
こんにちは。今回は 「EarAcoustic Audio ELYSIAN FIELDS GENESIS G318s」です。「EarAcoustic Audio」の新シリーズ「ELYSIAN FIELDS Series」の第1弾モデルで、アナログレコードへの敬意と憧憬、音楽の回帰をコンセプトに濃密な低域とアナログ感”を狙ったチューニングが特徴。最近のハーマンターゲット変調、さらにはメタ(New Meta)傾向などに発展するニュートラル路線と一線を画した音作りで、「音楽に浸る」「グルーヴと質感を楽しむ」側へ振り切ったサウンドが印象的です。
■ 製品概要と購入方法について
「EarAcoustic Audio」の新シリーズ「ELYSIAN FIELDS Series」の第1弾モデルとしてリリースされたのが「EarAcoustic Audio ELYSIAN FIELDS GENESIS G318s」です。「起源(GENESIS)」という名称を冠することでシリーズの思想と技術的方向性を象徴するモデルとして位置づけられているとのこと。アナログレコードの温かみと現代の技術を融合し、現代的な高解像度サウンドとは一線を画す、温かみと実在感のあるサウンドを目指しているそうです。


「EarAcoustic Audio GENESIS G318s」はシングルダイナミック構成で、独自の 8.3mmデュアル磁気回路・デュアルキャビティダイナミックドライバーを搭載。1テスラを超える磁束密度を持つデュアル磁気回路とデュアルキャビティ構造を採用し、振動板にはドーム部に極薄チタン薄膜、サスペンション部にナノダイヤモンド粒子コーティングを施した複合素材を使用し、高い剛性と適度な損失を両立させています。


また、「アナログ高調波エンハンスメント技術」 により、真空管アンプのような温かみのある倍音成分を付加している点もユニークです。IEC60318-4規格のターゲットカーブを意識しつつも、聴感上の「音楽的な心地よさ」を最優先したチューニングが施されています。
シェルは航空機グレードのアルミニウム合金を5軸CNC加工で削り出し、「メテオライト(隕石)」をイメージした高級感のある仕上げとなっています。


「EarAcoustic Audio ELYSIAN FIELDS GENESIS G318s」の国内価格は40,480円(税込み)です。
Amazon.co.jp(伊藤屋国際): EarAcoustic Audio ELYSIAN FIELDS GENESIS G318s
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして 伊藤屋国際 様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージは黒を基調とした重厚なデザインで、ブランドの世界観を感じさせる高級感があります。


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(シリコンタイプ2種類、S/M/Lサイズ)、キャリングケース、シリアルナンバーカードなどが含まれます。付属の凝ったデザインのレザー調ケースは質感が高く高級感を演出していますね。


イヤホン本体はアルミニウム合金製で、シェルサイズはやや大きめながらフィットしやすい形状。表面は隕石のような凹凸のある「メテオライト」処理が施されており、光の当たり方で表情を変える美しいデザインです。


