例年年の終わりにまとめを書くときに、その年に何を読んだのかを忘れがちです。本棚を漁れば思い出すんですが、そうすると電子で読んで印象に残ったものを紹介し忘れがちです。ならば、毎月やれるときは紹介してみてはどうかというのが、今年のテーマです。
読んだ本と簡単なメモを記しておきます。
ソフトウェアアーキテクトの意思決定術
年末から読み始めて、年始にかけて読み終えた本でした。ソフトウェアアーキテクトの意思決定の失敗は、実は知識の不足よりも判断力の不足の方が大きいのではないかという問題意識から始まり、さまざまな決定のための考えるべきポイントが紹介されています。
詳しい感想は下記に書きました。
内部構造から学ぶPostgreSQL
仕事でPostgreSQLを使っているのですが、今までのキャリアでMySQLしかほぼ使ってこなかったので、一度学び直しにと思って読みました。というか、別にMySQLもそんなに詳しくはないのですが…。
この本で一番学んだと思ったことは、Postgresがデータの更新時に「追記型アーキテクチャ」と呼ばれるものを採用しているということでした。この仕組み上発生する困りごとをある程度解決するために、VACUUMなどの機能があるのかなという理解をしました。
Postgresの運用周りについてもかなり詳しく記載されており、私自身はDREなどを務めるわけではないので軽く読んだ程度でしたが、専門性を高めたい方にはぜひおすすめできる一冊だと思います。
バイリンガルITエンジニアの英語
詳しい感想は下記に書きました。
近年では人件費やそもそもの国内エンジニア採用市場の加熱度合いから、外国籍のソフトウェアエンジニアと働く機会が格段に以前より増えていると感じています。私自身もフィリピンのチームと日中はずっとやりとりしており、また国内側を見ても英語話者が中心のチームが多々あります。つまり、英語を使う機会がとても多くなっています。そういうわけで、この手の本はどんどん増えてくれると嬉しいなと思っています。
まったくあたらしいアカデミックライティングの教科書
感想記事をコツコツ書き始めている一冊です。論文を書くためにはどのようなことを考える必要があるのかをよく説明している本だと思います。
一番のポイントは、従来の論文の執筆に関する書籍では「問い(いわゆる「リサーチクエスチョン」なのかな)」が重視される傾向にありましたが、本書では「問いはなくても論文は成立する」という前提に立つ点ではないかと考えています。「問い」より、中心に据えられる「アーギュメント」をしっかり考えようという入りになっています。
その他は、The Uneven Uというパラグラフライティングのテクニックも印象に残りました。これは要するに段落を作る際に文章の抽象度と具体度に着目し、抽象的な話題から入り徐々に具体化し、再度抽象化するテクニックのことを指しています。これに従って書くと論争的な文章になってよいというものです。段落内にどのような抽象度の文章が多く、どこを補ったらより説得力あるものになるかの分析にも利用できます。
アカデミックライティングそれ自体は、ソフトウェアエンジニアのような実務の現場ではそこまで必要性を感じないかもしれません。しかし、活かし方は結構あるように思っています。ソフトウェアエンジニアとしての業務を解析してみると、割とアカデミア由来のものも多そうに思います。カンファレンスでの登壇も、ある種アカデミアらしい雰囲気を感じなくもないです。
ヘルシンキ生活の練習
社会学者の筆者がフィンランドに移住して子育てするエッセイです。ヘルシンキという異国の地で母親をするというのは、もちろん大変だろうというのは容易に想像がつきます。母親としての子育ての葛藤の部分はもちろん共感するところは多かったですが、フィンランドの方々からもらうアドバイスもなかなか秀逸なものが多く、そちらも「ほー」と思う箇所が多かったです。
フィンランドの教育では、「友だちを作る」であるとか「他人に助けを求める」といったものは「技術」とみなされているようで、習得のために練習が必要なものであるとみなされているようです。日本ではこれらは技術としてはみなされておらず、体系的に教えられることはないのはもちろん、習得できないのは個性や性格のような「個人の問題」として片付けられがちではないかと思います。しかしフィランドの捉え方では、こうした話は「アーツ」つまり技術の一環であり、習得できるものであると捉えられているようです。
See the Goodというカードが紹介されていて、こちらもおもしろそうだなと思いました。
フィンランドの教育は神聖視されがちですし、また社会もうまくいっている…ように一見すると見えるんですが、コロナ禍では意外にゴタついて普通の国のように大変そうでした。教育についても、割と予算削減とのせめぎ合いをしていそうに見えました。フィンランドも少子高齢化の道をご多分に漏れず歩んでいるようで、今後日本のように何にどこまでの支援を割くかが問題になりそうだなと思います。とくにあちらは大きな政府なので、高い税率に対する国民からの不満を上手に抑えながらの資源の適切な分配が日本より難しそうという勝手なイメージがあります。
また、10年前は私も授業などで北欧の社会システムはすばらしいと刷り込まれたものですが、たとえばスウェーデンなんかは近年移民で治安が崩壊している地域があるようです。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」ですね、と思います。フィンランドもやはり同様に難民受け入れを通じた移民の受け入れをここ10年くらい行っているようで、書籍にも犯罪者はアラブ系と一旦証言されがち問題が示唆されています。移民が経済的なメリットだけを求めてやってきて、現地の社会に溶け込もうとしないことが問題ではないかとさまざまなところで指摘されています。それに対して元々住んでいる人が不満に思う、という構図が多そうです。
筆者はこの辺りの現実も、肯定するでも否定するでもなく、事実を淡々と記述しています。実務書コーナーでよくみる北欧の生活礼賛本に疲れている方であっても、この書籍の文章はスッと頭に入ってくるものが多いのではないかと思いました。ところどころ出てくるお子さんとのやり取りのエピソードも、クスッと笑えてよかったです。続編も出ているようで、時間を見つけて読みたいな…と思っています。
読んでいる本
飽きたら読むのをやめてしまうと思いますが、書いている時点で読んでいる本をあげておきます。
最近東欧系の話にお熱でして…この書籍は第二次世界大戦中の最も悲惨だったスターリングラードの戦いを舞台にしたもののようですが、ずっと気になってて文庫化されたのをきっかけに読み始めました。
話題ですね。うちのお子よりはちょっと対象年齢が上そうですが、今後のためということで読みたいです。
仕事でクエリ周りが課題になっているし、また私自身もデータエンジニアリングの一環で自分でクエリをかけることが増えてきました。が、ORM畑で飼い慣らされていた関係で、あまりSQLが得意ではありません。お勉強しようと思って読んでいます。