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帰れない山(2022)

原題は「Le otto montagne」(8つの山)で

「須弥山(しゅみせん=スメール山)を囲む8つの山」 のこと

原作はパオロ・コネッティ2016年に発表したベストセラー小説

 

須弥山は古代インド仏教の、世界の中心にそびえ立つ山のことで

この山を囲んで世界が広がり、周りを太陽や星が巡るという

世界観・宇宙観を須弥山説と呼ぶそうです

その聖なる山(いちばん高い山生涯かけて目指す者と

8つの山を巡る者ではどちらが多くのことを学べる

 

つまりひとつのことを突き詰めていく人間と

広く色々な経験をするのとでは、どちらが幸せなのかと

問いかけた映画

もうひとつのテーマが「鳥葬」(ちょうそう)

チベット仏教の山の民は、死んだら魂が解放され

肉体は抜け殻と考えられているため

(遺体を「天へと送り届ける」のと、他の生命にお布施するため)

遺体を荒地に運び鳥類に食べさせ

その後残った骨も細かく砕いて食べさせ、何も残らせないそうです

 

もし死に場所を選べるなら、どこでどう死にたいか

140分ほどの映画ながら

4時間超えの大作を観たような気持ちになります(笑)

1984年夏、北イタリア

アルプスの山間にあるグラーナ村の別荘に

トリノから母親と共にやって来た11歳のピエトロは

酪農を営む叔父の手伝いをしているという

同い年のブルーノと親しくなります

大企業のエンジニアで、登山が趣味のピエトロの父親は

ピエトロとともにブルーノを氷河へのトレッキングに連れていきます

楽々と登山をこなすブルーノに負い目を感じるピエトロ

ピエトロが高山病になったこともありますが

そのせいで翌日下山を余儀なくされたことで

ピエトロが大人になるまで引きずることになるんですね

ブルーノが村で十分な教育を受けていないことを心配したピエトロの両親は

ブルーノをトリノの学校に通わせるため預かりたいと

ブルーノの叔父に提案します

 

しかし翌日ブルーノは村からいなくなってしまいます

出稼ぎに出ていたブルーノの父親がトリノ行きに反対し

ブルーノを出稼ぎ場所で石工職人として働かせるため

連れて行ってしまったのです

ピエトロはその後も両親と村の別荘へ行きますが

父親が頼りない自分より、逞しいブルーノを好いている感じていたのでしょう

一度だけブルーノを見かけたものの、言葉を交わすことはありませんでした

 

やがてピエトロは父親に反発するようになり、山登りも別荘行きもやめてしまいます

作家になると大学を中退し、定職にも就かずフラフラしている

そしてピエトロが31歳になった時、父親が亡くなったという知らせが届きます

父親は村にあるバルマ・ドローラ(奇妙な岩)という土地を購入していて

ピエトロにそこにある山小屋を再建するよう遺言で残していました

ブルーノに再会したピエトロはバルマ・ドローラまで連れて行ってもらうと

ブルーノは材料費だけで給料は要らない

廃墟となった山小屋の再建を手伝うといいます

 

ピエトロが父親と絶縁してから10年間

父親は毎年村に来て、ブルーノと山登りしていたのです

まるで本当の父子のように

(ブルーノも酒浸りの実の父親と縁を切っていた)

ピエトロとブルーノはひと夏を共にし山小屋を完成させます

監督が「ラブ・ストーリーのように撮った」 というだけあり

このあと「ブロークバック・マウンテン」のような展開になるのかと

思いましたが、違いました(笑)

 

ピエトロがトリノの友人たちを山小屋に招くと

そのなかのひとりで同じ職場(レストラン)の同僚で

以前から気になっていたラーラといい雰囲気になり、関係を持ちます

しかしトリノに戻ったピエトロにブルーノから

「ラーラが牧場で働かせてほしいと言っている」と電話が入ります

ピエトロとラーラの関係を気にするブルーノに

彼女とはただの友だち、特別な関係はないと嘘をつくピエトロ

 

ブルーノとラーラの間には娘のアニータが生まれ

チーズ作りのため牧場の設備を近代化

休みもなく仕事に追われるようになるブルーノ

ピエトロは父親の残した地図を頼りに

父親が(ブルーノとは)まだ登っていない山を巡る旅に出ることにします

 

ネパールの山で暮らす人々と出会い、感銘を受けたピエトロは

やっと自分の居場所をネパールに見つけたと感じ

作家として著書の出版にも成功します

旅から戻ったピエトロは彼の母親とともに、ブルーノに食事に招かれます

(母親はラーラの相談役で、アニータの面倒もよくみているようだ)

ピエトロがネパールの「鳥葬」の話をすると、ラーラは拒否感を示しますが

ブルーノは「鳥葬」が気に入ったと言いいます

 

その夜、ピエトロはブルーノと酒を飲みながら

ネパールの老人から聞いた「8つの山」の質問をします

8つの山の中心には、世界で最も高い山がある

8つの山すべてに登った者と、高い山に登った者

どちらがより多くのことを学んだといえるか?

