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My Best Films of 2024 - 歩きながら思い出す

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12月29日、年内最後の映画館だなという感慨も特になく新宿シネマカリテで映画を観て、朝だったので安定にちょっと寝ちゃって、でも気持ちよく外に出ていった。今年はぜんぜん映画を観ることができなかった。映画が中心の日々ではなくなって、じゃあ代わりに何が入ってきてるのかもよくわからない。きっと何もしていない時間が長すぎるのだ。来年はひとまず100本は観たいと思う。そんなこんなで今年も少ない本数ではあるけれども大切な作品に出会ったので、記録を残しておきたいと思います。

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10.小森はるか『ラジオ下神白 あのとき あのまちの音楽から いまここへ』

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福島県の復興公営住宅に住む住民と、「伴奏型支援バンド」という一風変わった被災地支援に取り組む人たちを収めたドキュメンタリー。一方向的な支援する/されるではない、共にあることで生きる関係性がしなやかに捉えられていた。

9.杉田協士『彼方のうた』

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(観た当時の感想より)映画を観ながら、小川あんさんにインタビューした時に話していた脚本の妙について思い出していた。「すごく細かく書いてあるとして、その合間合間が黒く塗りつぶされている感じ。書いてあるはずなのに、書いてないように見える」。杉田監督の脚本についてそう小川さんは言っていた。不思議な表現だと思う。脚本を読んでそのあまりの情報量の少なさに削ぎ落とされた物語を想像する、のではなくて、もともと脚本にはすべて書かれていて、でもぜんぶは読むことができないという感覚。それはまさしく、僕が『彼方のうた』や杉田監督の映画を観るときの感覚にも近いものだと思った。「意図的にあまり見せないのではない。伝える気満々なんです」と杉田さんがパンフレットで語っていたように、情報を削いでいるのではなく伝えている。現実世界における人間もそうだと思う。他者と接しているときにはその人の一部しか見ることができないけど、だからといって「意図的に他の部分を隠されてるな」なんてことは思わない。むしろ徐々に開示されていくその人の性格を知り、共感/反感することで覚える快感は大きい。ぜんぶを見ることはできないけど、その人の存在には過去の出来事も記憶ももちろん反映されている。そのとてつもなさと今という瞬間の本当の会話が映画で描かれていることの特別さ、奇跡のようだと思う。会話と言えば、かた焼きそばを食べに行ったところの「おいしいですね」「うん、ほんとに」が妙に心に残っている。

8.太田達成『石がある』

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川に立ち寄った見知らぬふたりが適切な距離感を掴めずにいながら、石や枝を使って遊びの原風景を描き出す。距離感が不安定であるから時に恐ろしく、時に上振れた快感もある。観ているあいだどうしても自分自身の遊びの風景を思い出したし、逆に遊んでいるときにこの映画のことをどうしても思い出している。しんどいときに立ち寄れる川、そのもののような記憶であり映画。

7.蘇鈺淳『走れない人の走り方』

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ロードムービーを撮りたいけどお金がなかったりキャストが決まらなかったり、うまくいかない。ままならないなりに走ろうとする人の話。こんなに勇気と元気がみなぎる映画ってあるだろうかと思った。

6.山中瑶子『ナミビアの砂漠』

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カナという存在は自分にとって未知すぎる。行動原理がまったくわからない。でも観ていると徐々に、この人の声を聞きたくなる。それは他の登場人物みんなにも言えることだった。映画なんて何の意味があるんだと言いながら、振り向いた人を立ち止まらせるこの映画の引力はすごい。きっととんでもない映画だったってことが後々わかると思う。

5.濱口竜介『悪は存在しない』(と『GIFT』)

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3月に石橋英子さん生演奏の『GIFT』を観てからの待ち望んだ『悪は存在しない』。両方とも、観た日の夜に友だちとうどんを食べにいったのがいい思い出。濱口竜介三宅唱の映画はみんな好きだから語り合えるのがとってもうれしい。濱口さんの著書『他なる映画と』もかなり刺激的だった。

4.ルカ・グァダニーノ『チャレンジャーズ』

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テニスとセックス。うなだれて叫んで(どちらも心の中で)、ひたすら楽しかった! グァダニーノの映画を毎年観られるの幸せすぎる。

 

