S.M.S.L D200

 こんにちは。今回は「S.M.S.L D200」(または「SMSL D200」)です。小型オーディオ機器を幅広く展開する中国の定番ブランドの「SMSL」による手頃な据え置き型USB-DAC/プリメインアンプ製品です。ヘッドホンアンプなどを搭載せず独立したコンポーネント構成を取るのは以前の「M200」同様ですね。DACにROHM「BD34352EKV」を搭載し、さらに音質にこだわった回路設計や豊富な外部連携で、自分好みのデスクトップオーディオ環境を手頃な価格で構築したい方にとって最適な製品となっています。

■ 製品概要と購入方法について

S.M.S.L(SMSL Audio)」は、2009年に深圳で設立された実績のある中国のオーディオメーカーとしてお馴染みですね。中華アンプおよびUSB-DAC製品のブランドとしてはすっかり定番になっています。ハイエンドからエントリークラスまで非常に幅広いラインナップも魅力ですね。

SMSL D200」は、DACチップにROHM製「BD34352EKV」を搭載した据え置き型のUSB-DAC/プリアンプです。グレードとしては過去モデルの「M200」などをリプレースするモデルで、同様にパワーアンプなどを分離し独立型のコンポーネントシステムを構成可能。また同様のDACチップを搭載する低価格モデルの「D1」と比較し独自開発部品を含む卓越した回路設計や音質に特化した回路基板構造でより質の高いサウンドを実現しています。
SMSL D200SMSL D200
中核となるDACチップは ROHM「BD34352EKV」。USB入力はPCM 32bit/768kHz、DSD512まで、SPDIF(光 - Toslink/同軸 - COAX)は PCM 24bit/192kHz、DoP DSD64までサポートします。USBインターフェースには定番の「XMOS XU316」を採用。入力インターフェースのUSB、SPDIF(Toslink、COAX)はいずれも MQAデコードに対応。SPDIFはMQA-CDにも対応します。
また回路設計ではデュアル「NJU72315」アンプによるフルバランス構成を採用し、SMSL独自の「CK-03」クロック処理回路 と 外部からの10MHzクロック入力に対応します。またワイヤレス性能もLDAC、aptX Apadtive、aptX-HDなどのハイレゾコーデックに対応します。
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本体前面には強化ガラスで覆われた1.9インチのカラーディスプレイを備え、入出力方式やサンプリングレートやBluetooth情報など詳細な情報を表示します。
また「SMSL D200」はコンポーネントシステムとして「PL200T」CDプレーヤーや「PA200」オーディオパワーアンプといった同様のデザインのシステムを揃えており、連携した利用も可能です。
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SMSL D200」の価格は319ドル前後、アマゾンでは46,900円で販売されています。

Amazon.co.jp(SMSL Audio): S.M.S.L D200


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして SMSL Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで、依頼をいただいたのは少し前なのですが、このタイミングのレビューとなりました。パッケージはシンプルな白箱デザインで届いています。
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パッケージ内容は、本体、USBケーブル、電源ケーブル、リモコン、マニュアル、保証カードなど。
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SMSL D200」本体はフルメタルシャーシを採用し、幅200×高さ47.9×奥行き197.9mmと比較的コンパクトなデスクトップサイズ。前面には 1.9インチのフルラミネート強化ガラスディスプレイ とノブが配置されます。ディスプレイは輝度が高く非常に見やすい印象。表示される内容も十分で使い勝手を意識した構成になっています。ノブなどの操作性はスムーズで、これままでのSMSL製品と比較してもソリッドなデザインは高級感のある印象です。
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背面インターフェイスの入出力はUSB(Type-C)/光(Toslink)/ 同軸(Coax)Bluetooth入力(アンテナ部はカバーで覆われています)RCA(シングルエンド)およびXLR(バランス)出力。さらに外部クロック入力を備えます。基本は既存の「M200」などを踏襲したインターフェイス設計で同機種からのリプレースにも対応出来るでしょう。

USBはUAC(USB Audio Class)2.0に対応し、Macなどはドライバー無しで接続可能。WindowsではSMSLサイトの「Support」ページで「D series」DACのドライバーをダウンロードしてインストールすることでASIOネイティブドライバーを利用できます。
なお、本レビューではBluetooth機能については記載しておりません。ご了承ください。


