今回は、本シリーズの締めくくりとして、内部監査室長としてブレインパッドの仲間となった加藤康輔さんとともに、ブレインパッドのこれからの組織における多様性について対談しました。

グローバル企業での順風満帆のキャリアを経験した加藤さんが、なぜブレインパッドを選んだのか
新木
これまで4回にわたって多様性シリーズを展開してきました。管理職業務と育児を両立するお母さん・お父さん、外国籍のメンバー、障がい特性を持つメンバーにスポットライトを当てて対話をしてきました。登場いただいた皆さんに共通するのは、一人一人が何らかの「人生やキャリアの決断」をしてブレインパッドに集い、仲間として一緒に働いてくださっているということでした。
今回は、60歳を前にグローバル企業から当社に転職をするという大きな決断をされた、内部監査室長 加藤さんをお迎えし、シリーズを総括していこうと思います。
まずは、加藤さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください。
加藤
1988年にソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)に入社しました。最初の配属は、ウォークマンを中心とするゼネラルオーディオ事業本部で、生産や経営管理を担当しました。当時はバブル期の真っ只中、世界中でソニーのウォークマンが売れていた全盛期でもあり、「自分たちが世界を変えている」という感覚が満載のチームでした。
その後、日本や海外のソニーの事業部門や工場で、生産管理、経営企画、CFOなど、さまざまな分野を経験しました。例えばアメリカでは、欧州のメーカーとの合弁会社で社員数1,000人のほとんどを欧米の社員が占める中、日本人が私を含めて6人しかいないような会社で企画/管理やCFOを担い、中国・広州では3,000人の半導体系工場のCFOも務めました。そういった中で、大規模なレイオフを実行する経験もありました。さまざまな状況・状態の会社で、企画/管理、CFOを28年ほど経験し、最後の7年間は本社総務部門のトップとして、グループ全体の損害保険・環境・安全などの総務的な業務に加え、危機管理等のコーポレートガバナンスなど、幅広い業務を担当しました。
新木
豊富なご経験をお持ちの加藤さんが、なぜブレインパッドを選ばれたのでしょうか?
加藤
ソニーに残り続ける話もありましたが、私の中では、この選択をする可能性はゼロでした。理由は、私が会社に居続けてしまうことで、後任に指名したメンバーの活躍や若手の成長を妨げる。それは、会社のサスティナビリティの観点からすると逆効果だと考えたためです。
特に総務部門では、自身がカバーしていた領域が広いことや、総務業務の特性上、下部組織や業務が縦割りで、総務内の部署間の経験やスキルを共有、活かしづらいことを背景に、後進育成の仕組みを造りにくいことが課題でした。また、私たちは、いわゆるバブル期に大量採用されていた世代です。この世代の人間が長く在籍することで、次世代へのポジション提供がうまくいかないことや組織の活性化が進まない可能性があることに、企業のサスティナビリティ視点での危機感を持っていました。そこで、57歳という定年前の段階で「次の世代に道を譲る」と決断し、上長の専務とともに約1年半をかけて4人の後継者を昇格・抜擢・他本部からコンバートし、仕事を引き継ぎました。
新木
ソニーという会社のサスティナビリティを考えての決断だったのですね。他方で加藤さんご自身のキャリアも大切なはずです。その点は、どのようにお考えになったのですか?
加藤
総務業務や危機管理業務は難しい仕事でしたが、非常に楽しんでいました。24時間365日、世界中で何か大きなトラブルがあると、私の携帯が鳴るという緊張感が常にありましたが、「大好きなこの会社を支えている、役に立っている」という実感もありました。ですが、一方で、若手の部下が私のところに駆け込み相談するかもしれないという環境を残すことに、組織の成長とサスティナビリティの観点で強い危機感を持っていました。この危機感からも、当時の職場から身を引くことが大前提でした。「自分のこのあとの人生をどう過ごすか?」について考えましたが、自分の中に迷いはなく「社会に貢献できる仕事、さらなるチャレンジができる場所に身を置きたい」と思ったのです。
新木
自分のやりたいことがある一方で、次世代のために持続可能な社会/企業にすることに向き合うということも一つの責任ということですね。私自身も今後、自分の役割がどうあるべきかを考えるタイミングが来るのだろうなと痛感します。
そのような葛藤の中で、加藤さんがブレインパッドを選ばれたのはどういった理由ですか?
加藤
転職を考えるうえでは、大きく3つの軸がありました。
1つ目は、社会貢献への想い。常々、ボランティアをしたいという思いが強くありました。
2つ目は、国際性を持った仕事が継続できること。
そして3つ目は、自分の経験が誰かの役に立てる場所であることです。これらを踏まえて探していたところ、ブレインパッドと偶然出会いました。国際性の点では入社を迷いましたが、ビジネスを通じて社会貢献を成し遂げるという想いや、非常に若くて明るい会社であること、経営陣の人柄にも惹かれ、入社を決めました。

