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映画『The Wizard of the Kremlin』原作、プーチンの側近をモデルにロシアの権力中枢を描いた政治小説

ジュリアーノ・ダ・エンポリのデビュー長編『Le Mage du Kremlin(クレムリンの魔術師)』は、2022年に刊行され、同年のフランス・アカデミー賞グランプリを受賞し、ゴンクール賞の最終候補にも残った話題作である。実在のプーチン側近ヴラジスラフ・スルコフを思わせる架空人物ワディム・バラノフという”魔術師”を通じて、ロシア権力中枢の二十年を虚実織り交ぜて描き出した政治フィクションである。

物語は、ザミャーチン1920年代に執筆したディストピア小説『われら』を研究するフランス人文学研究者である語り手が、同作品を引用したバラノフのツイートをきっかけに彼と接触し、モスクワ郊外にある彼の屋敷で一晩を共に過ごすという枠組みで進む。バラノフはかつてリアリティ番組のプロデューサーであり、芸術家を自認していた男だが、のちに”ツァーリ(皇帝)“と呼ばれるプーチンの腹心として政界に入り、現実そのものを演出する仕掛け人となった人物である。彼は自らを「現実という舞台の演出家」と称し、エリツィン時代末期の混迷、プーチンの台頭、権力基盤の強化を背景に、いかにして”主権民主主義”や”垂直的権力構造”というクレムリンイデオロギーを作り上げていったかを語っていく。

作中には、ベレゾフスキー、ホドルコフスキー、セーチン、カスパロフ、リモノフ、プリゴジンといった実在の人物が多数登場し、チェチェン戦争、2000年大統領選、潜水艦クルスク沈没、2004年ウクライナオレンジ革命、クリミア併合、ドンバス紛争などロシア現代史の大きな事件が次々と背景に配置される。バラノフは、そうした出来事が単なる歴史的事実ではなく、“国民の情念に働きかける壮大な脚本”として演出されていく過程を語り、ロシアという国家そのものを「巨大な劇場」として提示する。

しかし語りが進むにつれ、バラノフは自身が創り上げたシステムに疲弊し、次第に幻滅していく。頂点に立つ者ほど孤独であり、権力はやがてその使い手をも蝕むという洞察が浮かび上がる。

本作はフィクションでありながら綿密な取材と歴史的事実を基盤としており、“現実を照らす小説”として高い評価を得た一方で、虚構と現実の境界の曖昧さが「クレムリンプロパガンダをなぞっている」との批判も招いた。だが著者は、そうした評価や批判そのものをも含めて”権力とは何か”“なぜ人は支配される物語を求めるのか”という根源的な問いを投げかけている。

本作はオリヴィエ・アサイヤス監督により映画化されており、2025年のベネチア国際映画祭で上映されることが決まっている。ポール・ダノがバラノフ役を、ジュード・ロウがウラジミール・プーチン役を演じることが発表されている。

著者ジュリアーノ・ダ・エンポリは1973年のフランス生まれである。スイスとイタリアの国籍を持つ政治エッセイスト、小説家である。彼はフィレンツェの文化担当副市長や、イタリアのマッテオ・レンツィ首相の上級顧問を務めた経験を持つ。現在はパリ政治学院の教授を務めている。本作は彼のデビュー小説であるが、それ以前にも政治や経済に関する多くのエッセイを発表している。

『Le Mage du Kremlin』は現代ロシアの複雑な地政学的リアリティを理解するために大いに役立つ一冊と言える。本書は、現代ロシアにおける権力の本質を深く考察し、この大国の行く末に関して、一つの可能性を提示している。​​​​​​​​​​​​​​​​

▼Rakuten

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参考資料:

youtu.be

Le Mage du Kremlin — Wikipédia

The Wizard of the Kremlin - Wikipedia

Giuliano da Empoli - Wikipedia

The Wizard of the Kremlin takes us inside the mind of Putin’s spin-master - New Statesman

The Wizard of the Kremlin by Giuliano da Empoli review – a tsar is born | Fiction in translation | The Guardian

 

 




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