金属シェルながら軽量で、耳への収まりも良く装着感は良好です。遮音性も一般的なダイナミック型としては十分なレベルを確保しています。


付属ケーブルは高純度OFC銀メッキ線を採用した同軸構造のケーブルで、取り回しはしなやかです。プラグは標準で4.4mmバランスプラグを採用しており(日本国内仕様)、グレードを意識した仕様となっています。コネクタは中華 2pinタイプでリケーブルも容易です。
■ サウンドインプレッション
「EarAcoustic Audio GENESIS G318s」の音質傾向は中低域に厚みを持たせたウォーム寄りの弱ドンシャリでバランスとしては中低域寄りのV字から若干のW字傾向。250ドル級のミドルグレードとしての音像表現と解像感や分離を持ちつつ、製品説明で「アナログレコードの音」と記載されている通り、人工的なシャープさをもったキレやスピード感より余韻や倍音の豊かさ、そして心地よい臨場感を持った音場表現に重点を置いた印象です。低域に主張があり、全体的に適度な温かみのあるリスニング方向に特化したサウンドながら、濃密すぎず、また暗く感じることもありません。低域にマスクされない主張が中高域にあり、分離は良く、ボーカル域は滑らかで、高域は刺激を抑えつつも伸びの良さを感じます。インピーダンスは38Ω、感度は110dBという仕様ですがやや鳴らしにくく、ある程度駆動力のある再生環境が必要です。国内仕様では4.4mmモデルに固定しているのもこの点を意識しているものと思われます。小型のオーディオアダプターなどで多少あっさりした印象に感じた場合、アンプ等を通す事でより深みのある低域と立体的な音場感を楽しめると思います。
「EarAcoustic Audio GENESIS G318s」の高域は刺激を抑えたつつ自然な伸びがあり滑らかな印象です。 解像感や分離の良さは確保された質感で、適度な明るさを感じる印象ですが、アルミ合金製の金属シェルですが硬質感はあまり無く、煌びやかさやも感じさせつつ、若干温かく自然な印象で表現されます。全体的にはしっとりと落ち着いた表現です。最近のトレンドにあわせてピークは早めで緩やかにロールオフさせるチューニングにより、刺さりや歯擦音を抑えた聴きやすい印象。シンバル音も鋭さよりも厚みと実在感を伴って鳴りる印象です。中音域はドンシャリ傾向によるレイヤー感を持ちつつ、ボーカル域には音楽的な主張があります。「EarAcoustic Audio GENESIS G318s」において最もフォーカスされる音域で、製品説明では「アナログ高調波エンハンスメント」の効果により真空管アンプのような温かみを持つ音色を再現しているとの記載がありますが、ボーカル域や特にアコースティックな音源による生楽器の演奏など、艶と温かみが乗ることで非常に濃厚でエモーショナルに感じさせます。
いっぽうで単なるウォーム系のサウンドとは一線を画しており、IEC60318-4規格のターゲットカーブを意識した音作りにより自然な音像表現のなかにも1音1音の解像感は高く、分離も優れています。多少W字寄りのチューニングによりボーカル域は少し前傾して定位し、息づかいなども精緻に表現する実在感を演出します。男性ボーカルは豊かで深みがあり、女性ボーカルは伸びやかさと艶があります。
また音場は広く、演奏との分離も優れているため、レイヤー感のある定位により埋もれることなく主張します。それでも全体としては有機的に融合しており自然な広がりを感じさせます。
低域は、十分な量感を持ちつつ非常に入念に調整され、全体のサウンドを支えています。シングルダイナミック構成のミドルグレードIEM製品としては比較的小口径の8.3mmダイナミックドライバーを採用していますが、低域の質感は非常に良好です。
振動板で中高域を担うチタンドームに対して低域用のナノダイヤモンドコートエッジが解像感を維持し自然な質感と弾力性に富んだ深さを実現している印象です。ミッドベースはアタック感が強く、バスドラムやベースラインに心地よいパンチ力があります。重低音は深く沈み込みますが、過度な圧迫感はなく、自然な臨場感を感じさせる響き方をします。全体としてのウォーム寄りな傾向を維持しつつ籠もることは無く、適度な締まりと豊かな広がりを両立させています。特にアコースティック楽器の鳴りの表現が非常に心地よく感じます。■ まとめ
というわけで、「EarAcoustic Audio ELYSIAN FIELDS GENESIS G318s」は、250ドル級、4万円クラスのミドルグレード製品のなかで、あえて「アナログの豊潤さ」を提案した音作りが非常に印象的なイヤホンでした。ハーマンターゲットの一辺倒ではなく、ドンシャリ系のイヤホンの選択肢がこのグレードでも増えることは嬉しいことですね。特にかつては「ドンシャリ系イヤホン」の代名詞のひとつだったTFZの流れを汲む「EarAcoustic Audio」の新シリーズ、というのがまたエモいですね(^^)。リスニングの楽しさや没入感を重視した音作りは理にかなっていますし、またニュートラル系のサウンドでも最新の「New Meta」傾向ではややウォームでボーカル寄りの方向性に向かっている事を考慮すると、最初からベクトルをハッキリさせているほうが好感できるなとも思います。どちらかというとアコースティックな音源、CD音源ならいわゆる「ラウドネス戦争」前('90年代以前)のマスタリング、コンプレッションのほうが良さを実感出来ると思いますし、マニア向けの製品では有ると思いますが、まずは試聴していただくことで良さを実感出来るイヤホンでは、と思います。