以下の内容はhttps://captaincinema.hatenablog.com/entry/bestmovie2024_1より取得しました。


第266回:2024年ベスト映画(前編)

ついにこの時がやって参りました。2024年の総決算、ベスト映画を決する季節でございます。今年度私が映画館で観た映画は全部で90作品。全タイトルは以下になります。

新作

再上映

おやっ若干減った?去年が95作品だったので、5作品減少しました。まぁ誤差程度の変動と言われればそれまでですが、これはきっと物価高の影響で観に行くのを渋った作品が幾つかあった事の現れ。しょうがねーなー。

それでは、この中から特に感動と興奮に苛まれた10本を選出し傍若無人にランク付けをしていこうと思います。なお、例年通り再上映作品はランキングから除外とし、あくまで劇場公開の新作を対象とします。そして毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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↑今年買ったパンフレットたち、あんまり買わなかったなぁ。ここにも物価高が影を差します。

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↑去年の内容はこちら。

 

第10位

それではランキングに参ります。第10位は...

『ザ・バイクライダーズ』

バイク好きたちの集まりが何時しかバイガーギャングへと変貌していく様を描いたドラマ作品。男らしさを振り撒く事で保てるものの限界と強きアメリカの終焉が呼応するかのようなエモーショナルな映画でした。

そんな贅沢なエモーショナルさを醸しているのは俳優たちの素晴らしいアンサンブル。今年一番の俳優たちの演技で魅せる役者映画だったと思います。オースティン・バトラーは某SF映画にて白塗りでナイフペロペロより断然魅力的じゃないですか!スターの色気が爆発してました。さらに「私は~」ではなく「アタイはねぇ~」な喋り方のおかげで、終始誰だか判別できなかったジョディ・カマー。当時の時代感を彷彿とさせるその成りきり具合が凄まじい。そしてトム・ハーディ。久々にスクリーンで輝きを放つトムハを見た気がしました。哀愁を身に纏いガニ股でノソノソと歩く姿に何だか涙が出そうでした。その他、ボイド・ホルブルックマイケル・シャノンノーマン・リーダスと渋いメンツが勢揃い。キャスティングに拍手です。

第9位

第9位は...

『哀れなる者たち』

一人の女性のファンタジックで力強い冒険譚。女性が閉鎖的な空間から解放され、様々な人や事象に触れて一人の人間として成長していくという多くのフェミニズム映画で見られるストーリーでしたが、これ自体は典型的。しかしベタだからこそ心に響くものがあります。いやシンプルに私が好きな物語展開なのかも。

そしてスチームパンクで独創的な世界観を形成するその衣装や風景のデザインが冴えており、明らかに衣装やセットといった美術的観点にお金を掛けているのが分かりますし、この世界観を演出する地盤がしっかりしていると演者にコスプレ感が出ずリッチな見た目になります。つくづく映画やドラマといった実写作品はセットや美術に制作費の多くを宛がうべきだと思えてきます。近々でいえば毎週日曜に放送していたTBSのドラマ『海に眠るダイヤモンド』なんかもセットにお金をかけているのが明白で、なかなかのルックに仕上がっていて良かったですもんね。

ちなみにこちら観直そうと思ってTSUTAYAに行ったのですが何と取り扱いがありませんでした。DVD自体の販売はされているようですが、レンタル用のリリースはなし。こんなところにもレンタル店の衰退が滲み出る哀しみです。

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第8位

第8位は...

『チェイン・リアクションズ』

こちらは今年の東京国際映画祭で鑑賞した作品。毎度映画祭で観た作品は除外してましたが、これはそうはいかん。ホラー映画『悪魔のいけにえ』(1974年公開)がなぜ今尚多くの人々を魅了し続けるのかに迫るフィルムドキュメンタリーです。

私、U-NEXTで『ヒストリー・オブ・ホラー』というホラー映画にフォーカスを当てたフィルムドキュメンタリーのシリーズを観ていた影響から、多くのホラー作品に触れた1年となりました。そんな最中で観た事もあり今年を代表する1本となったのは間違いありません。

一般的な感覚で見るとホラー映画は、恐怖やエログロを見せ物にする低俗なものとして捉える人も多いでしょう。確かにそうした作品は数多あります。しかし『悪魔のいけにえ』は一味も二味も異なります。そこには狂気を超えた美が映し出されているのです。これが多くの人を魅了する所以。そんな気付きを再発見できる良ドキュメンタリーでした。これは映画祭限定公開じゃ勿体ない。全国の映画館さん、一般公開を是非ともご検討を!

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第7位

第7位は...

