以下の内容はhttps://captaincinema.hatenablog.com/entry/bestmovie2025_1より取得しました。


第318回:2025年ベスト映画(前編)

2025年もついにがやって参りました。2025年の総決算、ベスト映画を決する時でございます。今年度私が映画館で観た映画は全部で101作品。全タイトルは以下になります。

新作


再上映

Oh No…ついに3桁を突破してしまった。ちなみに去年の鑑賞本数は90本。今年は京都や山口へ旅行をしたり美術館や博物館へ行く事も多かったので鑑賞本数は減少していると思っていたのに逆に増えているという珍事。おまけに読書の冊数も去年より増えてるんですよね。マズいぞぉ、それだけ他人との交流を絶っているという事じゃないか?孤独なサブカルオタク極まれり…

以上、この中から感動と興奮に苛まれた10本を選出し傍若無人にランク付けを実施しようと思います。なお例年通り再上映作品はランキングから除外。配信やDVDなどで鑑賞した作品も含めず、あくまで劇場で鑑賞した新作を対象とします。そして毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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↑今年買ったパンフレットたち。顔の圧が強めですが、グッドデザイン賞は『ロングレッグス』のビニール袋入りパンフ。気味の悪い写真付きなのもポイント高い。

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↑去年のベスト10はこちら

特別賞

ランキングに入る前に今年は特別賞を用意しました。

それが...

「V/H/S」シリーズ4作品

「VHSのテープに記録された世にも恐ろしい映像」というのをコンセプトとしたオムニバスホラーシリーズ。はぁ~観られて本当に嬉しかった。

2013年公開の『V/H/S ネクストレベル』が非常に面白かったので以前から鑑賞を渇望していましたが、長らく日本での視聴が難しい状況。まことしやかに”V/H/S後進国”なんて囁かれたのも束の間、今年の下半期に入って『V/H/S 94』(2021年公開)『V/H/S 99』(2022年公開)『V/H/S 85』(2023年公開)『V/H/S ビヨンド』(2024年公開)の4作品が次々と劇場公開されるというこの洋画冬の時代において有り得ないような奇跡が起きたのです。配給会社と上映してくれた映画館には感謝してもしきれません。

なお、4作品の中で一番好きだったのは『V/H/S ビヨンド』。UFOや異星からの生物が登場するシリーズ初のSFホラー仕様でしたが、1作品としてのまとまりが一番良かったと思えました。さらに1本目の武装警官が乳児攫いの家に突撃を仕掛ける『ザ・レイド』(2011年公開)要素が感じられる”STORK”と3本目の30歳を祝うスカイダイビングが未知との遭遇によって地獄と化す"LIVE AND LET DIVE"がマジ最高。どちらもブレブレで見づらいという事は無い割に畳み掛けるようなスピード感が絶妙。そもそもPOVやファウンドフッテージといった1人称視点の作品を映画館で観ていると酔う事がありますが、このシリーズは平気なのが不思議。それだけ上手くやっているという事なのでしょうか?

さぁあとは米国では今年公開されている『V/H/S/Halloween』が来年上映してくれると万々歳。配給会社さん並びに各映画館運営の皆さま、何卒宜しくお願い致します。

第10位

それではランキングを始めましょう。第10位は...

 

『エディントンへようこそ』

現在も公開中のアリ・アスターの新作ながらあまり評判が聞こえて来ないように思うのは気のせいでしょうか。みんな『ミッドサマー』が好きなだけなのか?

本作はコロナ禍を経て様変わりした社会を映す”今を捉えた映画”。陰謀論や誹謗中傷など観ていてうんざりするような要素も多いですが、映像表現としての面白さの詰まった作品だったと思います。特にコロナ感染を避けるための距離、日本でいうところのソーシャルディスタンスが表現として上手く使われていました。窓越し会話のシーンも多く、人と人との距離というのがよく計算されています。登場キャラクター同士が距離を保っている内は何も起きません。しかしその距離が縮まってしまうと良からぬ惨事が発生するというのが仕掛けとなっていたように感じます。

また終盤の銃撃戦も良かった。暗い大通りを一人銃を担いで走るホアキン・フェニックス。何処から人が飛び出して来るやも分からない緊張感に包まれていますし銃器描写も丁寧で好感が持てました。

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第9位

第9位は...

