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センチメンタル・バリュー(2025)

「イケアの椅子よ」

 

原題は「Affeksjonsverdi」(愛着や思い入れがあって捨てられないもの)

カンヌ国際映画祭、ゴールデングローブ賞をはじめとした

各国の映画祭で数々の賞を受賞している

今年度イチ評価の高い映画ですね

昔は貧しくても、学歴がなくても

誠実に生きていれば報われるという

清貧の思想というものがありましたが

近頃は誰にも完璧さが求められていて

生きていくのが苦しい時代

 

さらに親に愛されていなかった、または過剰な期待から

メンタルバーンアウト(認められないことへの絶望)を病んでしまったものの

死にたいけど死ねない現実

 

これはそんなどん底から立ち直っていく女性のストーリー

そしてそこまでたどり着くのに必要だったのは

親への「赦し」しかなかったということ

ノルウェーの映画監督グスタフ・ボルグ(ステラン・スカルスガルド) は

夫婦喧嘩の末、妻と幼い娘のノーラとアグネスを棄て

キャリアに専念するためフランスに渡り、世界的な名声を得ていました

成長した(30半ば)姉のノーラ(レナーテ・レインスベ)は舞台女優として活躍

(だけど激しい舞台恐怖症に悩まされている)

歴史学者になった妹のアグネス(インガ・イブスドッテル・リッレオース)は

結婚し息子のエリックがいます(俗にいう幸せな家庭を築いている)

心理カウンセラーだった母が亡くなり、葬儀あと突然父親のグスタフやってきます

グスタフが戻ったのは元妻が死んだことや

家の権利がグスタフにあることもありますが

本当の目的は、自分の新作映画にノーラに出演して欲しいと頼むことでした

アグネスはエリックが生まれてから、父親との交流を再開していましたが

ノーラは未だ父親のことが許せずにいて

父親の言う「おまえの脚本」を受けとることすらしませんでした

そんなときオスロでグスタフのレトロスペクティブ(回顧展)が開催され

グスタフの(アグネスがヒロインを演じている)過去作を見た

ハリウッドの若手人気女優レイチェル(エル・ファニング)は

(商業的な成功ではなく芸術的な作品を求めている)

グスタフの作家性に惹かれ、グスタフの作品に主演することを熱望

グスタフもまた彼女の素直なチャーミングさに惹かれます

ネットフリックスによりレイチェル主演によるグスタフの新作の製作が発表され

姉妹が母親(と祖母)の住んでいた「家」でのリハーサルが始まります

ノーラは(自分から主演を断ったものの)心中穏やかではありません

「家」こそ捨てられない思い出(擬人化した胎内)だったから

エリックの10歳の誕生日に、再び父親と会うことになるノーラ

グスタフが誕生日のプレゼントに、「女性を理解するのに役立つ」と

ミヒャエル・ハネケの「ピアニスト」と

ギャスパー・ノエの「アレックス」の

DVDをプレゼントするシーンには

グスタフの感覚がいかに世間の常識からかけ離れていることがわかります

(大人が見ても過激なアート映画 笑)

ここまでくれば軽蔑を通り越して笑うしかない(笑)

ノーラの落ち込みは激しくなり

彼女が所属する劇団の演出家のヤコブと不倫をしてしまいます

ところがヤコブは妻との離婚が決まっていたにもかかわらず

そのことをノーラにだけ伝えていなかったのです

(つまりはそれ以上の関係に発展しないということ)

劇中劇でノーラがヒロインを演じているのが、チェーホフの「かもめ」

作家志望の青年トレープレフは

息子の才能を認めようとしない大女優の母親アルカージナからの

愛情不足が原因で挫折

しかも女優を目指していたトレープレフの恋人ニーナが

人気作家のトリゴーリンの名声に惹かれ

トレープレフのもとをってしまいます

しかもトリゴーリンは母親の愛人でした

芸術にも愛にも絶望したトレープレフはついに命を絶ってしまう・・というもの

つまり本作は(母親を父親に、青年を娘に替えた)