『夜明けのすべて』

PMSの女性とパニック障害の男性が織りなす人と人との助け合いを描いたヒューマンドラマ。今年最も優しさに溢れた映画だったかと思います。いや私だってチェーンソー男とか銃撃戦ばかりが心に沁みる訳じゃありませんよ~。

本作で描かれる「相互理解が難しくても助け合う事は出来る」というシンプルながら説得力あるテーマは、現代人にとって最も大事な考え方かもしれません。やれ「価値観のアップデート」だの「多様な社会を実現」とか御託を並べるよりも、まずは困っている人に手を差し伸べましょう。自戒の念の込めて再認識させられました。

という説教臭い話は抜きに、純粋に観終わった後に”良い映画だったなぁ~”としみじみ思える作品。この作品によって私の中での三宅唱監督は安心安全の証となりました。監督の前作『ケイコ目を澄ませて』もその年のベストに選出してましたし、今後も私のランキングを賑やかにする監督の一人であり続けるでしょう。

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第6位

第6位は...

『チャレンジャーズ』

3人のテニスプレイヤーの10年以上に渡るスポ根三角関係を描いた映画。今年の世の中は、いや世間は毎年スポーツニュースの話題で持ち切りになりますが、個人的に今年一番盛り上がったスポーツ案件はこちらになります。

愛する/愛されるのは強い奴だけ!弱肉強食が如実なスポーツ界ならではなのか野性的で残酷な恋愛ドラマが炸裂。3者が織りなすラリーは何とも下世話で下らない。でもそれが面白く見えるのが映画の醍醐味の一つです。

そして何と言っても大興奮間違いなしのラスト。あんなトリッキーな映像は観た事ありませんでしたし、それでいてスポ根らしい激アツ展開になるなんて…ルカ・グァダニーノ監督、私の中で評価がうなぎ登りです。おかげさまで来年公開予定の『Queer』も楽しみになりましたし、先述のオースティン・バトラーを主演に迎えた『アメリカン・サイコ』(2000年公開)のリメイク版も今から期待大ちゃんです。

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第5位

第5位は...

『ロボット・ドリームス』

NYを舞台に孤独な犬とそこにやって来たロボットを描くアニメーション映画。

私の中では数年に1度ぐらいの確率で遭遇するあまり感想を語りたくない映画。心にそっと閉まって大事にしたくさせる作品でした。そんな訳でブログで取り上げる事もしなったのですが、ランキングに出すからには多少触れないとなぁ…。

最大の魅力は何といっても犬とロボットの関係性です。ある時は友人関係に見え、またある時は恋愛関係にも感じ取れる多種多様な描写。性別や年齢といった履歴書的な要素と台詞を削いだ事で成し得たであろう多面的で豊かな人物描写に心をガッツリ掴まれました。こうした丁寧なキャラ描写があるからこそラストがめちゃくちゃ切ない。Earth,Wind & Fireの「September」といえば『ナイトミュージアム』(2006年公開)か阿部慎之助でしたが、この映画がその座を搔っ攫いました。

第4位

第4位は...

『ベイビーわるきゅーれ ナイス・デイズ』

殺し屋女子2人組を主役にしたアクションシリーズ。今年の秋は、本作に加えてTVドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』の放送、そして主演の髙石あかりが朝ドラのヒロインに決定と”べビわる”旋風が起こりました。

1作目の時点では考えられないぐらい大きなシリーズとなった映画3作目は、前2作以上にストイックな仕上がりとなっており、凄まじいアクションシーンの数々に舌を巻きます。邦画アクションがイマイチというイメージの風潮は終わったのでしょう。才能ある作り手たちが本気で面白さを追求をすれば撮れるのだと思います。

また、個人的に好印象なポイントは第5位に挙げた『ロボット・ドリームス』と同様、同じキャラクターから多面的な関係性を感じる事が出来る点です。仕事をする上での良きバディでありダウナーなやり取りをする親友。時には恋愛的な関係性にも見えてくる描写もあります。”この人とこの人はこの関係”といった枠をあえて取り払った人物描写とは表現の幅を豊かにすると思いますし、そうした作品がどんどん増えて欲しいものです。

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第3位

ここからはトップ3。見事な銅メダルに輝いた作品は...