 

『リアル・ペイン~心の旅~』

自身のルーツを探るために訪れたポーランドを舞台に主人公とその従兄弟が”痛み”と向き合っていくロードムービー。決して派手な映画ではありませんが、妙に印象深く思い返せば個人的に今年一番俳優の演技力に気持ちをもってかれた映画でした。

キーラン・カルキン演じるベンジーさんは、マイペースで横着なところはあれど社交的で誰とでも打ち解けられる憎めないキャラですが、感情の起伏が激しく繊細な部分も持ち合わせています。この複雑な内面の表現が素晴らしかったと思います。そんな彼に翻弄され受け身なポジションのジェシー・アイゼンバーグ演じるデヴィッドさん。彼にも彼なりの葛藤があり、その気持ちが爆発するシーンは胸に迫るものがありました。

監督&主演のジェシー・アイゼンバーグ。もしかしたら今一番勢いのある俳優出身監督かもしれません。全体的に映画の撮り方が上手いと思いますし。

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第8位

第8位は...

 

『見える子ちゃん』

幽霊が見えるようになってしまった女子高生が、幽霊をあえて無視しようと頑張る日常系青春ホラー。以前から日常的に幽霊が見えてしまう主人公がどうにか毎日を過ごすといった映画を観てみたいと思っていた私にとっては、願ったり叶ったりなネタでした。しかもこんなにデカいお土産付きだとは思わなんだ…

とにかく終盤にかけての風呂敷のたたみ方、伏線回収が鮮やかなんですね。ここまで綺麗に収めてしまう作品もかなり珍しいのではないでしょうか。ここ最近の「考察系」みたいな作品って、やたら不自然に伏線を配置しまくる割りにいざ回収となるとたいしたネタじゃなかったりしませんか?しかし本作は目配せの仕方も丁寧で卒がないですし、おまけに涙腺を刺激してくる感動の展開。流石は中村義洋監督、見事な手腕でした。

また主人公を演じた原菜乃華もなかなか良かったです。驚いた時に目がまん丸になる感じは、ホラー作品に映える表情が出来る役者さんだなと思えました。

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第7位

第7位は...

 

『セプテンバー5』

1972年に開催されたミュンヘンオリンピックで発生した武装テロリストによるイスラエル選出団人質事件を生放送したTVクルーたちを描いた実録サスペンス映画。つくづく私はジャーナリズムをテーマにした作品が好きだなと思いました。

今やTVはオールドメディアなんて言われ方をしますが、そうは言っても影響力の大きいメディアである事に変わりはありませんし、そこには本気で戦うジャーナリストたちが居ます。正直、SNSの何処の馬の骨かも分からない人間による真偽不明な情報よりはTVの方がよっぽどマシだと思いますがねぇ…まぁそれはそれとして、生中継をすべきか否かのせめぎ合いやファクトチェックの意義。”伝える事”の責任と使命が放送室という密室で白熱します。本作、密室劇でありお仕事映画的な側面もあり1本で色々な要素を楽しめる作品でした。それで尺は90分程度ですよ、よくまとまってます。

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第6位

第6位は...

 

『ゴーストキラー』

殺し屋の幽霊が憑り付いてしまった女子大学生がその霊力を利用して裏社会を打破するアクション映画。今年は髙石あかりさんに完膚なきまでに心を持ってかれました。現在放送中の連続テレビ小説『ばけばけ』もしっかり見させて貰っておりますし。あれも良いドラマですね。急速に変わりゆく時代に取り残された人々の温かい日常。照明が美しくてうっとりしてしまうシーンも多々あります。っと朝ドラの話は置いておいて、本作が髙石さん単独初主演映画。それがこんな一風変わったアクション映画というのも個人的には好感度爆上がりでございました。

何と言っても今年のブロマンス大賞の作品。主人公が女子大学生なのにです。主人公の物語としては女性を虐げる男社会を成敗するフェミニズム路線ではありますが、幽霊となった殺し屋とその相棒の絆を描いたブロマンス路線も平行して展開いきます。真逆ともいえそうなテーマが上手いこと嚙み合っている点が斬新で面白かったです。

それにアクションシーンが非常にハイレベル。スピードとメリハリのある格闘戦は今の邦画アクションの最前線を担う存在だと思います。園村健介&阪元裕吾やっぱり強いなぁ。

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第5位

ランキングも半分まで来ました。第5位は...

