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『Ghostroots』ナイジェリアの首都ラゴスを舞台にした不気味さが魅力の短編集

2024年5月7日に発売されたナイジェリア出身の小説家 ペミ・アグダによる『Ghostroots』は、12の短編からなる短編集である。どの物語でも、登場人物たちは先祖とのつながりからの自由を求め、葛藤する姿が描かれている。舞台はすべてナイジェリアの首都ラゴス。賑やかで混沌とした街並みが、物語の雰囲気を引き立たせている。この一見不気味な短編集には、世代間のトラウマと継承、母性と女性性、アイデンティティと所属の模索といった現代的なテーマが巧みに織り込まれている。

『The Hollow』では、建築家アリットがリフォームの仕事で訪れた住宅で、常識が通用しない不思議な体験をする。通り過ぎるたびに部屋は別の場所につながり、窓は消え、内部の寸法は外部のそれと決して一致しない。家全体がまるで常に変化しているように感じるのだ。住人のオニ夫人は、この奇妙な状態を直してほしいと頼むが、調べるうちにこの家は、かつて夫からの虐待から逃れようとした女性によって建てられたことが明らかになる。彼女は、新しい家で自分と子供たちが安全に暮らせるよう、レンガや釘の一つ一つに「夫から逃げられるように」と願いを込めたのだ。夫が家に追ってきたとき、家自体が彼を捕らえ、秘密の場所に閉じ込めてしまった。それ以来、家は男性が女性を傷つけようとするたびに、その男を閉じ込めるようになった。オニ夫人の話では、そこには彼女の息子も閉じ込められているというが、アリットは助けるべきかどうか決めかねている。この物語は、悪行を働いた者には超自然的な力が報復するという、ナイジェリア社会に根付いた信仰を反映している。

『Breastmilk』では、主人公のアドゥケが、生まれたばかりの息子に母乳が出ないことに苦悩する。夫の不貞を許し、息子を授かったものの、母親の象徴とも言える母乳が出ないことに、自己嫌悪と罪悪感を抱いている。周囲から母乳育児を勧められる中、彼女は自分を責め、プラスチック製の哺乳瓶にさえ嫉妬を感じる。また、叔母を通して伝統的な価値観や、女性としての役割を押し付けられる様子も描かれている。彼女は夫を「理性的な議論」で許したと語るが、心の中では拭いきれない怒りや悲しみが渦巻いている。興味深いことに、アドゥケは結婚後も夫の姓を名乗らず、家事や経済的な決定も夫と分担するという現代的な生き方をしている。しかし、母乳が出ないという生物学的な現実が、伝統的な女性像との間で激しい葛藤を引き起こしている。物語の終盤、叔母の乳房マッサージを受けながら、アドゥケは自分の身体から意識が離れていく感覚に陥る。これは彼女が現実から逃れたいという欲求と、母親としての役割や女性としての自己イメージとの間で苦しんでいることを象徴している。

書名について、ペミ・アグダは「先祖からの影響や受け継がれていくものは、地に足をつけさせてくれる一方で、人を閉じ込めてしまうこともある」と語る。彼女はエージェントとアイデアを出し合った結果、『Ghostroots』というタイトルに決めたという。つまり著者は、過去からの影響が持つ二面性、すなわち人を支える側面と、縛り付ける側面の両方を、12の短編を通じて描いているのだ。

ペミ・アグダはナイジェリアのラゴス出身で、現在はフィラデルフィアに在住している。ミシガン大学のヘレン・ゼル・ライタープログラムでMFA(美術学修士号)を取得し、2020年にデビュー作『The Suicide Mothers』の草稿でデボラ・ロジャーズ財団作家賞を受賞。2022年には短編『Breastmilk』でO・ヘンリー賞を受賞し、その短編を含む本作『Ghostroots』は、2024年全米図書賞フィクション部門のロングリストに選出された。

『Ghostroots』は、ラゴスを舞台にしたマジックリアリズム小説であるが、伝統と近代化の衝突や、女性の身体の解放と変容といった普遍的なテーマが巧みに織り込まれている。全米図書賞へのノミネートを機に、より多くの言語に翻訳されることを期待したい。




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