3.五十嵐耕平『SUPER HAPPY FOREVER』

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亡くなってしまった妻の姿を追い求める亡霊の彷徨い。映画やカメラに映らない大事な時間があることにこの映画は自覚的で、それでいてなぜか大事な時間も映っているからすごい。現在を背後から、過去を正面から捉えるこの映画の姿勢が面白かった。記憶の中で、いなくなってしまったものは後ろ姿ではなく常に正面をこちらに向けているから悲しいんだ。ひたすら切ないのが自分の好みにドンピシャすぎた。

2.三宅唱『夜明けのすべて』

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とても理想的な関係性の映画だった。互いの大変な状況に触れることで生まれる心強さ。宇宙や星のモチーフがよくて、遠く離れた星々の美しさを望遠鏡で覗くように、人のなかに広がる宇宙を映画で覗いているようなワンダーがあった。

1.清原惟『すべての夜を思いだす』

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2024年、折に触れて思い出していたのはこの映画のこと。多摩ニュータウンに住む3人の女性を主人公に据えた街の群像劇。ストーリーはあんまり覚えてなくて、留まっているのは断片的な動きや表情、街の道路の感じや公園の緑。映画を観たあとに多摩ニュータウンを実際に歩いてみた日のことも映画本編と交わりながら懐かしく思い出される。ジョンのサンの音楽が最高。年始の清原惟監督特集上映でまた観ようと思う。

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+α 他に好きだった11作品

今年はほとんど日本映画だ。それもそのはずな監督たちのラインナップ。旧作の特集上映などにぜんぜん行けなかったのが心に残る。日仏学院でやっていたアケルマンでぎりぎり観られた遺作の『ノー・ホーム・ムーヴィー』はとてもよかった。

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◼︎いろいろベスト

  • 小説/高瀬隼子『新しい恋愛』、長井短『私は元気がありません』
  • エッセイ/上坂あゆ美『地球と書いて〈ほし〉って読むな』
  • マンガ/大横山飴『花の在りか』、大白小蟹『TAROと太郎』(連載中の作品もぜんぶ好き)、夕暮宇宙船『小さき者たちへ』、INA『つつがない生活』
  • Web連載エッセイ/金子由里奈『いるものの呼吸』(石原書房
  • Web連載マンガ/大白小蟹『周回するわたしたち』(CINRA)
  • 歌集/鳥さんの瞼『死のやわらかい』
  • 人文書/布施琳太郎『ラブレターの書き方』
  • 評論/濱口竜介『他なる映画と 1・2』
  • 漫画誌/POTATO PRESS『キーホルダー』
  • ZINE(自主制作)/越川雪『ぼーい・みーつ』、雉鳥ビュー『アカシックレコードのある丘』、カウ・リバー『エンゼル』、植本一子『こころはひとりぼっち』
  • 本(その他)/小原晩・尾崎大輔・星野文月『もう間もなく仲良し』
  • 演劇/贅沢貧乏『おわるのをまっている』、ロロ『飽きてから』、ピンク・リバティ『みわこまとめ』、ウンゲツィーファ『8hのメビウス
  • ライブ/Base Ball Bear×ダウ90000『ROCKorLIVE!-ロックお笑い部-Vol.3』、澤部渡×街裏ぴんく『VALETUDO QUATRO 2024』、『共感百景』(12月19日)
  • お笑いライブ/ダウ90000『30000』、破壊ありがとう『洒落臭い』、『グレイモヤ』(12月8日)
  • 音楽ライブ/ジョンのサン & ASUNA、ESV「映画『すべての夜を思いだす』公開記念コンサート」、折坂悠太『呪文ツアー』東京公演2日目
  • アルバム/柴田聡子『Your Favorite Things』
  • MV/ゆっきゅん「ログアウト・ボーナス」(監督:金子由里奈)
  • トークイベント/『地球と書いて〈ほし〉って読むな』刊行記念 〜マジの言葉で生きていく〜上坂あゆ美 × valkneeトークイベント
  • ドラマ/黒岩勉『全領域異常解決室』
  • ボードゲーム/スカルキング
  • 恋リア/Netflix『ボーイフレンド』、『あいの里 シーズン2』、Amazon Prime『ラブ トランジット シーズン2』、ABEMA『LOVE CATCHER Japan』
  • YouTubeさらば青春の光Official Youtube Channel「"高額当たり馬券を持っているのは誰だ?究極の心理ゲーム【馬狼】開催!!」、盛山プライムビデオ「【見取り図盛山】さや香新山の飯を盗み食い」
  • 怪談/まむ「レンタルビデオ」(ふにゃ怖チャンネル)


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