 

『旅と日々』

行き詰まりを感じた脚本家が一人旅に出る今年のベストロードムービー。9位の『リアル・ペイン~心の旅~』もロードムービーでしたが、こちらに軍配を挙げさせて頂きます。

でもなんでしょう。言葉では形容しにくい作品なんですよね。特に何か大きな事が起こるでもなくゆったりとした時間が過ぎる映画で、具体的に何処がどう良かったのかを説明するのが難しいのです。まぁ感覚的にしっくり来るんだと思います。なんせ三宅唱監督の作品は『ケイコ目を澄ませて』(2022年公開)と『夜明けのすべて』(2024年公開)に続いて3作品連続でのランクインとなりましたので。俳優陣が皆自然体で力んだ感じがしないのも観ていて落ち着くのかもしれません。シム・ウンギョンに河合優実も良かったですが、堤真一がマジで東北訛りのじいさんにしか見えなかったのが結構な衝撃。途中まで気付けなかったし。

さらに観た後でついロケ地を検索したくなる映画でもありました。前半の夏の島は東京の神津島で後半は山形県庄内地方の温泉地が舞台だったよう。どっちも行きたいですが、でもやっぱり温泉かなぁ~。温泉宿に一人で泊まるのってめちゃ贅沢な時間の使い方だと思うんですよね。

第4位

第4位は...

 

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦

世間的にも結構話題になったと思いますが、今年は九龍城砦ブームだったようで本屋に行けば本作の原作漫画や九龍城砦についての書籍や写真集を置いたコーナーをよく見ました。なんか邦画でも九龍城砦を舞台にした作品がありましたよね?

訳あって黒社会に狙われた主人公が逃げ込んだ先が九龍城砦と呼ばれる要塞地区。そこを取り仕切る男たちとの友情と人情が描かれるザ・マンガ映画です。”マンガ映画”と表現しただけあって、無理のある展開やステレオタイプなキャラ造形と”マンガっぽさ”が過ぎるようにも思えましたが、久しぶりに興奮で涙を流す作品となりました。だってあの終盤はズルいでしょ、信一がバイクで颯爽と現れた時には、分かっちゃいても「うぉぉ!」と声が出るに決まってます。九龍城砦を再現したセットの作り込みやキャラごとに個性のあるアクションシーンの出来も良く、きっと誰が観ても楽しめる作品になっていると思います。硬直!

でも笑い過ぎて涙が出るのと同じで人間って興奮のし過ぎでも涙が出る生き物なんですよね。恐らく私は悲しいや切ない気持ちといったオーソドックスな落涙より興奮泣きしてる方が多い気がします。幸せなこった。

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第3位

それではここからはベスト3。3位に輝いたのは...

 

『ワン・バトル・アフター・アナザー』

極左と極右の闘争の中で繰り広げる親子の絆を描いたチェイスムービー。来年の米国アカデミー賞に向けた賞レースを賑わす台風の目となりつつある作品です。こちらも『エディントンへようこそ』同様、”今を捉えた映画”だと思いますが、こちらの方がエンタメ要素が高く寧ろ今年一番のエンタメ作品だったと思います。純粋にオモロかった。それを監督しているのがPTA(ポール・トーマス・アンダーソン)というのが驚き。こんな映画も撮れちゃうのかぁ…さすがは天才です。

現代のパスワードに雁字搦めな社会を風刺したやり取りや如何にもといった感じの秘密結社所属のおじさんたちのトーク、唾で髪をセットするキモいショーン・ペンなどシニカルな笑いの連続であっという間の3時間。特に注目は終盤のカーチェイス。恐らくマネをする後発作品が今後出てると思われる画期的なシーンでした。まさか長距離でカーチェイスが成立するとは誰が予想をした事か。そりゃスピルバーグも舌を巻くはなぁ。

そして改めて言いたい。レオナルド・ディカプリオは近年こそ一番脂が乗って魅力的かも。『タイタニック』(1997年公開)でキャリアが止まってるなんて事は絶対に無いからな!

