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Vol.02 リアーキテクチャだと思っていたら新規プロダクトを作っていた話

この記事は、Sansan Data Intelligence 開発Unit ブログリレーVol.02です。

こんにちは、技術本部Data Intelligence Engineering Unit Data Hubグループの横山です。私たちは、Sansan Data Hubのリアーキテクチャに取り組んでいます。

今回のブログは、「Sansan Data Hubのリアーキテクチャの裏側」シリーズの第3回でもあります。リアーキテクチャだと思っていたら、いつの間にか新規プロダクトを作っていた話を紹介します。

Sansan Data Intelligenceって?

2025年12月12日、私たちは新しいプロダクトであるSansan Data Intelligenceをリリースしました。
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上述の記事から引用すると、Sansan Data Intelligenceとは次のようなサービスです。

企業が保有するCRM/SFA(Sales Force Automation)や基幹システム内の取引先データを、当社独自の企業データベースと突合することで、高品質なマスターデータを継続的に構築・維持するデータクオリティマネジメントサービス

つまりSansan Data Intelligenceとは、お客様が既にお持ちの顧客データを当社の企業データベースと照合することで、データの品質を高め続けるプロダクトです。

Sansan Data Hubって?

一方で、私たちのチームが開発しているSansan Data Hubは、Sansanに保存された名刺情報を当社独自の企業データベースと突合するプロダクトです。お客様のCRM/SFAや基幹システムに高品質なデータを継続的に提供します。
データ連携ソリューション(Sansan Data Hub) - Sansan - ビジネスデータベース

つまりSansan Data Hubとは、Sansanの名刺データを外部システムに連携し、データの品質を高め続けるプロダクトです。

似てますよね?

聡明な読者の方だったらお気づきだと思うのですが、この2つのプロダクトは非常に似ています。どちらも当社独自の企業データベースと突合することでデータ品質を高める点は共通です。さらに重要なのは、CRM/SFAや基幹システムに対して大量のデータを読み込んだり書き込んだりする必要があるという技術的な共通点です。Sansan Data Hubはこれまでこの領域で培ってきたノウハウを持っています。

このような類似性から、私たちはある判断をすることになります。それがリアーキテクチャプロジェクトとどう関わっていくのか、次のセクションで説明します。

リアーキテクチャプロジェクトへの影響

リアーキテクチャプロジェクトで目指していたこと

2025年1月頃、私たちはSansan Data Hubのリアーキテクチャプロジェクトを開始しました。当初の目的は、長年の開発によって複雑化したアーキテクチャを刷新し、Sansan Data Hub自体の「開発速度の低下」や「運用負荷の増大」といった課題を解決することでした。詳しくは次の記事をご覧ください。
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リアーキテクチャプロジェクトでは、コンパクトな人員で約3カ月をかけてバックエンド基盤を整備しました。技術スタックの選定、共通ライブラリの開発、開発を高速化するためのボイラープレートなど、次世代のSansan Data Hubを支える土台を着実に作り上げていきました。

このプロジェクトは、少人数で開始しつつ、最終的にはSansan Data Hubの全メンバーで実施することを想定していました。そのため、ADR (Architecture Decision Records) を中心に、オンボーディングを意識したドキュメンテーションの整備にも力を入れました。アーキテクチャの設計判断や技術選定の背景を丁寧に文書化することで、後から参画するメンバーでもプロジェクトの文脈を理解できる環境を作りました。

新規プロダクトで直面した課題

その後、2025年6月頃から新規プロダクトであるSansan Data Intelligenceの構想が立ち上がりました。リアーキテクチャに集中していた私たちにとっては、予期せぬ展開でした。

市場への早期投入が求められる中で、通常であれば新規プロダクトの開発には、バックエンドの技術選定や基盤構築だけで数ヶ月を要します。しかし、Sansan Data Intelligenceでは、そのような時間的余裕はありませんでした。さらに、前述の通りSansan Data Hubと類似した技術的な共通点があるため、同じように厳しい非機能要件も求められます。突然の新規プロダクトの立ち上げ、短い開発期間、厳しい非機能要件という、非常に挑戦的な状況でした。

