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『The Elements of Marie Curie』マリー・キュリーの人物像と彼女が支えた女性科学者たちのネットワークを明らかにする評伝

2024年10月8日に発売されたデーヴァ・ソベルの新刊『The Elements of Marie Curie: How the Glow of Radium Lit a Path for Women in Science』*1は、科学史上最も有名な女性であり、2つの異なる科学分野でノーベル賞を受賞した唯一の人物であるマリー・キュリーの功績を明らかにした一冊である。

キュリーは研究室で輝かしい才能と創造性を発揮していたが、研究室の外でも情熱的な人物であった。彼女は1906年に夫ピエールを亡くした後、ソルボンヌ大学で物理学の教授に就任し、2人の優秀な娘を育てた。また、第一次世界大戦中には自ら改造したレントゲン装置を搭載した車を運転して前線に赴き、負傷兵の治療に当たった。さらにアインシュタインをはじめとする20世紀の物理学の著名人と親交を深め、アメリカ大統領から支援を受け、世界中の若い女性に科学を追求するように促した。

私生活では流産や夫の死、既婚者との不倫スキャンダルなど、多くの苦難を経験した。しかし、これらの困難を乗り越えて研究を続け、世界中で講演を行い、科学協力の促進に貢献した。キュリーは1934年、66歳でその生涯を閉じたが、彼女の業績と遺産は今日に至るまで多くの人々にインスピレーションを与えている。

本書が注目に値するのは、単にキュリー個人の物語だけでなく、彼女が指導した女性科学者たちの物語を通して、20世紀初頭の科学界における女性の役割や、科学の進歩に貢献した女性たちの功績を明らかにしている点である。キュリーは、女性科学者が高等教育を受け、科学分野でキャリアを積むことの難しさを認識していた。彼女自身も女性であるというだけで多くの差別や偏見に直面した。そこで、キュリーは女性科学者を支援するために、自分の研究室で彼女たちに研究の機会を提供し、指導を行った。研究室は、女性科学者たちが互いに協力し、刺激し合いながら研究を続ける重要な場所となった。

記録によると、キュリーが指導した女性科学者は40人以上にのぼる。その中には、母キュリーの研究を引き継ぎ、夫とともに人工放射性元素の研究で1935年にノーベル化学賞を受賞したイレーヌ・ジョリオ=キュリーや、キュリーの研究室で5年間働いた後、エール大学の物理学研究室で働く初の女性となり、ラジウム半減期を決定したエレン・グレディッチなどが含まれる。本書は、キュリーが女性科学者の育成にいかに情熱を注いでいたか、そして彼女たちが科学界で直面した困難や業績の重要性を明らかにしている。

著者のデーヴァ・ソベルは、本書の執筆を通して、マリー・キュリーが一般的に思われているような孤独で近寄りがたい人物ではなく、家族や友人や同僚を大切にする人間味あふれる人物であったことを知り、感動したと語っている。特に、娘たちへの手紙からは、娘たちの成長を喜び、励ます母親としての愛情深い一面が垣間見えたそうだ。また、キュリーの研究室で働いていた女性たちが、恩師から受け継いだ情熱と知識を武器に、男性中心の科学界で奮闘し、後進の女性科学者たちを育成していったことにも感銘を受けたという。著者は本書を通して、マリー・キュリーという1人の女性科学者の物語だけでなく、彼女を中心とした女性科学者たちのネットワークの存在を明らかにすることができたことに大きな喜びを感じているようだ。

最後に、ソベルのこれまでの著作にも触れておきたい。彼女の著作には、イギリスの時計職人ジョン・ハリソンについて取り上げた『経度への挑戦』、ガリレオの娘マリア・チェレステについて書かれた『ガリレオの娘 ― 科学と信仰と愛についての父への手紙』、19世紀半ばのハーバード大学天文台で観測データを手計算していた女性たちにスポットを当てた『ガラスの宇宙:ハーバード天文台の女性たちが星を測る方法』(未邦訳)などがある。

『The Elements of Marie Curie』はオンライン資料、キュリーの私的な資料、そして関係者の証言などを駆使して、マリー・キュリーと彼女を取り巻く女性科学者たちの姿を浮かび上がらせている。デーヴァ・ソベルの科学に対する深い理解と、物語を魅力的に語る筆致により、本書は単なる伝記を超えた、感動的で示唆に富む作品である。

 

*1:意訳 マリー・キュリーの本質:ラジウムの輝きが科学における女性の道をどのように照らしたか




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