こんにちは。株式会社スマートバンクでプロダクトマネージャーをやっているinagakiです。
最近プロダクトマネージャー(PM)のイベントに参加させていただく機会が増えてきているのですが、そのたびにtoCプロダクトのPMの方に出会わないな…と感じます。
どうやらtoCスタートアップへの投資総額が10年で下がり続けている話もあるそうです。個人の感覚的にも、もしやtoCプロダクトスタートアップの数が減っているのでは?と感じています(統計的にどうかは知りません)。
トップVCのC向けスタートアップへの投資額はこの10年で下がり続けて全体の6%しかないという衝撃の事実 pic.twitter.com/94RiCrxqEz
— 久保田 雅也@Coalis (@kubotamas) 2025年1月20日
私自身、ずっとtoCプロダクトのPMをしてきました。そうした経験の中で、toCのPMらしい経験、特に「プロダクトビジネスをマネジメント」する経験が面白いし、PMとしての成長に繋がるのではないかと思っています。
そのため、そうした環境が少なくなってきているのは勿体無いと感じますし、同時に、実は今toCプロダクトの経験を積むことは希少性の観点でチャンスなのではないかと思います。
ぜひ挑戦してみませんか?という気持ちで、toCプロダクトのPMらしい経験について書いてみます。
toBとtoCでのプロダクトづくりの違い
よくtoBプロダクトとtoCプロダクトでPMは違うのかという話が挙がりますが、本質的な役割や動きは変わらないと思います。
ユーザーを解像度高く理解し、課題の優先度をつけ、あらゆるステークホルダーと連携して、ソリューションを届け…という、PMとしての「骨格」に差はありません。

しかし、考えるとき・動くときの重心の置き方や捉え方に違いが出てくるように思います。 まずは、そういった違いを生み出す、それぞれのプロダクト特性をざっくり整理してみようと思います。
1. 顧客接点
toC:ユーザーが非常に多様。直接会うこともできるが、1人あたりの接点密度は低い。
toB:セールスやカスタマーサクセスが接点となり、頻度・密度高く接することができる。
2. 意思決定とプロダクトの評価軸
toC:意思決定者=利用者。情緒的な価値や感覚がたぶんに加味されるので、評価軸が曖昧。
toB:意思決定者≠利用者。機能的価値で評価され、ROIを評価しやすい。
3. 販売・マーケティングチャネル
toC:プロダクト自身がプロダクトを売る。人が介在せず、プロダクトマーケティングがメイン。
toB:人が介在して販売する。営業的アプローチがメイン。
4. プロダクトとマネタイズの関係性
toC:ユーザー体験とマネタイズの相関性が強い。利用者が良いと感じたときに購入・課金される。
toB:導入担当者が価値に見合う価格かを導入時に判断する。
「toCプロダクト」「toBプロダクト」とだいぶ主語がデカい整理をしているので、当てはまらないケースもあるかと思います。
ただ、相対的に、
- 多様な声や情報から仮説を抽出する難易度が高い
- 情緒や感性を織り込むため、価値が曖昧で捉えづらい
- マーケティングやマネタイズなども一貫して加味するため変数が多い
といった点がtoCプロダクトの難しさとして挙げられます。
大きな傾向として、toCプロダクトはより不確実性の高いプロダクトづくりなのではないかと思います。
toCプロダクトのPMは”総合格闘技”
こうした特性を踏まえて、toCのPMは相対的に以下の特徴を持つように思います。
1. 潜在的な価値を見いだしていく必要がある
一般の人が日常生活で持つ課題は明快に言語化されていません。インタビューなどを通じて、ユーザーがモヤモヤ感じていることの裏側にある課題を深掘り、見つける必要があります。
また、「ターゲットセグメント」という括りの中でも、会うたびに多種多様な人が存在しています。一見すると異なる生活・価値観を持つ多様な人たちから、共通する普遍的で大きな課題を抽出する必要があります。
また、課題解決や価値がわかりづらい場合が多いです。
「早い・安い・美味い」という類のベネフィットはわかりやすいですが、「安心できる」「つながりを感じられる」「満たされる」といった類の価値(情緒的な価値)は、価値があるかの度合いをデジタルに評価できません。
このように、言語化されていない課題を見いだし、明確に判断しづらい価値を作っていく必要があります。何がユーザーにとって価値になるかわかりづらいため、不確実性マネジメント能力が重要になります。
他にも、課題を見つけるリサーチ能力や抽象的な議論を通じて課題や要件を言語化する力が必要になります。
2. 機能的価値だけでなく情緒的な価値もつくる
あなたのスマホの中に、合理的な利用だけで使っているアプリはどのくらいありますか?なぜ同じジャンルのアプリでもAではなくBを使っていますか?