多様な人材が活躍できる環境が整ってきたからこそ、次に向き合いたい課題
──ブレインパッドに実際に入社されて、どのような印象を持たれましたか?
加藤
まず驚いたのは、経営陣の謙虚な姿勢です。お会いした皆さんが、上場企業の経営トップでありながら、驚くほど謙虚。社員の声を聴く文化も深く根付いている。フロアで会う社員も、私をよく知らなくても自然に挨拶してくれて、非常に風通しの良い企業風土だと感じました。
一方で、驚いたのは、平均勤続年数が長くはないことです。皆さんはブレインパッドを目指して入社され、会社の社風を好んでおられるのに、なぜ年数が延びないのだろうかと。直近の入社者が多いということも平均年数に影響しているといえますが、当社は「日本一の人材輩出企業を目指す」ことを掲げていることもあり、これからもチャレンジを続けていかねばならないように感じました。
──課題について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?
加藤
ブレインパッドは、創業して20年以上経ち、あと10年ほど経つと30年の歴史になります。つまり、今後は人を育てること、引き継ぐこと、つまり、人材のサスティナビリティが課題になっていくと思います。
この課題に対して、社員が自分の勤める企業に対する『「内発的」なブランド価値』を育むことが重要だと考えています。
前職のソニーでは、「ソニーで働くことの誇り(企業に対して抱く誇り=社員自らが企業に対して提供する価値と払う敬意+自分が企業から受ける価値や学び)」を、多くの社員が持っています。
これは、株価などの外部評価ではなく、社員一人一人が持つ、会社への深い愛着や敬意(ロイヤリティ)です。この誇りを感じているからこそ、多くの社員が「この会社のおかげで今の自分がある、この会社に恩返しをしたい。」などの想いが自然と湧いてくるようになります。
この「内発的なブランド価値」が育まれるためには、「会社が人を育てる」ことが欠かせません。ブレインパッドの場合、例えば、就業規則や制度は非常によく整っているのですが、それらの制度が生まれた背景や想い(企業理念)を「語りべ」として新しく入社した社員や後輩に伝えられる人、会社としての信念や考えが詰まった制度の意味や価値を体現できる人材が少ないように思います。つまり、まだ、「会社が人を育んでいく」仕組み(土壌)の構築が発展途上だと感じます。
新木
例えば、当社のエンゲージメントサーベイの結果はすこぶる悪いわけではないんです。むしろ点数の良い項目もたくさんあります。でも、平均勤続年数は決して長くない。これは、「とてもいい会社でした。ありがとうございました」と言って辞めていく仲間が多いということです。裏を返せば、「この勤続年数で十分満足した」ということかもしれません。
これを会社の課題として捉え、ブレインパッド(会社)が、社員(個人)を活かしながらキャリアの構築をどうサポートできるのかについては、「人材輩出企業」を目指す上で、必ず向き合う必要があると感じます。
加藤
そうですね。本シリーズでも取り上げられてきたように、バックグラウンドや状況が異なる多様な人材を受け入れる環境が整ってきた当社だからこそ、この「人を育むチャレンジ」をする覚悟を会社全体で持つことが重要だと感じています。その覚悟を理解するだけではなくて、実際に体現していく。それが大きなチャレンジになると思います。

