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half moon,half shark

ツェッペリンを聴きまくってたらロンドンの音楽にある特有の暗さみたいなものに当てられて、The ClashとかThe Libertinesとかking kruleとか聴きまくる。そう言えばカートコバーンのマイベストにツェッペリンが入っていてあの暗さってロンドンの音楽と呼応してたのかもと思ったりした。 アークティックモンキーズとかも今聞くと結構暗い。ストロークス、ホワイトストライプス、vampire weekendとかアメリカの同時代(少し前だけど)のバンドと比較してもイギリスから出てきたバンドはみんな特有の暗さがあって良い。

 

サーレスの英雄たちの夢を読み切る。素晴らしい。数年前のカーニバルの夜を再現するという悪夢的な話であるがオチは予想通りでそこに驚きはない。そこではなくて、人生から漏れ落ちてしまった記憶の怖さ(それは主人公のその後の生活で断片として現れるけれど、いかにその記憶が衝撃的でもそれを繋ぐことはできず、夢のような感覚として非現実的に再度漏れ落ちていく)と、欠落した記憶を情念で置き換えてしまう人間の弱さが怖い。消えた記憶は単純に悪人に騙されていただけというオチだけれど、仮面の女というファクターによってロマンティックな記憶に置き換えられる。そして最終的には同じ夜を再現して、死ななかった夜から死んでしまう夜へ自分の存在をすげ替えてしまうという流れはすごい。

 

先週突然ゴダールのアワーミュージックを見てサラエヴォのことを考えていたら米澤穂信の"さよなら妖精"が読みたくなる。それでそう言えば書き下ろしの短編を加えた新装版が結構前に出てたなと思い出して買い直してみた。この小説は多分高校の頃に読んでいて、古典部シリーズの流れで読んだのでミステリとしては弱くてなんでこんな評価高いんだろうと思っていた。今読んでもやはり本編の方は自分としては淡々としすぎていて(というか謎解きのところを知ってしまっているのでそういう視点ではもう楽しめない)最後のマーヤの運命を解き明かすというところは良いなと思うけれど、死という強さに寄りすぎている気もしていた。それで書き下ろしの"花冠の日"をよんで結構食らってしまった。本編ではマーヤは明らかに異邦人として独白のシーンはまったくないし、情念に寄るような演出もほとんどないが、"花冠の日"のほうでこんどはユーゴスラビアに戻ったマーヤが日本の友達の方を異邦人として思い出す。目の届く範囲が世界だった人たちも、異国の友達を思い出すことで少しだけその範囲が広がる。そして向こうの世界にいる友達の視点によって見返されることで初めてその距離がわかるということだろう。それは二つの場所が線で繋がるというような広がりではなく、あくまで点として局所的な広がりでしかないのかもしれないけれど、そうやって少しずつ空白を穴埋めしていくことでしか世界は広がっていかない。この二つの物語によって登場人物たちの世界は局所的に繋がってそして(一時的に)突然に途切れる。そんな小説だったのかと思ってくらってしまった。

 

この間見たオダギリジョーの映画が面白くて、リンチの引用があったことからツィンピークスのリミテットシリーズをみかえしたくなる。それで配信サイトを見たが全部配信止まっていてこれは数年後にディスク版が高騰するやつだなと判断してBoxを買う。平日にちまちま観ているがやっぱり面白いな。半年前に観たばかりだから結構覚えているが謎は謎のままで解決しないので新鮮に楽しめる。

リンチの映画の面白さを説明することはヤボだと思うが、自分にとっては謎解きとかはどうでもよくて、ほとんど訳のわからない物語やシーンが無理やり繋がって、ここにつながるのか!?という驚きでもって楽しむことができる。ロストハイウェイであれば、前半に家に忠告に来る謎の声が未来or過去の自分であるというのはまあよくある悪夢的な話だけれど、それが本当に別の人物に入れ替わっているというのがすごい(そしてその説明はない)

オダギリジョーの映画もそれと同じ見方ができて、単純にリンチっぽいシーンをとってわかりやすくしているけれど、構造として引用しているのが素晴らしいなと思った。

 

リンチの流れでミステリ的なものを読みたくなって数冊本を買う。

小川洋子-薬指の標本、マルグリッド・デュラス-ヴィオルヌの犯罪、あとカサーレスボルヘスの共作のやつ。小川洋子は長期休暇の時に暇つぶしによく読むし結構読めるなーと思うことが多いけど今の心境的にはあんまりだった。あきらかに村上春樹以降という作家だと思うけれど、物語の謎も、それぞれのシーンも情念に寄りすぎていて構造としての面白さがない。思い付いた印象的なシーンを繋いでいるだけなので読みやすくて心地いいけれど、リンチが頭にある人間にはそれでいいのか、というシラケが出てしまう。また長期休暇に読もう。

ヴィオルヌの犯罪は素晴らしくて、まだ途中だけれど面白い。文字起こしの文字起こしという2重構造ってなかなか読んだことのない構造で叙述トリック的な思考も働いてしまうけれど気の狂った人の思考というファクターがあるので悪夢的に読めて面白い。

 

休みに使ってなかったエフェクターを売りに京成臼井へ。夏場は暑すぎて小旅行的な遠出はできなかったので雨だったけれど楽しく街を歩く。郊外の静かな住宅街のあの特有の空気感が好きだ。大通りの騒音も遠く、並んだ家々には人はいるのだろうけれど気配はない。中心にある公園にも人がいない、休日の午前中。歩いていてなんだか土曜日の昼に王様のブランチを見ながらカレーを食べていたいつかの記憶がかなり強くフラッシュバックした。

 




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