以下の内容はhttps://breakfast-at-bnn.hatenablog.com/entry/2025/09/30/024304より取得しました。


『The New Age of Sexism』AIの進歩が新しい形の性差別を生み出していることに警鐘を鳴らすノンフィクション

2025年5月に刊行された『The New Age of Sexism: How the AI Revolution is Reinventing Misogyny』(セクシズムの新時代――AI革命が再構築する女性差別)は、フェミニスト活動家でありジャーナリスト、作家でもあるローラ・ベイツによる一冊である。彼女は「エブリデイ・セクシズム・プロジェクト」の創設者として知られ、社会が人工知能(AI)をはじめとする新技術によって大きく変容する岐路に立たされている現状を鋭く描き出している。

ベイツは、テクノロジー自体は本質的に問題があるわけではないが、それを取り巻く環境――我々が生きる世界に根付く偏見、圧倒的に男性が多い開発者たちの価値観、膨大な偏ったデータによって訓練されるAIの仕組み――が問題であると論じる。AIは学習のために膨大な量の既存データを取得するが、そのデータに内在する不平等や差別のパターンを複製し、それを新しい世界の基盤にエンコードしてしまうのである。

さらに懸念されるのは、AIが単に既存のバイアスを模倣するだけでなく、それを「再発明」し、増幅させる点である。例えば、初期のAIチャットボット「Tay」は、Twitter上で交流を始めてから24時間以内に、「フェミニストが大嫌い、全員地獄で焼かれるべきだ」とツイートするまでになった。これは、AIが最も論争的で過激なコンテンツから学習し、それを急速に増幅させてしまう能力を示している。

本書が詳細に分析する最も破壊的なテクノロジーの一つが、ディープフェイク・ポルノである。全ディープフェイクの96%がポルノであり、その99%が女性を対象としている。男性の身体にはうまく適用できないことも多く、ベイツ自身も、過去の著書に怒りを覚えた男性から、極めてリアルなディープフェイクポルノの被害を受けた経験を持つ。彼女は日常的に数多くのレイプや殺害の脅迫を受けているにもかかわらず、そのコンテンツを見た時の衝撃は「内臓をえぐられるよう」であったと述べている。その影響は、現実の暴行被害者が経験する心理的影響と同様であり、11歳や12歳の少女がPTSD不登校に追い込まれる深刻な被害も生じている。

ベイツはまた、この「新時代」のミソジニーを具現化する現象として、サイバーブロッセル(サイバー売春宿)やセックスドールの世界を調査している。ベルリンにあるヨーロッパ初の没入型サイバーブロッセルでは、VR技術などを利用し、生身の女性と接しているような錯覚を男性利用者に与えることが目的とされている。これらの人形は、しばしば人種差別的な特徴を持つハイパーセクシュアライズされた女性として描写され、ベイツがセックスドールの衣装を引き裂いて破られた状態で提供するよう要求した際も、スタッフは一切疑問を呈さなかった。さらに、セックスドールの中には、抵抗をシミュレーションさせる設定や「フリジッド設定(感情なし)」などのレイプ設定を持つものがあり、これは「同意という厄介な詳細」なしに、男性が女性を所有できるという感覚を助長する。

セックスドールと並んで、ベイツがその広範な影響を懸念するのがAIコンパニオン、特に「AIガールフレンド」アプリである。これらのアプリは、過去1年間で1億回以上ダウンロードされているにもかかわらず、その危険性はほとんど議論されていない。企業は「男性の孤独の危機を解消する」ための手段として宣伝するが、提供されるのは、常に利用可能で、決して反論せず、服従的な若い女性の姿である。これらのアプリは、男性が女性の身体を所有できる機会を提供する性的人形とは対照的に、「女性の心を所有する」機会を提供しているとベイツは指摘する。孤独な男性に健全な人間関係のスキルを教えるどころか、女性に対する極めて非現実的な期待と「性的権利意識」を訓練しているのである。

本書はテック企業と政府がこの危機に対して行動を怠っていることを鋭く批判する。例えば、Metaはメタバースに年間数十億ドルを投じているが、そこで発生するセクハラや暴行に対しては、報告システムが機能しないなど、安全対策が絶望的に不十分である。Metaの元幹部ニック・クレッグは、バーのマネージャーにリアルタイムの会話監視を期待しないのと同様に、プラットフォーム上の行動についてテック企業の責任を問うのは不公平だと主張した。しかしベイツは、Metaがメタバースを仮想教室や会議室として売り込んでいる以上、より高い安全基準が要求されるべきだと反論する。

ベイツによれば、これらのプラットフォームは強制されない限り、自ら女性や少女たちを保護することはない。彼らのモットーは「速く動き、破壊せよ」であり、女性のトラウマや虐待は、文字通り彼らが莫大な富を築くための「建材」として利用されている。政府が適切な規制を導入できないのは、問題が困難だからではなく、政治的意思の欠如が原因である。米国政府や英国政府は、AIにおける倫理やセーフガードの構築に関する国際的な宣言への署名を拒否するなど、進歩の名の下に安全性を後回しにしている。

本書は、初等教育から包括的で質の高い性教育を導入し、学校現場で蔓延する性暴力や女性蔑視の思想を抑止することの重要性を訴えるとともに、多様性の欠如を是正する必要性を力強く説いている。ベイツはAI時代における女性の尊厳を守るため、社会全体が早急に行動を起こすべきだと強く呼びかけている。

著者のローラ・ベイツは、1986年生まれのイギリスのフェミニスト作家・活動家である。2012年4月、ベイツは日常生活で経験されるジェンダーの不平等の事例を匿名で収集し、その実態を可視化するプロジェクト「Everyday Sexism Project」を設立した。このプロジェクトは世界的な運動へと発展し、2015年4月までに10万件のエントリー、現在では20万件以上の証言が集まっている。

彼女の最初の著書『Everyday Sexism』は2014年に出版された。その後、『Girl Up』、『Misogynation』、『Men Who Hate Women』、『Fix the System Not the Women』など、性差別に関する複数のノンフィクション作品を執筆している。

ベイツは、ガーディアンやテレグラフなど、多くの出版物に定期的に寄稿するジャーナリストとしても活動しており、ジェンダー平等のための活動に対して、2015年に大英帝国メダル(BEM)を受章した。また、2018年には王立文学協会フェローに選出されている。

『The New Age of Sexism』は、AI時代のミソジニーが従来の性差別をより見えにくい形で、より大規模なスケールで、そしてより強力な増幅力を持って再来していることを警告する一冊である。本書が描く衝撃的な事実は、テクノロジーが適切にコントロールされなければ、人間の――特に男性の――欲望を満たすために無制限に設計され、強化されていくという不都合な真実を突きつけている。本書は、この問題が女性だけの問題ではなく、私たちが望む社会の在り方そのものを問う人類全体の課題なのであり、新しいテクノロジーにどう向き合っていくべきか考えるよう強く促していると言えるだろう。


 

参考資料:

youtu.be

How the AI revolution is reinventing misogyny | CNN

‘The New Age of Sexism’ explores how misogyny is replicated in AI and emerging tech | PBS News

Laura Bates - Wikipedia




以上の内容はhttps://breakfast-at-bnn.hatenablog.com/entry/2025/09/30/024304より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14