 

 

『Chime』

今年は『蛇の道』のリメイクと『Cloud/クラウド』を含め黒沢清監督の新作が3本も拝める稀有な年となりましたが、中でも素晴らしかったのはこの45分間の短編作品です。

とにかく序盤から黒沢作品らしい不気味さが天井越え。入り組んだダクトに電車の通過によって乱反射する陽ざし。均一が取れ、妙に小奇麗な料理教室…。何の変哲もないはずの光景が何故か薄気味悪い。あぁ~これですよ、これこれ!ずっとこの調子なので鑑賞中は息が詰まるような感覚に苛まれます。また主演の吉岡睦男が凄い。ヒョロっとした身長でスタスタを歩くその様だけで黒沢作品の画を創り出す。『Cloud/クラウド』にも出演してましたが非常に独特で素晴らしい世界観を持った役者さんだと思いました。

唯一欠点を付けるなら尺が短いという事。45分?いやいや2時間はこの世界に溺れていたかったですよ。でもそれをやったら恐らく気が狂ってしまう…用法用量には注意したい1本です。

第2位

惜しくも、いや堂々の準優勝作品は...

 

 

『ソウルの春』

1979年12月12日に韓国で発生した粛軍クーデタに基づいたミリタリー群像劇。

今年の映画ニュースについての記事をアップした直後ぐらいでしょうか。まさかのユン・ソンニョル大統領による戒厳令が発令されるとんでもない事態が起きました。しかし韓国国民は屈しませんでしたね。即刻デモを展開し、軍が国会を占拠する事を遅らせたのが結果的に戒厳令解除の採決に繋がった訳ですから大したもの。国の主権がしっかりと国民にある事の証明だと思います。ってか一国の主導者がYouTubeの影響を受けてるって世も末かよ…。

この政治的な動きにより奇しくもタイムリーなネタとなった本作ですが、決してお堅いポリティカルサスペンスではありません。蓋を開けてみれば、権力に憑りつかれたおっさん率いる派閥vsキレるととんでもない事をやり出すヤバいおっさんサイドの集団抗争映画。アプローチがヤクザ映画っぽいド直球なエンタメ作品に仕上っています。これは天晴。

また、登場キャラは多いのに交通整理がしっかりされている点も評価ポイントです。ある人物が「○○部隊の~が…」みたいな会話があると、次のシーンにはその会話に登場した○○部隊の方が登場。こんな形で進行していくので案外スムーズに観られます。

役者陣のメンツの濃さや名台詞の数々と見所満載。他人から「なんか最近面白い映画ある?」と聞かれた時にはうってつけな作品だと思います。

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第1位

それでは1位の発表。

過酷な2024年を制した栄えある作品は...

 

 

『マッドマックス:フュリオサ』

イエ~イ!

やっ、もうこれはねぇ、仕方ない。依怙贔屓と言われても構いません。確かに依怙贔屓ですもんw つまり実質1位は『ソウルの春』になるって訳ですが…

本ブログでは何度も話をしてるのでアレですが、私がどれだけこの作品の公開を待ち望んでいた事か。これを観るまでは健康的で文化的な模範市民として何が何でも生きるんだというマインドでやってきましたから。正直、鑑賞1回目は少し混乱もありました。5~6年以上期待し続けただけの興奮はあったのか?と。しかし「マッドマックス」シリーズは作品ごとにテイストが異なるもの。1作目はインディーズホラー、2作目は近未来バイオレンスというジャンルの確立、3作目は80’Sなアドベンチャー、4作目は最高純度のアクション、そして今作5作目は壮大な叙事詩です。同じような世界観を保つ事でシリーズの体裁を取りつつ、様々な物語の語り方を模索する稀有なシリーズなのです。そう考えると今回も"やってくれた!"と思いますし、次はどんな語り口でアプローチをしてくるのか期待せざるを得ません。

そして何よりあの唯一無二の世界観がスクリーンで拝めるという時点で私の中では1000点を叩き出してしまっています。そんな世界観を構築しているのはやはりセットや衣装、メイクといった美術の賜物だと思います。9位の『哀れなる者たち』でも述べた通り美術がしっかりしている作品はリッチな仕上がりに見えます。「神は細部に宿る」なんて言葉もありますし、映画の神は細部に宿っているのかもしれません。魅力的な登場キャラたちも中盤のチェイスシーンの圧倒的描写力もやはり超一級。文句なしで2024年度の王座に君臨です。

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まとめ

以上、脳の全シナプスに喝を入れて選び抜いた珠玉の10作品でした。1位から4位までは割とスパッと決まりましたが、後の5~10位が混戦。なかなか苦労したぜ(汗)。

その他ゴジラ×コング 新たなる帝国』『密輸 1970』『アイアンクロー』『どうすればよかったか?』も大変素晴らしい作品でしたが、惜しくもランクインさせる事が叶わず。これらもオススメですから未見の方は観てね!

という事で例年通り長尺となって来ましたので一旦閉店ガラガラ。後編は象に残った役者やアクション、頭を抱えた作品についてを盛大に語ります。それではありがとうございました。




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