レバーレスコントローラにおけるラピッドトリガーについて、以前は「ボタンなんてどうせ全部押し込むんだし、スイッチのストロークを短くすれはそれで十分では?」と冷ややかに見ていたんだけど、最近になって考え方が変わってきた。

ごく単純にボタンの機械的なパフォーマンスだけに着目すれば、総ストロークやアクチュエーションポイントをいかに短くするかという話に行き着く。 だが、ストロークが短かすぎればコマンド抜けは多くなるし、押し込む力の反動がそのまま指に返ってくるので、押し心地が悪かったり疲れやすくなってしまう。
格闘ゲームというのは単に反射神経の速さだけを競うものではない。 単純に身体的な反応速度のほかに、コンボ練習などによる操作練度であったり、環境や相手ごとの行動への「対応」する判断能力を複合的に競うものだと言える。
その観点に立ち返ってみると、長時間安定して操作できるいわば継戦能力というのも全く無視できないパラメータだと思うようになってきたのだ。
スイッチの構造に還元していえば、一般的なスイッチでは入力が感知される点=アクチュエーションポイントとスイッチが戻る点=リセットポイントはほぼ同じ高さの絶対的な位置で固定されているため、即応性を高める(=アクチュエーションポイントを短めにする)と現実的にコマンド入力に差支えないあそびの深さというのも決まってくる(深すぎるとなかなかボタンが戻らず、意図しないコマンド入力になってしまう)わけで、押し心地のために確保できる総ストロークの幅が制限されていく。
だが、これがラピットトリガーであれば、アクチュエーションポイントとリセットポイントをそれぞれをソフトウェア側で制御して相対的な長さに設定できる(端的な例としては、↓↓コマンドなんかでボタンが物理的に戻りきらなくてもすぐに二度目の入力ができる)わけで、押し心地のためのある程度長めの総ストロークと即応性とを同時に追い求めることができるのだ!
さて、ラピットトリガーを採用したレバーレスというと先にVarmilo FK2が安価な価格帯で登場していたのだが、個人的にボタン枠無しなのとボタン配置が好みのものではなくて手が出なかった。
それが、今回のHA10は個人的に使い慣れてる弱P上に追加ボタンがある配置になっており、これは試してみる価値があるなと思い買ってみたのだった。
外観
がっちりした全面金属筐体。高さはPWS miniboxと同じぐらいで、縦横は一回り大きい感じ。

重さはレバーレス基準でいえば重めの2kg。裏面には全面に滑り止めが貼られており、膝置きしたときにしっかり安定するのは良い。

蓋感あるデザインではあるが筐体は開かず、ボタンは専用工具でつけ外しする構造。まあラピットトリガーのスイッチなんで専用の基盤だと思うので、筐体は開ける必要はないだろう。
USB type-C端子は固定ネジ付きのケーブルが用意されている。

正直ラピットトリガー抜きにしても非常にビルドクオリティが高くてこの筐体は好み。
ボタン
押下圧力40gf・総ストローク1.5mmということで、ちゃんとレバーレスコントローラ用に作った、万人受けするボタンという感じのスペック。 心なしか数値より重めというかフニっとした感触に感じるが、これがラピットトリガー特有のものなのかは分からないし、特段それで困るわけではないかな。
ボタン自体も高級感ある陶器のような触り心地の素材が使われており、変に指に引っかかることもない。
ボタンは専用のものになっていて配線不要で交換できる。


ちなみに異なるストロークの交換ボタンも用意されている。
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ちなみにコントローラ接続時にラピットトリガーの磁力の校正がされるのか、接続LEDがチカチカしてる段階でうっかりボタンを触ると押下判定が変になるので注意。
設定ツール
PCモードにスイッチを設定して接続し、専用サイトにアクセスすることで各種設定を行うことができる。



必要なものは一通り揃っているし、わかりやすいUIになっていて好感触。
実際に使った感想・まとめ
僕の場合はこれまで、JPではマイクロスイッチのコントローラ・それ以外のキャラでは普通のキースイッチのコントローラという使い分けをしてた。
いかんせん比較元がマイクロスイッチのボタンだと個性が真逆なので良い悪いの判断以前に手のなじみの問題はあるけれど、キースイッチの使い勝手のまま性能を追い求められるので万人受けする操作性だとは思う。
その上でキースイッチと比較すれば歩きとガードの切り替えの反応なんかは明らかに早くなった。「やるぞ」と意識しなくても歩きモーションが出ない速度でのカクカク動作ができる感じ。
ことJPを使っていると下下コマンドの速度・精度が何かと求められるわけで、キースイッチのレバーレスだと指の動きが十分でなくて「押したつもりで押せてない、離せたつもりが離しきれてない」でスカるのが問題だった。 マイクロスイッチでは感触で「ちゃんと押せた・離せた」が分かることが大きなメリットだったんだけど、HA10ではそういう感触こそないがラピットトリガーの恩恵で短距離でON/OFFされるのでスカることなく入力できているように感じる。
(あとマイクロスイッチは板バネ構造的にすぐチャタリングを起こしてしまう低寿命さが嫌な点ではあった。ラピットトリガーに関しては特別寿命が短いような情報は見かけないし、構造を考えるに大丈夫そうな気はするが、しかしこればっかりは実際にある程度の期間使っていってみないとなんとも言えない)
これはガジェットオタクとしては皮肉な話だけど、そもそも複数のコントローラを使い分けること自体がボタン配置の微妙な差への手のなじみの弊害を生んでいる気がするわけで、そこを「性能は間違いないんで、ひとまずこいつ使っておけば大丈夫」という安心感で割り切って統合できたのは大きい。
レバーレスコントローラも安価な選択肢も増えてきた昨今においてはお高めな価格帯に属する製品ではあるけど、財布に余裕があるなら変に迷って色々な物に手を出すよりもこいつを一回試してみる価値はあると思う。
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