※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。
作品名:推しの子/(原作)赤坂アカ・(作画)横槍メンゴ (漫画 2020〜4)(全16巻)
評価:★4(★★★★☆)
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2025年10月、ようやく「推しの子」を全巻読破した。
アニメの第1期、第2期を見て、一緒にアニメを見ていた娘が気に入って漫画を全巻揃えていたのだが、最終巻目前のところでだんだん読む気が失せて「いつか読もう」と思いながら放置していた。
今回は一気読みしたので後半のバタバタした展開もついていくことができた。
基本的にはこの作品には楽しませてもらった。特にアニメは主題歌が良かったこともあって華があった。
第1期OP:アイドル/YOASOBI
第1期ED:メフィスト/女王蜂
第2期OP:ファタール/GEMN
第2期ED:Burning/羊文学
アイの死と主人公2人の転生から始まって、「ドラマ『今日は甘口で』編」「東京ブレイド 2.5次元舞台編」は特に面白かったし、「恋愛リアリティショー編」も十分面白かった。けれども、このあたりはこの作品のメインストーリーたる復讐譚からするとあくまで脇道にすぎない。
最終盤、映画「15年の嘘」の製作を通して、物語が肝心の本題に入っていったところあたりから、この作品はその魅力を急に失ったように感じる。その原因はなんだろう?
(以下、ネタバレあり)
この作品には2つの側面があって、1つは3人のヒロイン(有馬かな、黒川あかね、星野ルビー(天童寺さりな))に主人公星野アクア(雨宮吾郎先生)がモテまくるハーレムもの、もう1つはアイを殺されたアクア(とルビー)の復讐譚。3人のヒロインはそれぞれに性格が個性的で可愛くて、ハーレムものとしては面白かったが、復讐譚の方はストーリーに説得力がなく、面白く感じられなかった。
この作品のミステリーものとしての核は、「15年の嘘」というもの。星野アイとカミキヒカルはお互いに愛し合っていたが、アイが妊娠してしまったことをきっかけに、アイはヒカルが「壊れてしまう」ことを防ぐために敢えて「あなたを愛していない」と嘘をついて別れた。ヒカルはフラれたことに絶望するあまり、闇堕ちして他人を使ってアイを殺害してしまった。アイは生前、「15歳になったら開けてね」とアクアとルビーに対してDVDでメッセージを残していた。そのDVDの中でアイは、ヒカルに対して「愛していない」と言ったことは本心ではなかったと告白し、「真実」が15年越しに明らかになる。ヒカルは15年越しに真実を知り、取り返しのつかないことをしてしまったことを後悔し反省する。「犯人のカミキヒカルが真実を知り、激しく後悔をしている」これを以てアクアとルビーの復讐は完了した、というのが最終16巻の前半部分。ここまではまあ、設定が強引すぎて「そうはならんやろ」とは思うが分からんこともない。
問題はここから。「やっぱりカミキヒカルはマジモンのサイコパスでした」という形で犯人としてのカミキヒカルが復活!笑。カミキヒカルが「アイが史上最高のアイドルであることを脅かすから」というよく分からない理由で今度はルビーの命を狙いにきて、アクア(雨宮吾郎)はルビー(天童寺さりな)を守るために、自らの命を投げ打って事故を装い、カミキヒカルを殺す。結果、カミキヒカルの本心を知らないままのルビー(天童寺さりな)は復讐心に囚われることなく、第二の人生では「アイドルになる」という夢を叶えて幸せになりました。ただし、アクア(雨宮吾郎)だけは犠牲となり、3人のヒロインのアクアへの気持ちも成就することはありませんでした、という結末。
結局、この物語は雨宮吾郎が自らの命を投げ打ってまで天童寺さりなを守るという、吾郎とさりなのラブストーリーだったという衝撃の展開。これまでに、さりな→吾郎の愛は描かれていたけど、吾郎→さりなの感情はあくまで「病気のために夢を叶えられず幼くして亡くなった可哀想な少女」という感情しか描かれていなかったから、この展開にはついていけなかった。まあ、アクアからルビーへのクールな態度というのは表面的なもので、内心はデレデレの溺愛だったのだということにすれば確かに成り立つが、こういう結末にするのであればアクアの心情はちゃんと描くべきだったんじゃないのか。アクアとルビーは双子の兄妹だから、「お互いに心から愛し合っているのに結ばれることは許されない」というエモい状況も強調されるし、その愛ゆえに雨宮吾郎は自らの命をさりなちゃんの第二の人生に捧げたという結末も引き立つし。
「転生モノ」というジャンル自体の限界も感じた。「前世の記憶(=経験)を持ったまま赤ちゃんの年齢からやり直せる」というのはあまりにも都合が良すぎて、しかもその受肉した肉体がアイドル並のルックスなんて、余程の業とかトラウマとかがないとそのアドバンテージが打ち消せず、平坦な物語になってしまうのだ。アクアの悩みとして「アイを守れなかったお前に幸せになる資格はない」みたいな脅迫観念が描かれていたけど、作劇の都合で無理やり作り出された「悩み」にしか感じられず説得力がなかった。話は変わるが、私は別の転生モノの作品「無職転生」でも同じことを感じたことがある。前世でイジメに遭っていた主人公が転生して赤ちゃんからやり直すのだが、この主人公がルックスも能力も抜群の身体に生まれ変わっていながら、前世のイジメのトラウマに「悩み続ける」という設定で、「そうはならんやろ」と思った。
アクアというキャラには元々中身が無かったのか、または中身はあったが作者がそれを丁寧に描くことを怠ったのか、どちらにせよ、私はとうとう最後まで、アクアという主人公キャラに共感することができず仕舞いだった。