人を育むことの本質
新木
「人を育むチャレンジ」に対して、どのようなアプローチが考えられるでしょうか?
加藤
大切なのは、「人を育てることへの本質的な向き合い方」だと思います。例えば、ソニーの経営陣が上級・中間管理職に対して口を揃えて言っていたのは、「自分がいなくなっても機能する組織をどう作るか」ということでした。自分で全てやらないと動かない組織は、本当の意味での経営とは言えないと、私も何度も指摘されました。
また、失敗から学ぶ姿勢、失敗から学ぶ組織も重要です。ソニーグループの吉田会長がよく言われていたのですが、「失敗から学べない企業は成長しない。失敗することは悪いことではない。失敗から学べないことこそが個人・組織・企業の成長を妨げる」と。この言葉は、ソニーに限ったことではなく、すべての企業活動・経営に当てはまると思っています。
新木
おかげさまで当社はリーダーの数が増えてきています。そして、そのリーダー陣は一般企業に比べると若く、まだまだ活躍できると思います。ただ、もう少し先を見据えて、そのリーダーたちがいなくなっても機能するサステナブルな組織でいられるか。そういった観点からのチャレンジが見えてきますね。
加藤
事業規模の話でいうと、短期的に業績が伸びるかどうかということは、最大の課題ではないのです。むしろ、仕事の質や価値がどう上がり、一人一人の成長がいかに支援されているか。そこが本質的に向き合うべき課題だと考えています。
何か失敗があった時になぜそれが起きたのかを、組織としてどう改善すべきかまで掘り下げる。そういったサイクルを回し、足腰の強い人材・組織を創り上げていくことが大切だと思います。
ブレインパッドの場合は、多様な人材を受け入れる門が大きく外に開いています。そして、入って来られる皆さんは本当に素直で素晴らしい方が多い。ただ、「組織をまとめていく力・人材の育成」という意味では、発展途上だと感じています。
新木
社員の人数はもちろん人材の多様性が増して、組織の横幅は広がってきました。けれど、縦に引っ張り上げる力が弱いという課題があるのだと痛感しました。例えば、「●●さんはすごく優秀」「●●さんが活躍している」という個の力はとってもたくさんあるのだけれど、それを個の力に留まらせずに組織の力にも昇華できれば、個人だけでなく社会にとってもより大きな価値を提供できるはずです。
加藤
ブレインパッドの社員のみなさんは、本当に聡明で優秀です。だからこそ、部下が自分で失敗や課題に気づいてくれるだろうと思って、「そこまでは言わずとも、、、」と距離をとってしまう時があるのかもしれません。でも本当は、ポジティブに大事なことを伝え続けることが大切です。2~3年後に「あの時、あの人は言ってくれていたな」と気づく。それが、人を育てることの一役を担うと感じています。
新木
社会人経験が長い皆さんはそれぞれ、過去に素晴らしい恩師との出会いがあったと思うんです。だから、人を育てることの大切さは分かっています。
でも私自身、胸に手を当てて考えると、恩師から受けたほどのことはできていないです。それは、もしかしたら私たちが何かに躊躇してしまっているのかもしれない……とも感じました。
加藤
将来に向けて必要なのは、「ミスター・ブレインパッド」「ミズ・ブレインパッド」と呼べるような存在(この呼び方も人材の多様性の視点では不適切とのご指摘を受けそうですが。。。)がどれだけ輩出されるかではないでしょうか。各々がカリスマである必要はありません。人間臭いけれど、その人に対して大きな魅力を感じる。そしてその人がブレインパッドという会社の体現者の一人である、という存在が必要だと思います。

人材の多様性を組織の力へ、そして、「持続可能な未来」の実現へ
──多様性シリーズの締めくくりとして、ブレインパッドが目指すべき多様性について、考えをお聞かせください。
加藤
ブレインパッドの多様性で言えば、既にさまざまな社員を受け入れるための門戸がきれいに開いています。これから強化すべきは、成長をサポートする仕組みではないでしょうか。そのためには、一人一人の個を大事にすることにもっと真正面から向き合うことが要求されると思います。
野球でもサッカーでも、「あの監督の下でプレーしたい」という思いがチームや個人を強くすることがありますよね。それと同じで、「ブレインパッドだからこそ学べること」「ここでしか得られない経験」を体現できるような人や、「この人と働きたい」と思えるような存在が今後、ますます求められています。
ブレインパッドにはまだまだ可能性があります。Purposeである「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」を実現するための「人材輩出企業」となることは、本当に素晴らしい人事戦略だと思いますので、会社としてもっともっとこの理念と向き合っていきたいですよね。
業績は(目標はもちろん必要ですが)結果としてついてくるもので、本質的に必要なのは、人を育てる力&育った人が力を発揮する(企業=人)ことだと思います。
新木
私も、自分一人の小さな力でいったい何ができるんだろうと思います。でも、「組織」「会社」に属することで、自分(個人)だけでは成し遂げられない何かを得られるかもしれない、だから私は会社に属し、組織人であろうとするのだなと思います。
ブレインパッドに視点を移すと、多様な人材が「活躍し続けられる」「成長し続けられる」、そして、その個の力が組織の力として発揮され、企業理念の実現に向かえる組織をつくる。そんな発展をさせていきたいと強く思いました。
本回をもって本シリーズの第1クールは完了しますが、一定の時を経て再開する予定です。
その時に、さらに進化したブレインパッドの人材の多様性と、その多様性があるからこその会社の強さをお伝えできたら最高だなと思います。
本日はありがとうございました。

ブレインパッドでは新卒採用・中途採用共にまだまだ仲間を募集しています。
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www.brainpad.co.jp
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