【のぞりこ / 野反ダム/ 野反池】
池は群馬、水は長野へ、管理者は東京電力
標高1500mの高地湿原にあった野反池を呑み込む形で造られた人造湖。
どん詰まりの山岳国道を10km以上ひた走り、分水嶺である野反峠を越えた先に闊達な湖面が広がる。湖面標高は1,513mにも達し、このクラスの湖としてはかなり高く、ダム湖百選にも選定されている。
堰堤も魅力的だ。日本最古級の発電用ロックフィルダムとして日本100ダムにも選ばれている。
地図を見ただけだと山奥の険しく急峻なダム湖を想像してしまうが、完全に予想を裏切られ、なんとものびやかなで奥行きのある高原湖沼だった。その立地といい、複雑な利水状況といい、心に残る水辺景観だ。
2025年7月30日、兵庫県丹波市で日本国内最高気温の更新となる41.2度を記録したこの日、群馬県でも40度近い気温が各地で観測される中、標高1,500mの野反湖で日中を過ごした。外に出ると少しだけ涼しさを感じるものの、直射日光が照りつける車内ではさすがにエアコンなしでは厳しかった。

分水嶺からはずれた県境
三県境をなす白砂山頂上から志賀高原の湯釜まで、群馬と長野の県境は分水嶺に沿ってのびている。
しかし妙なことに、本来は長野側にある野反湖を中心とした集水域だけが、まるで群馬に献上されたかのように、ぐるりと県境は分水界を離れて迂回しているのだ。
水利権が転々としたというが、確かに不可解な立地にある。貯水池は群馬県、しかし流出する河川は長野県、そしてダム管理者は東京電力。

野反湖の設備・施設
野反ダム
堰体
急傾斜のロックフィルダム。すごい緊張感。ふつうのダムと違って、ダムから下流側に道はない!




「国内初の発電用ロックフィルダム」は正しいのか?
岩石を高所から落として堰体材料の岩を突き固め堰体を作っていくというなんとも原始的な投石工法で築造されたロックフィルダム。
1956年(昭和31年)に完成し、ウィキペディアには「日本の発電用ダムとしては初めてのロックフィルダム」と記されているが、同じ群馬県内に明治時代に完成した箱島発電所のロックフィルダムがあった。ただ、そのダムが本当にロックフィルダムかどうかは微妙で検討が必要である。
なお、野反ダムはロックフィルダムでありながら、貯水面をコンクリートで塗り固められている。このタイプは国内ではここ野反ダムと小渕ダム(岐阜県)、石淵ダム(岩手県)、皆瀬ダム(秋田県)の四基しかないとのことだが、これはそのまま日本最古のロックフィルダムのトップ4でもある。
石淵ダムだけは巨大ダム湖の奥州湖に呑み込まれてしまったが、ほか三基はいずれも魅力的な外観を見ることができる。ロックフィルダムとしては異常なほどの急勾配がもたらす緊張感がたまらない。
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野反湖ビジターセンター
無料駐車場、湖畔散策路入口、キャンプ場受付がある。


野反湖展望台兼案内所
駐車場、トイレあり。2014年撮影。


野反峠の駐車場と売店
2014年撮影。







野反湖のレジャー
釣り
岸辺はなだらかでおかっぱりはしやすいものの、駐車場から徒歩で少し下る必要がある。
湖畔には周回遊歩道がめぐらされている。
遊漁料1000円。ビジターセンターほか売店、釣り券自販機あり。
禁漁期の設定あり。

釣り対象魚は放流魚主体
放流実績としては、明治の末ごろ、コイ・フナ・ドジョウ、昭和34年にニジマス、その後イワナも。

キャンプ
キャンプ場はビジターセンターに隣接。
売店や食事施設も湖畔にあるので、まったりした時間を過ごすのに最適。標高が高いので真夏でも快適。初夏ならニッコウキスゲが楽しめる。
ひとつ残念なのはカヌー・ボートが禁止であること。

登山と遊歩100選
野反湖畔遊歩道(遊歩100選)
一周9.5km。

八間山登山口
駐車場、トイレ、売店もあり、手軽なハイキング感覚。












白砂山登山口
往復13kmの本格登山。大駐車場、トイレあり。
車中泊はご遠慮くださいとのこと。クルマで寝ることって「禁止」することなのかと疑問に思いつつ、車中泊なんて言葉もなかった時代が懐かしい。あのときは、ただの貧乏旅だった。




三壁山(みつかべやま)登山口
ビジターセンターが起点。キャンプ場を通る。無料駐車場、トイレあり。

群馬県境トレイル
稜線に沿った100kmにおよぶ国内最長のロングトレイル。

野反湖の景観
堰体から
2025年7月撮影。

八間山から
2014年撮影。




空撮

野反峠から

湖岸



動植物
夏季はスズメバチに似た大型のアブが多くて、なかなか車外に出られなかった。
下の写真はキベリタテハ。最下段はウスユキソウ。(2025年7月30日撮影)





Googleマップ
マークした場所に案内所と駐車場。



