今回は現在公開中の映画『ブルータリスト』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

イントロダクション
去年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞し今年の米国アカデミー賞では作品賞を含む10部門にノミネートされたドラマ作品。
ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)は第2次世界大戦下のホロコーストから逃れるためブダペストからアメリカへ渡ったものの妻(フェリシティ・ジョーンズ)と姪(ラフィー・キャシディ)と生き別れてしまう。移住先のペンシルベニアで妻と姪の到着を待ちわびる中、実業家のハリソン(ガイ・ピアース)と出会い、その才能を見込まれて仕事の依頼をされるようになるのだが…。
監督はブラディ・コーベット。キャリアとしては俳優が長いようで『ファニーゲームU.S.A』(2007年公開)や『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(2011年公開)に出演。長編監督作としては3作目なんですね。3作目にして3時間半の作品にゴーサインを出した映画会社もなかなかじゃない?
主演はエイドリアン・ブロディ。戦時下のユダヤ人という役柄で言えば『戦場のピアニスト』(2002年公開)があり代表作でしょうが、個人的には『プレデターズ』(2010年公開)のイメージが強い。プレデター相手にAA-12をぶっ放す傭兵でしたが、なんで出演したんだよwニコケイみたいなどんな役でも引き受けますよのタイプなのでしょうか?
そして主人公の妻を演じるのがフェリシティ・ジョーンズ。久々に観た気がします。邪道と怒られるかもしれませんが、私がSWシリーズで一番好きな『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年公開)の主演ですし、ルース・ベイダー・ギンズバーグを描いた『ビリーブ 未来への大逆転』(2018年公開)もあったり、良い映画の打率高めです。
移民の搾取
劇場へ入場する際、建設した建物と主人公についての詳細が書かれたパンフレットを渡されたので、事前情報ほぼゼロで観に行った私はてっきり実在した人物を描いているとばかり思っていました。しかしこれは演出の一部。後で調べてみると主人公のラースロー・トートは架空の人物であり、モデルとしているのはブルータリズム様式の草分けである建設家 マルセル・ブロイヤーである事が分かりました。いやー騙された、作品全体の雰囲気も伝記映画っぽいですもん。その他オープニング/エンドクレジットの出し方もユニークですし、様式美を徹底した映像と一定のリズムを刻むような音楽が上手く溶け合った完成度の高い作品だと思いました。
そんなエリートな作品が扱うテーマは移民の搾取です。自由を夢みて新天地にやって来るも待っていたのは格差社会の現実。特権階級が移民を都合良く利用し、状況が不安定になったら速攻切り捨て。対価を支払う事もありません。労働環境として不当なのは当然ですが、同時にやりがいの搾取でもあります。こうした事の連続で次第に心が壊れていくラースロー。オープニングに登場する逆さに映し出される自由の女神像が”本当の自由”が手に入らない事を暗示していたのでしょう。近年日本にも外国人労働者が多く流入しています。日本で働きたいという意思を持っている来られる方が多いとは思いますが、中にはこうした労働力としての搾取構造に陥っている人も居るかもしれない事を考える必要があるかもしれないと頭を過りました。
まとめ
以上が私の見解です。
まぁ内容的には同じ事の繰り返しと言いますか”都合良く利用されて~”ばかりで、そこまで面白いとは感じませんでしたが、映画館体験としては観に行って良かったと思います。個人的にインターバルを挟む映画を観に行くのが初だった事もあります。インド映画を観に行くと途中でインターバルの文字が表示されますが、そのまま休憩を挟む事なく進んじゃいますからね。今作の場合はインターバルも表現の一部という認識で日本の配給側もカットしなかったのだと思います。しかも映画館側としても結構ありがたいのでは?インターバル中に飲食物を購入されてる方も多々見られたので、売上的にプラスに働いてそうな気がします。よって全国の映画館は3時間、いや2時間半を超える作品には必ずインターバルを設けて”搾取”しちゃいましょう!っておい!
という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。