どう解決したか

この状況を打開するために、私たちはまず2つのプロダクトの類似性を丁寧に整理しました。前述の通り、Sansan Data IntelligenceとSansan Data Hubは、企業データベースとの突合や、CRM/SFAとの大量データ連携という技術的な共通点が多くあります。この整理を進める中で、「リアーキテクチャプロジェクトで整備した基盤を、新規プロダクトでも活用できるのではないか」という仮説が生まれました。

そして、チームで議論を重ねた結果、システム統合を決定しました。Sansan Data Hubは、これまで通りプロダクトとして提供しつつ、Sansan Data Intelligenceのバックエンドサービスとしても稼働する形です。リアーキテクチャプロジェクトで既に整備されていたバックエンド基盤を、新規プロダクトでもそのまま活用する方針です。

具体的には、Sansan Data Intelligenceの技術スタックを戦略的にリアーキテクチャ後のSansan Data Hubと揃えることにしました。Go言語、Google Cloud、Databaseなどの技術選定はもちろん、Sansan Data Hubリアーキテクチャプロジェクトによって先行検証された仕組みをそのまま導入しました。例えば次のようなものが該当します。

  • Argo CDベースのCI/CDフロー
  • DDDに由来するBounded ContextやAggregateによるディレクトリ構成
  • Connectとpub/sub push Subscriptionを中心としたHTTPサーバーで完結するアーキテクチャ
  • 基本的な共通ライブラリとテストのための基盤の提供
  • 開発を高速化するためのボイラープレートとツール群

実際の効果

この判断により、Sansan Data Intelligenceの開発チームは、初日からビジネスロジックの実装に集中できました。フロントエンドについては別途整備が必要でしたが、バックエンド基盤が確立していたことで、API設計などの前提条件が明確になり、効率的に開発を進められました。

さらに、開発を高速化するボイラープレート (コード自動生成ツール) が用意されていたことで、アーキテクチャの詳細な知識がなくても、一定の品質が担保されたコードを作成できる環境が整っていました。加えて、リアーキテクチャプロジェクトで整備したADRを中心としたドキュメントが、新規プロダクト用にジョインしたメンバーのオンボーディングにも大きく貢献しました。設計判断の背景や技術選定の理由が明文化されていたため、新規メンバーは短期間でアーキテクチャの全体像を把握できました。

この仕組みにより、新規参画メンバーのオンボーディング期間が大幅に短縮され、チーム全体の開発速度が飛躍的に向上しました。このように、リアーキテクチャプロジェクトが「先行検証環境 (Testbed)」として機能したことで、Sansan Data Intelligenceを短期間でリリースすることが可能になりました。

プロジェクトを振り返って

正直に言うと、リアーキテクチャプロジェクトに向き合っていた私たちにとって、新規プロダクトの構想が立ち上がったときは驚きでした。Sansan Data Hubの課題解決に集中していたところに、突然「新しいプロダクトを作る」という話が舞い込んできたのです。

最初は戸惑いもありました。しかし、チームで議論を重ねる中で、「これはリアーキテクチャで培った知見を生かせるチャンスだ」と気づきました。結果として、リアーキテクチャプロジェクトで立てていた仮説が、想定していなかった新規プロダクトで見事に機能したことは、チームにとって大きな喜びでした。

そして何より興味深かったのは、新規プロダクトができたことで、リアーキテクチャプロジェクトの位置づけが変化していったことです。当初は「Sansan Data Hubの改善」として始まったプロジェクトが、いつの間にか「Sansan Data Intelligenceのバックエンド」という新たな役割も担うようになりました。この経験を通じて、私たちは「丁寧に作った基盤は、想定外の場面でも価値を発揮する」ことを学びました。予期せぬ展開に柔軟に対応しながら、技術的な挑戦とプロダクトの可能性を同時に広げられる——そんな環境で働けることに、メンバー一同やりがいを感じています。

おわりに

「リアーキテクチャの裏側」と題した本連載は、今回で最終回となります。リアーキテクチャプロジェクトの技術的な挑戦や学びを共有してきましたが、今後はSansan Data Intelligenceのバックエンドという新たな視点から記事を発信していきます。実装の工夫やアーキテクチャの詳細など、より技術にフォーカスした内容を予定しています。




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