ヨアキム・トリアー版「かもめ」ということなのでしょう

ついには舞台に出れなくなってしまうノーラ

一方意気揚々と新作映画に参加したレイチェルも

役をつかもうとすればするほど苦悩し

(ノルウェー語訛りの英語をマスターしたり、髪色やメイクを変えても)

これが自分のための映画ではないことを悟ります

 

同じ頃、父親からエリックを映画に主演させたいと脚本を渡されたアグネスは

(自分が父親の映画に主演したあと寂しい思いをしたため)断ったものの

新作のモデルである祖母(グスタフの母)の記録を調べることにします

そこには第二次世界大戦中、ノルウェー抵抗運動(レジスタンス)に係わり

(仲間を密告しなかったため)ゲシュタポから受けた激しい拷問が記されていました

解放後祖母は英雄として扱われましたが

拷問によるトラウマは決して癒えることはなく

まだ幼かったグスタフを残して自殺したのです

 

父親の書いた脚本を読むことにしたアグネスは

いつのまにか涙を流していました

(セルフネグレクトになってしまった)ノーラのアパートを訪ねたアグネスは

脚本の1ページをノーラに読ませ、これは「あなたの物語」と伝えます

そして私がこうして大人になれたのは

面倒を見てくれた姉がいたからなのだと、感謝の気持ちを伝えます

時に鬱というのは些細なことから脱却できるもの

自分はダメなだけの人間じゃなかった

すくなくとも(自分とは違い立派に成長した)妹の支えにはなっていた

過去に捕らわれていただけの自分にさようなら

グスタフはレイチェルに降板されたショックでワインを飲み過ぎ

心臓発作を起こし救急に運ばれます

知らせを受けたノーラとアグネスが病院に駆け付けると

美人看護師を口説いているうえ、水ではなくシャンパンが欲しいという始末

この男はたぶん死ぬまで自分勝手

ノーラとアグネスは吹き出してしまいます

ラストシーン

 

「家」は(製作資金のため)リフォームされ売却

そこから母親役を演じるノーラと息子役を演じるエリックのクライマックス

だけど私が何より素敵だと思ったのは

グスタフの相棒(カメラ)だったピーターが

撮影監督として現場で映像をチェックしているシーンでした

 

 

【解説】映画.COMより

「わたしは最悪。」で世界的に注目を集めたスウェーデンのヨアキム・トリアー監督が、愛憎入り混じる「親子」という名のしがらみをテーマに撮りあげた家族ドラマ。
オスロで俳優として活躍するノーラと、家庭を選び夫や息子と穏やかに暮らす妹アグネス。ある日、幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不通だった映画監督の父・グスタヴが姿を現し、自身にとって15年ぶりの新作となる自伝的映画の主演をノーラに打診する。父に対し怒りと失望を抱えるノーラは断固として拒絶し、ほどなくしてアメリカの人気若手俳優レイチェルが主演に決定。やがて、映画の撮影場所がかつて家族で暮らしていた思い出の実家であることを知ったノーラの心に、再び抑えきれない感情が沸きおこる。「わたしは最悪。」でも主演を務めたレナーテ・レインスベが主人公ノーラを演じ、名優ステラン・スカルスガルドが映画監督の父グスタヴ役で共演。妹アグネスをインガ・イブスドッテル・リッレオース、アメリカの人気俳優レイチェルをエル・ファニングが演じた。2025年・第78回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、第98回アカデミー賞では作品賞をはじめ8部門で計9ノミネートを果たした。助演男優賞ノミネートのスカルスガルドはキャリア初のオスカーノミネートとなり、アカデミー賞史上初めて外国語映画での助演男優賞ノミネートなった。

2025年製作/133分/G/ノルウェー・フランス・デンマーク・ドイツ合作
原題または英題:Affeksjonsverdi
配給:ギャガ

 




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