今回は現在公開中の映画『セプテンバー5』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

イントロダクション
1972年に開催されたミュンヘンオリンピックで発生した人質テロ事件を生中継したTVクルーたちを描いたサスペンスドラマ。
1972年9月5日のミュンヘン。開催中のオリンピックの熱狂を連日生中継するABCスポーツのルーン(ピーター・サースガード)やジェフリー(ジョン・マガロ)を中心としたTVクルーたちは中継のスケジュールを組み放送の準備をしていた。しかし、選手村方面から銃声が響き事態は急変。その銃声は、パレスチナ武装組織「黒い九月」によるイスラエルの選手団を襲うテロ行為の始まりだった。
実質的主役の現場スタッフのまとめるディレクターを演じるのはジョン・マガロ。『パストライブス/再開』(2023年公開)や『ファースト・カウ』(2019年公開)に出演しているそう。うっ…ことごとく見逃している作品。ナチゾンビホラーの『オーヴァーロード』(2018年公開)にも出ているようですが、ワイアット・ラッセルが居たことした覚えてないなぁ。また『エスター』(2009年公開)でお馴染みピーター・サースガードや去年日本で公開した学校サスペンス『ありふれた教室』のレオニー・ベネシュも出演しています。
今こそ観るべき
上記の”○○すべき”みたいな表現は強制的で偉そうなニュアンスがあるので極力避けたいのですが、これはそう言わざるを得ない。国家や人種間での軋轢極まる今だからこそ観ておきたい快作だと感じました。
本作で描かれるのは、当時の西ドイツで開催されたミュンヘン五輪の期間中にイスラエル選手団の宿舎をパレスチナの過激派武装組織「黒い九月」が襲撃したテロ事件。言わずもがな世界最大規模のジュノサイドが行われた地でパレスチナ問題を背景にした事件が起きるというセンシティブな背景をはらんでいます。
そんな事件の生中継を決行するTVスタッフたちの長い1日が描かれます。生中継という事は犯人グループも視聴している可能性もあるわけで果たして放送すべきか否かの状況。またスタッフの中にはユダヤ系、ドイツ系、アラブ系の人々が混在しており、放送室内という密室でピリついた人間関係も見え隠れします。そしてラストには、現代の情報社会における最大の課題であろう嘘か真か?ファクトチェックの在り方にも迫る内容となっています。本当に今の世の中はファクトチェック、裏どりが不十分な情報で溢れていおり、それを鵜吞みにしちゃう人が政治や社会を司る側にも居るんだから困りものです。
こうした様々な問題提起の見られる作品ですが、問題に対するアンサーは示さずあくまでこうした事があったという事実の提示に収めているスタンスもジャーナリズムを扱う映画として良かったと思いました。いやぁー近年だと『SHE SEID /シー・セッド その名を暴け』(2022年公開)なんかもありましたが、ハリウッド系統のジャーナリズム映画はホームラン率が高いです。いや個人的に好きなだけかな?
まとめ
以上が私の見解です。
約90分というタイトな上映時間とドキュメンタリー調のカメラワークも相まって終始サスペンスフルな作品ですが、フィルムを届けるために選手になりすまして選手村を往来していたスタッフが別のTV局のインタビューに捕まるシーンやコーヒー持って来る/来させるのくだり等シリアスな雰囲気の中でもしっかり笑いのポイントを取ってくる手腕もお見事。政治的な作品であっても、観る人を楽しませる事を忘れない精神は映画において大事だと思います。
それと気になったのが、主人公的存在のジェフリーさんの両腕に腕時計を付けるという本田圭佑スタイル。その理由が現地時間と自国の時間を確認するためらしいですが…もしやケイスケホンダ、奇をてらった行動をしていた訳ではなく、理にかなった事をしていたんですかね。金持ちアピールじゃんとか思ってごめんなさい!
という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。