NCIP(NAGOYA Clinical Informatics Program 、以下NCIPと記載)を無事修了しました。

NCIPとはなにか
NCIP公式ページの説明を引用しました。
医療情報ならびにそのシステム開発に関する人材育成を目的としたリスキリング/リカレント教育のプログラムです。 すでに愛知県と行っている専攻医教育のプログラムである「東海医療情報学社会医学系専門医研修プログラム」を拡充する形で、有料のプログラムを追加し、医療IT教育のリスキリング教育を充実させることを目的としています。 NCIPは、全てWebの講義を予定しており、国内の専門家集団による医療情報に関する体系的・網羅的な知識の習得を目指し、「概要」と「実践」の2つからなる講義体系を形成しています。
このような医療情報分野のリスキリング/リカレント教育のプログラムは米国において広がりを見せているようです。代表的なものに、AMIA(アメリカ医療情報学会)の「10x10プログラム」というものがあるようです。NCIPを開講されている名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター長の白鳥先生からも、米国ではこのようなリカレント教育が先行しているという話を伺いました。
10x10プログラムについてのAIによるまとめを引用します。
2010年までに1万人の医療情報専門家を育成することを目的に、オレゴン健康科学大学(OHSU)と共同で開始された教育プログラムです。現在も継続されており、臨床医やITエンジニアが働きながら専門知識を習得するモデルとなっています。
しかし日本においては、このNCIP以外にはこのような医療情報分野でのリスキリング/リカレント教育のプログラムは多くないようです。これから医療とITどちらも担い手が少なくなっていくと言われています。医療とITどちらの目線からもこのようなプログラムを盛り上げていくことは少ない人間で現場を回していくために必要かつ大事なことだと認識しました。NCIPを知らない方や受講を迷っている方へ情報提供できたらと考え、この記事を書くに至りました。
なぜ受講したか
私は医療情報技師の資格を取得し、ラッキーなことに実際の医療情報関係の案件に携わることができました。しかし、現場で使える知識と技術が足りていないと感じることがありました。このギャップを埋めたいと思っていたところに、医療情報学会のメーリングリストでNCIP第2期開講のメールが来ました。 上述したようにNCIP以外に医療情報分野でのリスキリング/リカレント教育のプログラムは多くないようなので、受講しないと後悔するだろうと思い受講することにしました。
受講費用
登録料1万円+費用25万円で、合計26万円程度でした。他の受講生に聞きましたが会社や医療機関に負担してもらい参加している人が多そうでした。私は自費でした(この点については理由を述べるつもりはないです)。基本的にはオンラインですが、2-3度ほどオフラインでの会合がありました。
講義の構成と全体量
1時間以上の講義動画が40本以上ありました。ざっくりですが下記のような講義がありました。
- 医療情報学総論
- 医療IT化の体制
- 電子カルテと部門システム
- 看護や臨床工学における医療DX
- プロジェクトマネジメント
- 補足すると、医療DXプロジェクトを遂行するうえでプロジェクトマネジメントの考え方が必要だからこの講義があったと理解している
- 医療の標準化・最適化
- 遠隔診療・地域連携システム
- 医療情報システムと医療安全
- 災害・BCP・バックアップ
- 医療ビッグデータとその解析(NDB、DPC、PHR、レジストリ等)
- 情報リテラシー・情報セキュリティ
- 診療報酬制度と病院経営
- 臨床検査データの標準化と品質管理
- 医療倫理・個人情報保護
- データの標準化と品質管理
- 診療情報管理士とシステム
- 臨床研究と治験
全体量としては60時間程度だったと思います。動画視聴のeラーニングシステムでは最大2倍速まで再生速度を選べたので、少しは動画視聴時間を圧縮しながら学ぶことができました。しかし、投影されている資料を見ながらメモを取る時間があるので、60時間には収まらないどころか少なく見積もってもその2-3倍くらいはかかっていると思います。
感想
講師陣が豪華(医療情報学の第一線で活躍する方々)でした。また講師陣に質問したり話す機会が得られました。非常に濃い経験ができたと感じています。受講生や講師の方とのつながりが得られただけでなく、OB・OGとのつながりも得ることができました(今回私が受講したのは第2期でしたので第1期のOB・OGがいて交流会に来てくれていました)。 受講して知識はついたものの、実務というか医療機関での実践レベルの知識や技術はつかない(例えばDICOMの画像解析や通信解析、医療ビッグデータ解析が今すぐできるようになったわけではない)ので、現場で学んでいく必要があると思います。体系的に知識を得られたので医師やコメディカルスタッフのみなさんとのコミュニケーションはしやすくなったと思います。 受講料は安いとは言えないですが、講義内容のクオリティは高いかつ他では得られない知識と経験が得られますので個人的にはおすすめできます。医療DXを行っていく人や、多職種でチームを組んで行う医療の現場で活躍する方々にとっては大変有益と感じました。