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4社合同イベント!Mobile Tech Flexを開催しました!

こんにちは!サイボウズのトニオ(@tonionagauzzi)です。普段はkintone開発チームにてAndroidアプリを主に開発しています。

今回は、ディップ株式会社株式会社Voicy株式会社ヤプリ、そしてサイボウズ株式会社4社合同でモバイル勉強会を開催しました。

本記事では、イベントの概要と当日の様子をお届けします!

イベントの概要

Mobile Tech Flexは、モバイルアプリ開発に携わる人々が集まり、各自の取り組みをLT形式で発表する合同勉強会です。DroidKaigi 2025の会場やアフターイベントで出会った4社のメンバーたちが2025年末から開催準備を進め、無事開催することができました。

今回のテーマは「モバイル開発で自慢したいこと」です。技術的な挑戦、チームの文化、プロダクトへのこだわりなど、各社が「ここを見てほしい!」というポイントを持ち寄って共有することで、お互いの学びを深め、モバイルコミュニティを発展させるねらいがあります。

ソフトウェアエンジニアだけでなくQAエンジニアなど幅広い職能に参加させてもらえるよう、職能の壁を越えた交流を意識し、勉強会のテーマ決めを行いました。

会場は六本木の株式会社ヤプリで、29名の方に事前申し込みいただきました。

六本木の高層からの絶景!おしゃれなカフェスペースでした!

イベント情報

  • イベント名:Mobile Tech Flex 〜4社合同!私たちのモバイル開発自慢大会〜
  • 開催日:2026/02/16(月) 19:00開始
  • 会場:株式会社ヤプリ
  • 共催:ディップ株式会社 / サイボウズ株式会社 / 株式会社Voicy / 株式会社ヤプリ
  • connpassページ:https://mobiletechflex.connpass.com/event/381976/

当日の様子

当日は全7セッションのLTが行われました。ここでは各社の発表をダイジェストでご紹介します!

LT (1) : AIとなら実現できる事業と品質のシン化の両立

トップバッターはVoicyのおはぎさん(@a_key_bako)。AIを活用して事業成長と品質向上をどう両立させているかというテーマです。

モバイルチームの生産性指標の変化として、デプロイ数÷(開発者数×営業日)の指標が、2025年8月に0.29だったものの2026年1月には1.0を超えました。モバイル開発に不慣れなエンジニアでもボイラープレート的実装をAIに任せつつ、アウトプットを出せるようになったのです。

VoicyではClaude Codeを中心に、実装・レビュー・越境開発の3領域でAIを活用しています。GitHub Copilotによるコードレビューでは、人間とは別の視点でのフィードバックが得られる点が好評です。でもたまにめちゃくちゃ嘘をつかれるのでスルーするスキルも大事という現場感あるコメントには会場が笑いに包まれました。

一方で、技術的負債の解消やAI活用の限界についても率直に話されました。AI活用で生産性は上がったものの、根本的に開発の仕方が変わったわけではないので、3倍4倍という爆発的な向上にはまだ至っていないと話していました。また、AIが非専門領域のコードを書く頻度が増えるほど、Lintルールやアーキテクチャの原則などのガードレールの重要性が増します。

技術的負債への優先度付けは、重要度漸進可能性楽しさの3軸で判断しているという話が印象的でした。特に、楽しさを軸に入れているのはモチベーション維持のために大事だなと思いました。

LT (2) : OSアップデート:年に一度の「大仕事」を乗り切るQA戦略

ヤプリのぐっさん(@Myamaguchi75201)は、毎年やってくるOSアップデートに対するQA戦略について発表しました。

Yappliはノーコードアプリ開発プラットフォームだからこそ、Yappliで作られた1つ1つのアプリが異なる機能や設定を持っており、OSアップデート時の影響調査が非常に大変です。

課題として挙げられたのは3つです。リグレッションテストケースの肥大化、機能仕様の属人化、そして実際のクライアントアプリを使ったアピアランステストの観点が標準化されていないことです。

対策としては、テストケースの見直し、チーム内での自動化勉強会の実施、そしてAIエージェントを活用したテスト観点の抽出を進めているとのことです。特に、過去のテストケースやテスト仕様書、実装のdiffをAIに読み取らせ検証項目を抽出する運用を目指しているという話は、QAエンジニアによるAIの活用事例として参考になります。

普段ソフトウェアエンジニアをしているとなかなかQAエンジニアの視点からのAI活用事例を聞くことはないので、今回のような職能を越えた勉強会の良さを実感できた発表でした!

