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信号機の光

二週間ほど岩手で暮らす。森山大道が北海道の安アパートで悶々とした日々を過ごしていたことを思いながら。

朝に起きて知らない街を歩きながらKodakコンデジで写真を撮りまくっていると、頭の中で少しずつ街の道の部分が埋まっていく。あの路地の向こうに駅前の大通りがあって、地下道の道は駅向こうにはつながらず、大通りを超えた先で地上に出る。昼の光の中で見る街と夜の街は雪国であるからか極端に光の加減が違う。雪国の夜の空気は深くて、音が遠くまで響く。わずかばかりのネオンの光はビルの少ない街では空へと抜けてゆき乱反射をすることはない。その中で静かに信号の光だけがゆっくりと点滅を続けている。

 

誰も渡らない信号機が 赤になって青になって また赤になる

cero-入僧

駅前近くのアパートに住んでみたが、車社会なので駅前にコンビニも軽食が食べれる場所も少ない。映画館も一軒あったが夜には閉まってしまうので見るタイミングはない。静かに内側にこもって東北の街を歩いて、疲れてアパートに戻れば大岡昇平-花影を読んで夜をやり過ごす。闇へと飲み込まれていく女の話を一人静かに読んでいると、だんだんと自分の所在も、ここにいる理由も、時間の流れも全部どうでも良くなって、真夜中ごろにはまた街を歩きたくなる。

一軒だけあるコンビニまで歩いて行ってみると、人のいない冬の街で光を探して彷徨うような感覚に前後不覚に陥りそうになるがそんな時は立ち止まってカメラを構えてみる。いくつかシャッターを切って保存された写真を見返してもそれが今とられたものか100年前にとられたものかもうわからないくらいに時代性の外にある風景が羅列されていて、そんな瞬間にも写真の時代に対するアノニマスさに驚く。

 

街は雪の中 僕を繋ぎ止める

街は雪の中 僕を消してゆく

bloodthirsty butchers-僕達の疾走

岩手に来る前にブッチャーズのギタリストを殺さないでを買い直して、新幹線の中で繰り返し聞いていた。

ブッチャーズはこのアルバムから歌モノの姿勢が強くなっているが、奇数小節回しの構造やファズによって歪んだリフから一気に美しいアンサンブルへと突入する展開は雪国へと失踪する車窓の風景にはわざとらしいくらいにピッタリで、なんだか少し安っぽい旅になってしまうのではという危機感があったけれど、次のアルバムである"無題"を続けて聴くことでそんな気持ちも杞憂であって、ただ寒さの中に自分という存在を晒して、消え去るように風景に溶け込んでいくのみだと思うのであった。

 

土曜にはバンド練があるので一旦東京に戻る。

 




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