こうした問いを投げかけられて、自分が1人のユーザーとして、必ずしも合理的な理由のみで利用判断をしていないということに気づくと思います。
toCプロダクトは機能的な価値(◯◯ができる、◯◯より安い等)だけではなく、「なんか好き」「安心できる」といった情緒的な価値も含めてユーザーに評価されます。
プロダクトによっては情緒的な価値の比重が高いものや、競合との差別化要素(武器)になるものもあります。
この、「なんか好き」を生み出すためには、さまざまな体験の引き出しの多さや「線」で体験をデザインする力、各所で意図通りの体験を実現するための情報設計をする力などが必要になります。
3. プロデューサー的な側面も持つ必要がある
toCプロダクトはセールスが介在しないため、「プロダクト自身がプロダクトを売る」状態を作る必要があります。そのためには、マーケットで選ばれるポジショニング選定はもちろん、如何にわかりやすく価値を伝えるか・届けるかという点が重要になります。
その際、価値の届け方とプロダクトが提供する価値に一貫性がなければならず、必然的にPMにマーケティング能力が必要になります。
また、ユーザー体験とマネタイズが相関しているため、ユーザー体験を考えつつ、どう儲かるようにするかという点も合わせて考える必要があります。
そのため、事業として求められていることを正確に理解し、その実現のためにプロダクトを作るという姿勢が重要になります。
以上の特徴がありつつ、toCプロダクトは不確実性が高い分、高速で仮説検証を回していく必要があります。
そのため、体験を通じて価値を提供し、その価値を届け、価値を通じて稼ぐという一連に一貫性を持つ必要があり、必然的にPMが全体を見通す必要があります。

結果的に、PMはリサーチや課題特定、体験設計といったPMらしい役割だけでなく、デザインやマーケティング、ビジネスなどの広範囲を一人格で担う必要があります。
境目が曖昧だから、”プロダクトビジネス・マネージャー”になれる
このように、toCプロダクトのPMはその視点や担う役割が広い分、プロダクトとマーケティング、マネタイズの境目は曖昧になります。
そして、プロダクトも、そのマーケティングも、プロダクトの収益化のシナリオもPMが詳しいのであれば、事業計画を書くのもPMに任されるし、その事業全体のマネジメントも任されるというのが自然の流れでしょう。
そうなった結果、いつの間にか事業責任者をやっているということも多いのではないかと思います。私自身も、事業責任者とPMを兼務したり、事業責任者として実質PM的な動きをすることが多かったです。
toCプロダクトのPMをやるということは、そのプロダクトを中心とした事業のマネジメント(責任者)をやるという心構えで向き合った方がよいですし、自然とそうなってきます。
すなわち、toCプロダクトにおいては、プロダクトのマネージャーではなく、「プロダクトビジネス」のマネージャーという在り方が重要だと思います。

こう捉えると、PMにとってより面白い経験になるのではないかと思います。
プロダクトを通じた事業への寄与度が圧倒的に高いですし、もちろんやっていることが非常に難しい分、それを解いていく楽しさも味わえます。
プロダクトを通じて価値を実現し、事業に貢献するというプロダクトマネージャーの本質から捉えると、こうした経験が一皮剥けるためにも必要なのではないかと思います。
PMなら一度はtoCプロダクトで経験を積むのがおすすめ
ここまでの話で、toCプロダクトのPMは「プロダクトビジネス」の視点を持ち、総合格闘技的に立ち回る必要があるため、ハードルが高いと感じる方も多いと思います。
