今回は現在公開中の映画『リアル・ペイン~心の旅~』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

イントロダクション
今年の米国アカデミー賞で2部門ノミネートを果たしているロードムービー。
ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)と従兄弟のベンジー(キーラン・カルキン)。しばらく疎遠となっていた2人は亡くなった祖母の遺言でルーツがあるポーランドへのツアー旅行に参加することで再会を果たす。正反対の性格の2人は様々な騒動を巻き起こしながらもツアーの参加者たちと交流を深めていき、やがてベンジーが抱える痛みにも触れていく。
監督&主演はジェシー・アイゼンバーグ。監督作品としては、去年日本で公開した『僕らの世界が交わるまで』の2作品目です。あれはKing Gunのドームツアーの関係で名古屋に1泊2日で行った際にミニシアターで観たなぁ、懐かしい。出演作品としては、やはり『ソーシャル・ネットワーク』(2010年公開)が代表作しょうか。謎の空手映画『恐怖のセンセイ』(2019年公開)がなかなか面白いですよ。
そしてもう一人の主役がキーラン・カルキン。『ホーム・アローン』(1990年公開)のマコーレ・カルキンの弟さんで、実は出演もしているらしい。先に言ってしまうと本作はこの方の演技があって成立していたと思います。素晴らしかった。
痛みと共に
ユダヤ人とポーランドというワードを聞けばもうお分かりでしょう。主人公の2人の祖母というのはナチスドイツによるユダヤ人迫害から国を追われてアメリカ移り住んだ経緯があり、その先祖が住んだ家を訪ねる事がこのロードムービーが目指す場所となります。無論、道中には強制収容所を巡るシーンが登場。ここでの演出はお見事でしたね。引きのカメラと無音とガイドによる少々の説明のみの映像。観客は登場人物であるツアー客と共に強制収容所を巡っているかのような臨場感を覚えることになります。で、何と言ってもあの山積みの靴ですよ。去年公開の『関心領域』でも似たシーンがありましたが、あれは何度観たって打ちひしがれる。思い出すだけで息が詰まりそうです。
そんな歴史的な大きい痛みと同時進行で展開するのがキーラン・カルキン演じるベンジーさんの心の痛みです。ベンジーさん、他人構わずマイペースなところはあれど社交的で憎めないイイ奴。しかし感情の起伏が激しく、非常に傷つき易い性格をしています。明確な理由は語られませんが、恐らくそれが影響したのか過去にある騒動を起こしている事が明かされいきます。ホロコーストに比べると一個人の小さな痛み。こことの向き合い方にも迫っているのです。
世界全体で抱える大きな痛みと個人で抱える小さな痛みの対比。大なり小なり世界には様々な痛みや悲しみが溢れています。それらとどう向き合うべきなのか?常に向き合っていられる程人間強くは出来ていませんから、向き合うべき時だけで良いから目を逸らさず全身全霊で受け止めるというのが大事なのかもしれません。
まとめ
以上が私の見解です。
良い映画でした。しかし劇中どうしても頭を過る問題が…それはジュノサイドを経験したはずの民族が成す国家による暴挙です。
イスラエルによるガザ地区への軍事攻撃は、現在は停戦をしているもののジュノサイドと呼んでも過言ではない程の破壊と命を奪いました。悲しい歴史は教訓として活かされる事がないのか?きっとこの映画の作り手たちも同じ思いではないかと。非常に複雑です。しかもよりによってどっかの国の大統領は”自分たちが管理すれば~”と所有発言をかますトンチキ具合。人々が住み営んできた場所をまるで物のように扱う姿勢に対し心底軽蔑します。
あぁーまたアイツの話しちゃったよ、ヤダヤダ。という事もこの辺でお開きです。ありがとうございました。