LT (3) : "レビュー"だけだったAI活用から半年。ヤプリのiOS開発・運用はどう変化したか?

ヤプリのkogaさん(@ko_yack)は、半年前にコードレビューからAI活用を始め、その後iOS開発・運用がどう変化したかを紹介してくれました。

半年前のAI活用はGitHub Copilotでのコードレビューとチャットでの壁打ち程度でしたが、社内のAI委員会発足やAIガーディアンチャンネルの開設といった組織的な後押しもあり、現在はClaude Codeを中心に設計・実装・テスト・レビュー・ビルド配布・問い合わせ対応まで全工程でAIを活用するようになったそうです。

特に興味深かったのが、エージェンティックコーディングで直面した課題とその解決策です。大きめのプロジェクトではコンテキストが枯渇してしまう問題に対して、ドキュメントの構造化、具体的にはルートのインストラクションから必要な時だけ各ドキュメントを参照する設計で対処したとのことです。

さらにSDD(Spec-Driven-Development、仕様駆動開発)を導入し、仕様策定の段階からAIを入れることで、コードパターン・アーキテクチャ・依存関係・UIコンポーネントの探索をサブエージェントに分担させ、コンテキスト消費を最適化したそうです。

AIで作成したiOSの仕様書・実行計画書をAndroid向けに変換して、同じ機能をAndroidでも実装できたという話や、スナップショットテスティングをAIに自動更新させる運用の話もありました。AI活用の幅広さ、そして半年という早さでそれを実現する組織力を感じました。

AI社員がJiraチケットの問い合わせに一次回答してくれる仕組みもうまく回っているそうで、今後は軽微な修正をAIが自律的に拾って対応する方向を目指しているとのことです。

LT (4) : 謎現象の解決手段を発見して プチ英雄になりました

サイボウズの市村(@shiosioco40)は、誰もが首をかしげた現象を見事突き止めた過程を発表しました。

kintoneの本体側がReactに刷新される中で、React版にしたらモバイルの機能が動かなくなったという報告から不具合調査が始まりました。kintoneモバイルアプリはWebViewとネイティブ機能を組み合わせている都合で、JavaScriptInterfaceを使ってWebViewからAndroidのネイティブ機能を呼び出す仕組みがあるのですが、これがReact版で機能しなくなったのです。さらに不思議なのは、Android版だけで問題が起きており、iOS版では問題なく動作していたのです。

最小限の再現環境を作って切り分けを進めた結果、React自体との相性ではなく、React版で導入されたバリデーションライブラリZodがJavaScriptInterfaceのプロパティを参照する際に「参照」と「実行」を分離してしまうことが原因だと判明しました。これはChromiumの仕様で、JSインターフェースのメソッドはプロパティアクセスと呼び出しが同時でないと実行できないという制約があるためです。

回避策として、JavaScriptInterfaceを呼び出す際にallow関数でラップして参照と実行を一体化させる方法を取ったとのことです。一見シンプルですが、WebとAndroidネイティブの境界で起きる問題は双方の知識が必要で原因特定が非常に難しく、この解決に至るまでの粘り強い調査が必要でした。

WebViewを使ったハイブリッドアプリを開発しているチームにとって、役に立つ場面があるかもしれない知見です!

LT (5) : Claude × Markdown で仕様書をいい感じに管理したい

サイボウズのAtria(@AtriaSoft)は、Claude Codeを活用してMarkdown仕様書を管理する取り組みについて紹介しました。

背景にあったのは、多くの開発チームが抱える仕様書の陳腐化問題です。Confluenceの仕様書は最終更新が2年前、さらにチームメンバーが入れ替わっており、もはや誰もメンテナンスできない状態になっていました。かといって、2人体制のチームで仕様書を一から書き直す余裕はありません。そこで、Claude Codeに仕様書を書かせるチャレンジを始めたのです。

構成は、サブエージェント4つ体制です。コードベースと既存仕様書を読み解くリーダー、Markdownで仕様書を生成・更新するライター、他の仕様書ページとの整合性や正確性を確認するレビュアー、そして冗長な記述を簡潔にするシンプラー。エンジニアが「この画面の仕様書を作って」と指示すると、この4つのエージェントが連携して仕様書を生成してくれるのです。

生成されたMarkdownはGit管理され、Bookstackなどのツールでエクスポートして非エンジニアも閲覧できるページとして公開したそうです。人間の役割が「書く」から「レビューする」に変わったことで、人間の負担が大幅に軽減されたとのことです。Gitの変更履歴からAIがコンテキストを拾えるのも嬉しいポイントです。

一方で、記述が冗長になりがち、図表の表現に課題など、まだチューニングの余地はあります。それでも、実際に使える仕様書を作れることがわかり、同じ悩みを持つチームにも取り入れてみたいと思える発表でした!

