【じゅうりょっきょうすいもん】

天然の猪苗代湖を「ダム」にした近代土木遺産
猪苗代湖から郡山(中通り)方面には安積疏水、会津方面には戸ノ口用水が湖水を送っている。
この水門が堰く日橋川は猪苗代湖にとっては唯一の天然流出河川で、会津方面への水の供給は江戸時代から、この川を利用するかたちで戸ノ口用水の開削が行われていた。
一方、明治時代に日本最初の国家事業として山を越えた向こう側の郡山方面へ水を送る安積疏水が計画されるが、東岸側にある取水口からの送水にあたっては猪苗代湖全体の水位を上げる必要があった。そのため最初に着工されたのが、この十六橋水門だった。
工事は当時の失業武士の経済対策も兼ねており、設計を監修したオランダの土木技師フアン・ドウルンは安積疏水の父とされ、水門のかたわらに銅像も立っている。この銅像は戦時中に弾薬の原料として供出されそうになるが、地元が土中に埋めて必死で隠し通し、戦後に掘り出して復活させたというエピソードも。
水門は近代土木遺産に認定。
安積疏水全体としては、日本遺産、日本三大疏水に認定。

「安積疏水の父」フアン・ドウルンの銅像

水門の景観



管理所
現在の管理事務所は少し離れたところに新しい建物が立っている。


水利使用権
水門脇に立つ水利使用標識。国交省を筆頭に、電力事業者、県、地元水利組合など複雑に入り組んだ権利関係がうかがえる。
権利の調整もまた、ひとつの歴史であった。フアン・ドルンは安積疏水に水を流しても、猪苗代湖の環境が大きく変わることがないよう配慮していたようである。
開発によって想定外の環境変化が生じ固有種の絶滅という大失態を演じた田沢湖のような悲劇は今のところ猪苗代湖では起きていないようであるが、もう少し調査してみたい。

銘板・案内板