ブルーノは高い山を目指し、そこから出られないのが自分で

8つの山を(自由に)巡っているのがお前だ、と答えます



数日後、ピエトロはラーラから牧場が多額の借金で苦境にあると知らされます

ブルーノに、娘のため収入のある仕事に就いて欲しいと頼んでも

自分は山でしか暮らせないとばかり

このままでは全て失ってしまう、ブルーノを説得してほしい

ブルーノに援助を申し出たピエトロですが(本の印税が入った)

ブルーノは激しく拒絶します

 

そしてこのことは、貧しくても高みを目指していたブルーノと

そうでないピエトロの立場が逆転したときでした

立った

再びネパールに旅立ったピエトロはアズミという女性と出会い

さらに心身ともに安定していきます

間もなくしてブルーノから、牧場が差し押さえられ

ラーラが娘を連れて実家に帰ってしまったため

バルマ・ドローラの山小屋を使っていいかと電話が入ります

「もちろんだ、お前の家でもあるのだから」

自分も山小屋に行くことを約束したピエトロは

ひとり山小屋で自給自足の生活をするブルーノ

もういちどラーラとやり直せないか

(ブルーノの父親のように)子どもを見捨ててはならないと説得します

怒ったブルーノはピエトロを山小屋から追い出してしま

山を下りたピエトロはラーラの実家に行き

「ブルーノを助けたい」と相談すると

ラーラは無理だと

ブルーノは家族よりも山が大切なのだと答えます

 

「少しずつ冷める愛もあれば、急に冷める愛もある」

深い言葉よね

(これを言われたら、いくら追いかけても女は戻らない 笑)

ピエトロが山小屋へ戻ると、ふたりはお互いに謝罪し合います

しかし、これから更に厳しい冬がやってくるというのに

ブルーノは山を下りようとはしませんでした

「山が俺を傷つけたことはない」

 

しかし大寒波と大雪が村を襲い

ブルーノの従兄弟が彼の消息を心配し(雪による酸欠で窒息する)救助を要請

雪で埋もれた山小屋の屋根に穴を開け、中に救助隊が中に入りますが

そこにブルーノの姿はありませんでした

ブルーノは大雪の中、山小屋から出ていったのです

春になって雪が解ければ遺体が見つかるだろうと告げる救助隊

これがブルーノが望んだことなのかと嘆くラーラ

ピエトロはラーラに同意こそしませんでしたが

 

ブルーノは自分で死に場所を選んだのです

彼が目指していたのは、豊かな暮らしじゃなかった

自然と共に生き、働き、その日食べていければよかった

お金や教育だけの基準に馴染めない、この苦しみからの解放

私は決して自殺することを推奨しませんが

何もかも棄てたい、消えたい、この世界から逃げたい

そういう気持ちはわかります

 

家族には共同墓地に埋葬してくれと、遺言で残したいくらいですから(笑)

どうせ天国に行ってもひとりぽっち

やがて雪が溶け、山にも春の訪れを感じる頃

カラスたちが何かをついばんでいました

誰が何と言おうと、神さま、仏さまはブルーノの願いを叶えたのです

 

ネパールで教師をしているアズミに会いに行くピエトロ

そこで「人生には決して帰れない山がある」と

世界の中心の一番高い山で友を亡くした者は

永遠に八つの山を彷徨うことになるのだと、ブルーノを思い出すのでした

物語の結末は、ピエトロのほうが成功を掴んだように思えます

でも本当に人生の最後に幸せだったかどうかは

本人にしかわからないのです



 

【解説】映画.COMより

イタリアの作家パオロ・コニェッティの世界的ベストセラー小説を映画化し、2022年・第75回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した大人の青春映画。
北イタリア、モンテ・ローザ山麓の小さな村。山を愛する両親と休暇を過ごしに来た都会育ちの繊細な少年ピエトロは、同じ年の牛飼いの少年ブルーノと出会い、一緒に大自然の中を駆け巡る中で親交を深めていく。しかし思春期に突入したピエトロは父に反抗し、家族や山と距離を置いてしまう。時は流れ、父の悲報を受けて村を訪れたピエトロは、ブルーノと再会を果たす。
「マーティン・エデン」のルカ・マリネッリが主人公ピエトロ、「ザ・プレイス 運命の交差点」のアレッサンドロ・ボルギが親友ブルーノを演じた。メガホンをとったのは「ビューティフル・ボーイ」で知られるベルギーの俊英フェリックス・バン・ヒュルーニンゲンと、「オーバー・ザ・ブルースカイ」などで脚本も務める俳優のシャルロッテ・ファンデルメールシュ。実生活で夫婦でもある2人が共同で監督・脚本を務めた。

2022年製作/147分/G/イタリア・ベルギー・フランス合作
原題または英題:Le otto montagne
配給:セテラ・インターナショナル

 




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