いろいろと片付いたので映画を見たり本を読んだりする。木曜日の祝日にバンド練。百年という新しい曲を試す。かなりミドルというかスローテンポな曲で難しいかなと思ったが、めちゃくちゃ良いアレンジになった。メンバーの変なフレーズたちが最近はうまくハマることが多くて前回練習した時にメンバー間で話をしたランドスケープフォアミュージック考を共有できたのがよかったのかもしれない。
スリーピースバンドの面白さは、柴崎友香の小説に出てきた話で、例えば2枚の写真があった時にそれは善悪、起結、始まりと終わり、といった二元論、一直線の物語性に引っ張られるがそこにもう一つ不可解な写真が挿入された時の次元が開かれる感じに近いと思っている。バンド練の終わりに三人で飲んでいても4人や2人ではなく奇数の3人だからこそ、誰か一人が喋らない瞬間が少なく3人で一つの何かを立ち上げようとしていると感じる。これが5人だったら3,2人に分けられもするからやはりスリーピースとはなかなか特別な三角形なのだなと感じた。
麻耶雄嵩を読んでいて、いわゆる本格、新本格について自分はほとんど興味がないのだなと思った。だから闇ある翼とか夏と冬の協奏曲を読んでも普通に面白いと思えるし、メタメタのメタみたいな作者しか知り得ない開いた世界から挿入される後付けの設定も面白く読める。いわゆるミステリファンの人はルール違反という感覚を持つのかもしれないけれど、自分はその開かれたところに小説の面白さを感じているのだなと改めて思った。例えば、読者への挑戦としてある地点で物語を閉じて(これ以上の情報がなくてもトリックが解ける状態を示しても)そこに魅力は感じないというか、作者の視点が出てくるので虚構としての強度が崩れるだけな気がしてあまり乗り切れない。
ボルヘスだとボルヘスが作者として登場するのだが、その中で別の著作がありさらにそれを臀部や手紙で読んだ誰かがいて又聞きの又聞きみたいな構造になっていて逆にその強度が増している。物語内物語として語られる神話的、悪夢的、迷路的な街の造形や民族たちはその多重構造によってよりリアルな世界として感ずることができるのがすごい。内側に開くというかこういう開かれ方もあるのかと思う。
ミステリにおいても自分は世界観とかキャラクターの面白さにしかひかれないので、トリックは奇抜であればあるほど面白い。なので米澤穂信とかの日常+思春期の痛みと成長と挫折みたいな組み合わせが塩梅としては一番いいのだが、そこにさらにボルヘスというか奇妙な何かを求めてしまっている気もする。(読み解けなさというか)でもそれは謎を解くという構造のミステリとしては欠落でもあるのでなかなか100%楽しめるといったミステリは読めない。ミルハウザーの夜の姉妹団やその引用としての米澤穂信の栞と嘘の季節もホラーの部分は面白いのだけれど最後にオチがついてしまうところで閉じてしまう感覚を持ってしまう。それはまさに90年代Jホラーが獲得してそして手放してしまったあの感じ(予兆も解決もなく、ただ現象としてなにかをうつしてしまう感じ)なのだとも思う。それでもボルヘスという例があるのだから小説の領域でやれないこともないだろう。
テレンス・マリックのバッドランズを観たくてどの映画館で見ようかと考えていたら最近行っていなかった恵比寿ガーデンシネマで上映があったので朝イチで行く。何年振りだろうか。
恵比寿駅はリキッドルームがあるので結構頻繁に行くのだけれどガーデンプレイスのあの遊歩道を通っていくあっちのルートはあまり行かない。途中で恵比寿駅線路の鉄網が見えて、ここはテニスコーツのbaibaba bimbaの場所だなーと思ったり、朝イチの人の少ないガーデンプレイスの天国みたいな光の刺し方が良くて、またきたいなと思った。ここで読書しながら映画の上映を待つのもいいな。というかこれまで映画と街の散歩を別のものとして考えていたけれど映画を見てから街を歩くというのも面白いかもと思った。利便性だけだと日本橋~銀座~有楽町か新宿、渋谷の映画館で映画を見ることが多いけど、吉祥寺とか恵比寿に足を伸ばすのも面白いかもしれない。それぞれ並木道や井の頭公園もあるし。
バッドランズはずっと面白くて朝イチで眠かったけどドキドキしながら見れた。女の子役はキャリーの子だなーと思って見てたのでちょっと怖かったけど。自然の撮り方が良くてロメールやフランス映画にはないアメリカの乱雑な自然が良い。緑からいきなり広大な砂漠に飛んだり。
夜はサニーデイ・サービスのライブ。有楽町ヒューリックホール。この辺はそれこそヒューマンとラストシネマとか角川シネマに行く時によく通るのだけれどここにライブができる場所があったとは知らなかった。エレベーターで11階へいって扉が開いたら会場の入口という渋谷クアトロスタイル。会場も見やすくてライブ自体もよかった。
サニーデイ・サービスはすごいな。4曲ほど新曲をやっていたのだけれど、これくらい活動が長い(しかも再結成で)バンドの新曲をやると聞いて何かやらかしてくれるのではとドキドキできるのがすごい。アルバムを作っているようだがdance to you から続く作り直しのサイクルに入っているようで今日聞いたのとはまた全然違う曲のアルバムになるのかもしれない。そういうパターンだと自分にとっては名盤の確率が高いのでもっともっと作り込んでほしい。(酷なことを言っている)
日曜は髪切って千葉へ小旅行。春はすぐそこ。