今回は現在公開中の映画『ランニング・マン』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

イントロダクション
スティーブン・キングが1982年に発表した同名小説の映画化。映画化自体はアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『バトルランナー』(1987年公開)から2度目となります。
舞台は富裕層と貧困層の格差が決定的で社会が分断した近未来。ベン・リチャーズ(グレン・パウエル)は、幼い娘の医療費を稼ぐため再就職先を探していた。しかしその強い正義感と反骨心により国から要注意人物に指定をされているため、どこも雇ってくれない。そこで彼は、優勝者に巨額の賞金が与えられるリアリティーショー番組「ランニング・マン」への参加を決意する。その番組は、社会を支配する巨大ネットワーク企業が放送するもので、30日間の命を懸けた逃走劇を繰り広げるデスゲームであった。
監督はエドガー・ライト。英国が誇る天才監督ですね。『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010年公開)や『ベイビー・ドライバー』(2017年公開)、『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』(2021年公開)とオモロい映画しか撮ってないのでは?そう考えるとやはり幻の企画となったライト版『アントマン』は観てみたいですね。
主演は”グレパ”ことグレン・パウエル。『トップガン マーベリック』(2022年公開)で一躍注目を集め、今やオースティン・バトラーと並ぶハリウッドの若手スターといったところでしょう。『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年公開)でエレベーターダクトを登っていたのが懐かしく感じます。そして現在もリマスター版が公開中でまことしやかにブームとなっている『落下の王国』(2008年公開)の主演であるリー・ペイスも出演しているので、この二人目当てで観行く方も結構多いのでは?個人的には『コーダ あいのうた』(2021年公開)のエミリア・ジョーンズが出演してのが嬉しいポイントでした。
スカーフ代よりも薬代を
想像していた以上にシリアスな作品に感じました。シュワ主演の87年度版は楽天的でバカっぽいノリの映画のため、それをエドガー・ライトが調理するとなればオタク趣味全開の痛快エンタメ作品になるかと思っていましたが、そんな雰囲気は鳴りを潜めていました。初っ端から病気の幼い子供を抱えたグレパが再就職を嘆願する様からスタート。病を治すための薬代すら厳しい生活を強いられているのです。87年度版だとヘリコプター内での殴り合いスタートですからね。全く毛色が違います。
それもそのはず民間組織の武装集団が好き放題銃を乱射したり情報の捏造やフェイクニュースが横行したりする描写は、今まさしく米国で起きているような事ばかり。キングの書いたSF小説に悪い意味で時代が追いつてしまった事を意味するのではと思うと、何だかいたたまれない気持ちになってきます。いや、だからこその再映画化だったのかもしれませんね。2024年に「グラディエーター」の続編があったのと同じで“ヒーロー”が求められいるんだろうなと。社会に対してくだらないTV番組やスカーフといった道楽よりも薬というライフラインを充実させろと正々堂々と訴える事ができる”ヒーロー”が。
まとめ
以上が私の見解です。
かたっ苦しいテンション低めな見解となりましたが、観てる間は充分楽しめました。中盤のアパート内での追走劇シーンなんかは流石ライト監督、手堅い。追跡ドローンのカメラをとっ捕まえて「俺を取ってんじゃねーよ!」の凄みも良かったです。っていうかグレパの走り方が完全にトム・クルーズだったのは笑った。あの無駄に躍動感のある走り方が若手に引き継がれるなんてもはや伝統芸能ですね。
そして伝統といえば戸田奈津子の奥義「おっ死ぬ」の連発ですよ。どこかの方言なのかな?だとしても翻訳で使うワードではないよな。
という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。