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第2位

第2位、堂々の準優勝作品は...

 

『キムズビデオ』

今年はビデオテープにまつわる映画が多く公開された年でした。特別賞に選出した「V/H/S」シリーズはビデオカメラによるファウンドフッテージがテーマとなっていますし『テレビの中に入りたい』では好きな深夜の番組をビデオテープに録画するといった事を行っていましたし、『ミッショング・チャイルド・ビデオテープ』や『シェルビー・オークス』もビデオテープが事の発端として始まる作品でした。さらにテアトルグループの映画館ではグッズコーナーに往年の名作のビデオテープが販売されていたりしました。欲しいけどさぁ…再生できる環境がなぁ…。そんなVSH再来の年を象徴するのが本作だったと思います。

80年代後半にニューヨークの一角にオープンしたレンタルビデオ店「キムズビデオ」。そこは5万本を超える貴重…いや珍妙な映画作品を取り揃えており、映画オタクたちの間で伝説と化した店。あのジョエル&イーサン・コーエン監督も常連で延滞金が溜まっていたとか。そんなビデオ店の足跡を追ったドキュメンタリー作品になります。

とにかく信じられない話が次から次へと出て来ます。終盤なんかは嘘としか思えない”救出作戦”が慣行されます。いやだってあれはいくら何でも犯罪じゃないですか?w しかしその胡散臭さがこの作品の魅力だと思いました。何処までが実話で何処から映画の嘘なのか?”ホントかよ!”と心の中でツッコミながらラストの着地点にホッとさせらる感情に大満足です。

だから逆にパンフレットがどこもかしこも売り切れで獲得出来なくて良かったのかも。何処までが真実が書かれているわけでしょ?知らない方が良い事もあるんだ。

第1位

それでは1位の発表になります。

群雄割拠の過酷な2025年を制した栄えある作品は...

 

『サブスタンス』

おぉぉ承認欲求の怪物 モンストロ・エリザスーが王座に輝きました。おめでとう!

こうして100本を超える作品数を観ていると肝心になってくるのは、しっかり記憶に残っているかという事になってきます。その脳裏に焼き付く大きな要因となるのが圧倒的なビジュアルです。今年は本作に並ぶレベルのビジュアルセンスを感じた作品はありませんでした。というか頭一つズバ抜けちゃってましたね。首尾一貫とにかく全てのシーンが過剰演出によりパワフルです。随所をビビットなカラーで塗りたくり、エログロはこれでもかと盛り込む。デニス・クエイドはアレルギーが心配になるほどエビを食わされていました。この世界観を生み出すための美術やメイク、衣装は本当に素晴らしかったです。

しかしこの過剰演出で描き出されるのは一人の女性の孤独でした。友人も恋人も家族も居なければ、これといった趣味も無く一人TVを眺める事しかやる事のない中年女性の姿はミドルエイジクライシスや社会的孤立という現代的なテーマを彷彿とさせます。そんな女性を演じ切ったデミ・ムーアにも拍手です。中盤の鏡の前で何度もメイクを直すシーンは思い出すだけで胸に迫るものがある名演でした。過激なルックとは裏腹に物悲しさが漂う大傑作ボディホラー。今年のベスト映画で申し分なしです。

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まとめ

以上、全細胞を奮い立たせ死力を尽くして選び抜いた珠玉の10作品でした。

今年も1~3位は手堅くすんなり決められましたが、4位以降は混戦。直前までちまちま入れ替えてました。その他バレリーナ:The World of John Wick』『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』『ブラックフォン2』、『フレイムユニオン 最強殺し屋伝説国岡私闘編』も大変素晴らしい作品でしたが、惜しくもランクインは成らず。これらの作品も未見の方は観るべし!

という事で例年通り長尺となりましたので一旦閉店ガラガラ。後編は印象に残った役者やアクション、私的微妙作品について等を語ります。それではありがとうございました。




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