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映画『In the Hand of Dante』の原作、ダンテの直筆原稿を巡る物語

2002年に刊行されたニック・トーシュの小説『In the Hand of Dante(ダンテの遺稿)』は、歴史小説や犯罪スリラーの形式を借りながらも、それらのジャンルに回収されることを拒む型破りな文学作品である。
 
物語は二つの時空を行き来しながら進む。ひとつは14世紀末のイタリアである。政治的な理由から亡命生活を送りながら『神曲』を書き進めていたダンテ・アリギエーリの孤独な闘いが描かれる。詩人としての栄誉を背負う姿ではなく、死を意識し、禁断の知識に手を伸ばしながら創作に憑りつかれてゆく「生身のダンテ」の姿を追い、歴史と想像が溶け合う空間を構築している。
 
もうひとつは21世紀初頭を舞台とする現代パートで、作者自身を思わせる老作家が主人公として登場する。彼の元に、バチカン図書館の奥深くから盗まれたという”ダンテ自筆の神曲原稿”に関する連絡が入り、鑑定のため闇社会へと足を踏み入れてゆく。稀覯本をめぐる美術犯罪、裏切り、暴力の世界に飲み込まれながら、現実と虚構の境目は次第に曖昧となり、「書くこと」と「生きること」の境界そのものが揺らぎ始める。
 
トーシュの文体は、詩的な格調と粗野な俗語、哲学的思索と暴力的描写が激しく交錯するのが特徴である。作中には出版業界に対する痛烈な批判や文学・音楽・歴史への言及が挿入され、物語そのものからしばしば脱線しつつも、作者の執着や苛立ちがむき出しにされる。
 
本作はジュリアン・シュナーベル監督、オスカー・アイザック主演で映画化され、2025年のベネチア映画祭で上映される予定である。共演者にはガル・ガドットジェイソン・モモアジェラルド・バトラーなど錚々たる面々が名を連ねている。また、ジュリアン・シュナーベルは映画祭のスポンサーであるカルティエより、映画産業への独創的な貢献を讃えて「Cartier Glory to the Filmmaker Award」を贈られることが発表されている。
 
著者ニック・トーシュは1949年にニュージャージー州で生まれたアメリカのジャーナリスト、小説家である。高校卒業後に大学には進学せず、19歳からライター業を始めた。ローリングストーン誌などにレビュー記事を書く音楽ジャーナリストとして活動し、音楽界やスポーツ界のレジェンドの伝記も執筆している。フィクション作品も多数発表しており、俳優のジョニー・デップが熱心なファンであることも知られている。トーシュは2019年に70歳の誕生日を三日後に控えて亡くなった。
 
『In the Hand of Dante』は二重構造の物語、歴史フィクションや文学的なメタフィクションなどジャンルにとらわれない自由な表現ゆえに、読者を選ぶ作品かもしれない。『神曲』という聖なる文学作品が、ニューヨークの闇社会の手に渡り、俗なる要素と絡み合う本書は、神聖なものと冒涜的なものを巧みに融合させている。この物語がどのような映画に仕上がっているのか期待しつつ原作小説を楽しみたい。

▼Rakuten


 

参考資料:

Numbers game | Books | The Guardian

In the Hand of Dante - Wikipedia

Nick Tosches - Wikipedia

Julian Schnabel Set For Cartier Glory To The Filmmaker Award In Venice




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