LT (6) : Kotlin Multiplatform + iOS アーキテクチャの実践

ディップの権 奈悟さんは、バイトルアプリにおけるKotlin Multiplatform(KMP)の実践について発表しました。

バイトルでは、ビジネスロジックをKMPで共通化し、UIを各プラットフォームのネイティブで実装するアプローチを採用しています。アーキテクチャにはMVI(Model-View-Intent)を採用しています。AndroidのUnidirectional Data Flowの考え方をiOSにも持ち込むことで、AndroidとiOSのチーム間でコードの読み方やレビュー観点を揃えられるメリットがあるのです。

KMPのiOS連携では、KotlinのsuspendやFlowがObjective-Cに変換されると扱いづらくなる問題に対して、SKIEプラグインを導入してSwiftフレンドリーなAPIに変換しています。また、現在はKotlin/Nativeの新しいメモリモデルの実験も進めており、安定版になれば移行予定だそうです。

AndroidエンジニアとiOSエンジニアが同じチームで開発しているからこそできるアーキテクチャ選定で、KMPを実プロダクトで運用する際の参考になりそうな発表でした!

LT (7) : バイトルiOSアプリのリアーキテクト / SwiftPMとAIルールで実現するモジュール設計

ディップの宮川 昌高さんは、バイトルiOSアプリの大規模リアーキテクチャについて発表しました。

15年以上の歴史を持つバイトルアプリでは、システム的な課題の解消と事業成長の加速を目的に、大規模なリアーキテクチャを進行中です。今回はその中から、SwiftPMによるマルチモジュール設計にフォーカスした内容でした。

モジュール分割の基準は、機能単位の分割、KMPやFirebaseなどの外部依存の隔離、そして再利用性の確保です。SwiftPMの採用により、モジュール定義や依存関係をSwiftコードで管理でき、循環参照もコンパイラレベルで検知してくれるようになったそうです。Xcodeのプロジェクトファイルのコンフリクトからも解放されたという話は、iOS開発者なら思わず頷いてしまいそうです。

一方で、KMPやFirebaseに依存するモジュールを参照するとSwiftUIプレビューが動かなくなるという課題もありました。対策として、インターフェースモジュールを用意し、依存を切り離す構成にしたとのことです。

もう一つの本題は、Claude Codeとの付き合い方です。当初はCLAUDE.mdに設計ルールを全部詰め込んでいたところ、AIが余計なコンテキストを読み込んでモジュール設計に沿わないコードを生成する問題が発生したといいます。そこでCLAUDE.mdを最低限にダイエットし、iOSやKMPごとの.clinerules系ファイルに分離したそうです。さらに、レイヤーデザインとしてモジュールをグルーピングし、同じ層のモジュールは同じルールに従う設計にすると、AIの出力精度が向上したとのことです。

AIルールファイル自体が設計ドキュメントとしても機能するという副次効果も、聞いていて面白い発表でした!

懇親会

LTセッション終了後は、会場のカフェスペースで食事や飲み物が振る舞われ、懇親会を開催しました。

LT中に気になったポイントを登壇者に直接質問する姿があちこちで見られ、登壇者としてもフィードバックが嬉しかったのではないかと思います。「AIのルールファイルどうやって管理してますか?」「KMPの導入ってどのくらい大変でした?」といった会話が聞こえてきました。

六本木の夜景をバックに参加者同士が活発に交流していました!

まとめ

今回のMobile Tech Flexは、4社それぞれが日々のモバイル開発で磨いてきた知見やこだわりを共有し合うことができました。どの発表にも「自分たちの開発をもっともっと良くしたい!」という共通の想いが感じられました。

ソフトウェアエンジニアだけでなくQAエンジニアやマネージャーの方々も参加しており、職能の垣根を越えた意見交換ができたのも今回のイベントの良かった点です。発表の過半数がAI活用についてで、勉強会テーマに設定しなくてもAI活用の話題は各職能共通の関心事として自然発生することをあらためて感じました。

また、異なるプロダクトや異なる事業領域を持つ4社だからこそ、自社にいるだけでは得られない視点や刺激をもらえる場になりました。共催の1社の1人としても、自社のやり方と他社のやり方を比較することで学べた、とても有意義な時間でした。

参加してくださったみなさま、運営や登壇にご協力してくださったみなさま、ありがとうございました!




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