのか。

共演は瀧内久美、河合優実、松尾愉など。おっここにも河合優実が出演しています。TVにドラマにほんと引っ張りだこですね。引っ張りだこで言えば割とちょい役だった中島歩もでしょう。今の邦画界、この二人に頼り過ぎ問題を提唱いきたい。

独居老人、爆ぜる

まず驚きだったのが、上映時間のほとんどがおっさんがご飯を炊いたり麺を茹でたりして飯を食い、歯磨いて洗濯してたまにお酒飲みすぎたり…とかなり丁寧な暮らしをしているシーンばかりである点。これがまぁー飽きずに観ていられるという不思議。少々ユーモアが含まれているのもありますが、ふとした何気ないシーンを豊かに魅せる長塚京三の俳優力もあっての事でしょう。

そんな淡々と丁寧な暮らしをしていくも徐々に迫る「敵」の存在によって綻びが生じ始めます。ずばり言ってしまうと「敵」の正体は「老いる自分」だと受け取れました。現実と妄想の垣根が次第に複雑怪奇になっていく様は、昨今ですと『ファーザー』(2020年公開)が思い出されます。またモノクロ映像という事も相まってか『イレイザー・ヘッド』(1977年公開)なんかも頭を過りました。まぁあれは「老いる自分」ではなく「父親になる自分」への恐怖でしたが。

ともあれ本作で描かれるのはミドルエイジ・クライシス、いやミドルエイジ・クライシスが終了した後にやって来る後期高齢者クライシスでしょうか。少子高齢化社会に独身世帯が増える現代日本を象徴しているかのようで、決して他人事ではないかもしれないと考えると背筋がヒヤリとする作品でした。

まとめ

以上が私の見解です。

この映画、何と言っても飯が美味そう。モノクロの映像なのに画力が強いのなんの。特に序盤の鮭を焼いてるシーンが腹減る。ジュ~って音と共に染み出る魚の脂が…嗚呼日本の朝食。白飯と焼き鮭だけだったので、そこに味噌汁があったら100点でしたね。

ちなみに現在公開中の『劇映画 孤独のグルメ』に美味そうな料理が登場するのは当たり前ですが『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』にも美味しそうなご飯が登場しますから、只今映画館界隈はグルメ祭りが開催中な状態です。こういう話してると腹減ってきた~

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。




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