■ 各種設定について

SMSL D200」はフロントのノブ操作およびリモコンによって各種設定が可能。フロントディスプレイによって設定状況は分かりやすく確認出来ます。日本語表示にも対応しており、使いやす印象ですね。
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ノブをクリックしてメニューに入ると、入力および出力設定がメニュー上部にあります。入力では各インターフェース選択、出力ではRCA/XLRのどちらか、または両方の出力を選択できます。
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メニューをスクロースルとフィルター設定があり、PCMフィルター、およびDSDフィルターを設定可能。
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DSDについては音色設定等の細かい調整も可能です。また前段(上流)への接続方法も音量固定、プリメインなどの設定が可能となり、連携するアンプやアクティブスピーカーの設定と合わせた調整が可能です。
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USB-DACとしての素性の良さに加え、プリアンプ設定、詳細なフィルター機能や音色設定などの搭載により、さまざまな入出力で活用しやすい設計になっている印象です。


■ サウンドインプレッション

S.M.S.L D200今回の再生環境としては、デスクトップ環境で、Mac miniにUSBで接続、出力ではヘッドホンアンプに「SMSL H300」を、アクティブスピーカーに「EDIFIER MR5」にRCAおよびXLRで接続して試聴しました。プレーヤーには「Audirvana」(ハイレゾFLACおよびDSD、MQA音源)、配信では「Apple Music」と「Qobuz」、「YouTube Music」を使用しそれぞれの音源で試聴しています。

SMSL D200」の音質傾向ニュートラル基調を土台にしつつ、ROHM系らしい自然さと適度な鮮やかさを感じさせるタイプ。以前レビューした同じDACチップを搭載する低価格モデルの「D1」と比較してもノイズ特性の高さやアンプ回路の質の違いは顕著で、より音の透明感が高く、純度が上がったような印象を受けます。
ただ癖の無いフラット傾向の製品の場合、やや無機質と思われる可能性もありますが、実際の印象としてはそこまで分析的に寄り切っておらず、500ドル以下のグレード製品に求められる自然ながら豊かなリスニング性を意識した音作りも感じられます。印象としては解像感や分離の高さによる見通しの良さや透明感を感じさせつつ、自然な輪郭で楽しませる印象のサウンドですね。

S.M.S.L D200高域は、USB-DACのなかでもシェアの高いESS系チップのような多少メリハリがあり、硬質さや煌びやかさを感じやすいDACとは少し異なり、明るさと伸びはあるが鋭さなどは自然な印象。
中音域は、定位が明瞭で、センターの結像が崩れにくい印象があり適度にボーカル域に豊かさや鮮やかさを与えつつニュートラルさを維持する、といった印象。ESS系寄りドライ過ぎない点も印象的ですね。
また中低域にほどよい厚みがあり芯を感じやすい一方で、膨らむ感じは比較的少なく、過渡応答もまずまず良好な印象。重低音の表現も自然で音源をしっかり捉えます。
音場表現も音源に忠実で、整った奥行きと明瞭な定位を備えた印象。左右の見通しは良く、空間内のセパレーションの良さを感じやすい傾向です。アンプの出力も素直で、過度に空間を誇張する印象はありません。

S.M.S.L D200SMSL D200」の印象としては、優れた回路設計によって透明感が高く出力もニュートラルで、DACチップの素性をより良く再生していると感じます。解像感は非常に高く、描写は細かく、空気感も十分に出ます。ROHM系は方向性としてはAKM系に近い部分もありますが、自然な輪郭と解像感の高さによる適度な鮮やかさが共存している印象が特徴的かなと感じます。自然な声の厚み、楽器の質感の良さ、過度にモニター的にならない聴きやすさが印象的です。適度な生気があるため、リスニング用途での満足度は高そうです。


■ まとめ

S.M.S.L D200というわけで、「SMSL D200」は、DACチップに最近のSMSLで新たな主流になりつつあるROHM製チップの「BD34352EKV」を搭載。ESS系のような輪郭の明瞭さやメリハリより以前のAKM系モデルのような滑らかで自然な印象に寄せつつ、よりリスニング寄りで聴きやすいサウンドに調整されています。またDACチップの特徴を引き出すべく回路はピュア方向の音質重視の設計で、高い解像感や透明度を持っている印象です。機能面では特にコンポーネントとしての連携に重点をおいた仕様で、単独ではヘッドホンアンプなどは搭載しないものの、過去の「M200」を踏襲した好みの組み合わせによって調整可能な点はSMSLらしいアプローチでしょう。
またSMSLの特徴であるMQAおよびMQA-CDへの対応もポイントで、純正の「PL200T」はもちろん、最近再び各社からリリースされている高音質CDプレーヤーにSPDIF連携しMQA-CDをネイティブ再生させるレシーバーとしても非常に有効な製品ですね。

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