しかし、現在toCプロダクトのPMをしている方々も最初は未経験でした(そのはず)。
最後に、未経験からtoCプロダクトのPMになるために必要なこと(経験)を考えてみたいと思います。
1. 事業成果にPMとして責任を持つ経験
プロダクトを通じた価値提供という変数を通じて、ユーザー獲得やマネタイズなどのビジネス成果を得ようとするという経験です。
私自身、新卒でスマホゲームのプロデューサー(今でいうPM)を経験させていただいたのですが、価値を届けること・価値で稼ぐことと行き来しながら、プロダクトを通じてどういった価値を作るかという視点を得られたことは、その後とても大事な糧となりました。
成功体験を持てるかどうかにかかわらず、この難しさや勘所を掴む経験が必要ではないかと思います。
2. 情緒的な価値をつくろうとする経験
合理を超えた「なんか良い」から選んでもらえる価値を生み出すために試行錯誤する経験です。
これは簡単ではなく、かつ何か正解があるものではないため、まずは自分の中で感覚を掴んでいくことが重要になります。
説明しきれない情緒的な価値を提供しようとbetしつつ、周囲を巻き込んで意思決定していく力も、こうした経験を通じて養っていく必要があります。
3. PMとして「プロダクト外」に染み出す経験
PMとして役割を果たすために、場合によってマーケティングに染み出したり、オペレーションやカスタマーサポートに染み出したり、領域を越境して経験です。
全体の一貫性を保つために、プロダクトビジネス全体をメタ認知しつつ、今PMがすべきことを決めて動きを切り替えていく機動性はtoCプロダクト特有で、そのバランス感覚は経験を通じて学ぶことが重要だと思います。
こうした経験は、toCプロダクトの環境で積むことが最短距離になると思います(なんだか”鶏卵”みたいな話ですみません)。
なぜなら、そのプロダクトづくりの特性上、何かの”役職”につかなくても自然と経験することができるからです。
また、これらの経験は座学では身に付かず、失敗を繰り返して自分なりに掴んでいくもののように思います。なぜなら、toCプロダクトはユーザーが多様すぎるためか、再現性のある「正解」がないため、教科書的なフレームワークや正攻法がほとんどないからです。
だからこそ、自ら実践(失敗)を積み重ねつつ学習でき、周囲の経験の深い人から”超具体”な学びを吸収したりして、経験的に得られた学びを血肉にしていける環境があると、未経験から着実に力をつけていけると思います。
手前味噌ですが、弊社は代表の堀井翔太をはじめtoCプロダクト経験が豊富なメンバーがいて、PMが足りていない(というか居ない…)プロジェクトもたくさんあります。
周囲から学びつつ、実践を通じてtoCプロダクトづくりを経験できる株式会社スマートバンクは、未経験から始めるのにうってつけの環境です!(PR)。
「自分にできるかな…」と思っていても飛び込んでみなければ始まらないと思うので、ひとまずチャレンジしてみるのがおすすめです。
株式会社スマートバンクでチャレンジしてみませんか?
株式会社スマートバンクでは2025年からtoCプロダクト未経験の方、ミドルPMの方の募集を積極化しています。
これまでは「プロダクトビジネス・マネージャー」を即戦力として担える経験豊富な方をメインに募集していました。一方で、なかなかそういった方が多くないとの感覚もあります。
サポートを受けながら、toCプロダクトらしい経験を積んでいきたいという方にもぜひチャレンジしていただきたいと考えています。
toCプロダクトど真ん中な環境で、「プロダクトビジネス・マネージャー」になりたいという方にぜひお会いしたいです!