吉田真吾(@yoshidashingo)です。

今年10月に2年ぶりにOpenAI DevDayが開催されました。わたしはGenerative Agents社の仲間とともにSan Franciscoの現地で参加してきました。
新リリースが続々
DevDayの前にリリースされたものも含めて、キーノートでSam Altmanが新リリースを発表しました。概要をざっと以下にまとめます。
1. Apps in ChatGPT
すでに競争力のあるサービス向けに、そのサービスをChatGPTのチャット内で利用可能にするApps in ChatGPTが発表されました。
ChatGPTはいまや週間アクティブユーザー数が8億人に到達しています(DevDay内で発表)。有料ビジネスユーザーは500万人であると伝えられていることから、無料だがそこそこ利用するユーザーが有料ユーザーの160倍いることになります。同種のサービスをはるかにしのぐユーザー規模であり、OpenAIにとっては有料ユーザーと同じくらい、この大規模な無料ユーザーのプールも将来的な収益源として重要と認識しているのでしょう。
そこでOpenAIにとってはこのチャットサービスを、Deep Researchをはじめ、普段ユーザーが使ってるさまざまなサービスにアクセスするための統合的なフロントとして作り込めるようにすることで、ポータル的な価値を高めることが最重要であると位置づけてると感じます。
This week, ChatGPT is on track to reach 700M weekly active users — up from 500M at the end of March and 4× since last year. Every day, people and teams are learning, creating, and solving harder problems. Big week ahead. Grateful to the team for making ChatGPT more useful and…
— Nick Turley (@nickaturley) 2025年8月4日
Apps in ChatGPTにより、たとえば、Spotifyで今のムードにあった選曲をさせたり、ECサイトを検索させてショッピングをしたり、会話中のChatGPTから離れずにリッチな体験が実現するということで、今後多くのサービスがChatGPTというユーザー接点をサポートしていくことにも期待です。個人的には、暇ができてNetflixを開いても何を見ようか迷うことが多いので、わたしの好みやムードに合わせて『こんなビデオがあるよ。こういうストーリーで、YouTuberの○○さんもオススメしてるよ』と教えてくれると嬉しいな、なんて思いました。
2. AgentKit
OpenAIからノーコードでエージェンティックな処理を実現できるAgentKitがリリースされました。AgentKitはいくつかの機能を包含した名称であり、以下の3種類の機能で実現されています。
- Agent Builder:マルチエージェントワークフローの作成とバージョン管理のためのビジュアル canvas
- Connector Registry:管理者が OpenAI の製品間でデータとツールを接続する方法を管理できる一元的な場所
- ChatKit:カスタマイズ可能なチャットベースのエージェント型エクスペリエンスを製品に組み込むためのツールキット
具体的にはChatKitでフロントにリッチなチャットUIを埋め込むことができ、そこからAgent Builderで作成したエージェントのエンドポイントを呼び出して利用することが可能になります。Agent Builderで作成したエージェントはChatGPT EnterpriseなどのユーザーであればConnector Registryで企業内のデータにアクセスして社内業務を作り込むこともできます。
3. APIでのSora 2
DevDay直前にリリースされ、その創造性の高さや、さまざまなIPが出力できてしまうことで(悪い意味で)話題をさらったSora 2が開発者向けにAPI経由で動画生成できるようになりました。
その後のセッションが面白かったのですが、OpenAIのソリューションエンジニアが作った動画編集ソフトのようなWebアプリを使って、
- カット割ごとのラフスケッチを手書きする
- ラフスケッチからカットごとにImage Genを使って複数の画像を生成→もっとも良いものを選択する
- 選択した画像からSora 2を使って複数の動画を生成→もっとも良いものを選択する
- つなげると長編動画になる
というデモがありました。
近いうちにこの動画生成スタジオアプリもリリースしたいとのことで、今後Soraを使った独創的な映画が、たくさんのクリエイターたちの手によって生まれる日も近いと実感しました。
4. Codex
Codexの一般提供が開始されました。と同時に、SlackやGitHub Actions連携も提供開始されました。さらにCodex SDKを使うことで、自分のシステム内にCodexを組み込むことができます。これによりコーディングエージェントとして組み込むという用途に限定せず、汎用エージェントとしてシステム内で手軽に強力なAIエージェント基盤として使うこともできるようになったという意味です。9月に開催されたServerlessDaysでお話ししたGenerative Agents社のタスクエージェントはプロトタイピング基盤としてClaude CodeをCloud Run上で汎用エージェントとして稼働(その後Claude Agent SDKがリリースされましたが)しており、OpenAIでも同様のことがCodex SDKのみで組み込み可能になったということです。
5. GPT-5 Pro in API
GPT-5シリーズの中でもとくに推論性能に優れたProモデルがAPIから利用可能になりました。
6. コストに優れたモデルの追加
GPT Realtime と GPT Image 1 の2つのコストに優れたテキストモデルと画像モデルがそれぞれ追加されました。
https://platform.openai.com/docs/models/gpt-realtime-mini https://platform.openai.com/docs/models/gpt-image-1-mini
その他のセッション
今回わざわざSF現地まで行った理由が、ジョナサン・アイブとサム・アルトマンの対談セッションを生で観ることでした。OpenAIは今年の5月、iPhoneなどのデザインを手がけた元アップルの伝説的なデザイナー、ジョナサン・アイブが設立していたAIデバイスのスタートアップ「io社」を買収していました。そこから表立って出てくる情報はとくになかったので、これが実質パブリックな場所でOpenAIのジョナサン・アイブを見られる初めての機会でした。
一説ではオフラインのデータを取得して生活に役立つウェアラブルデバイス、いわゆるソシオメトリックバッジ+生成AIのような製品を開発中ではないかということで、新製品の発表があるのかと期待していました。が、今回そういったデバイスの話はなし。肩透かしを食らった形ではありますがジョナサン・アイブの昨今の生成AIに関する解釈や、仕事の哲学を聞く時間になりました。
ジョナサン・アイブの大物感にサム・アルトマンも若干タジタジな印象を受けますね。
その後の発信
緊急開催 OpenAI DevDay ラップアップ
OpenAI DevDayはコンパクトなイベントながら、業界リーダーとして今後の方向性を確認する意味で割とタメになるイベントだったので、興奮冷めやらぬうちにこんな感じで現地から感想戦の配信をしました。
generative-agents.connpass.com
Newbeeで話してます
さらに、OpenAI DevDayに参加した感想は、こちらのNewbeeというチャンネルでも会話しています。
ぜひご覧ください。
まとめ
OpenAIはその圧倒的なビジネス規模と、いまだにスタートアップらしい気概が同居している不思議なベンダーだというのが今回の率直な感想でした。なによりChatGPTというBtoCのサービスをさらに便利にするために「プラットフォームとして」必要なことをしっかり厳選して推進しているという印象で、向こう数年は引き続き適切なモデル能力や機能・ソリューションの提供を強力に進めてくれそうだと感じました。