TRN Mermaid

こんにちは。今回は「TRN Mermaid」です。TRNによる「オーシャンズシリーズ」で200ドル級のミドルグレード製品で、ドライバーにはガラスドームを採用した複合振動板 10mm ダイナミックドライバー、Knowles製BA、そして2基の6mm 平面磁界ドライバーを採用した1DD+1BA+2Planar構成のモデルです。「深海の神秘的なメロディーを探求する」というコンセプトのもと、ユニークなシェルデザインと同時に成熟したTRNの音作りが楽しめる非常に質の高いリスニングイヤホンです。

■ 製品概要と購入方法について

TRN Mermaid」は、TRNの「オーシャンズシリーズ」の新モデルで、1DD+1BA+2Planarのトライブリッド構成を採用。「深海の神秘的なメロディーを探求する」というコンセプトによるユニークなシェルデザインを採用した200ドル級のミドルグレードモデルです。フェイスデザインには半透明の彫刻的なデザインときらめく鱗の質感を表現しており、2種類のカラーバリエーションで異なる雰囲気と視覚的な特徴を表現しています。

TRN Mermaid」のドライバーには、10mmダイナミックドライバー1基、BAドライバー1基、そして6mmの平面磁界ドライバー2基を搭載したハイブリッド(トライブリッド)構成を採用。
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低域用は二重磁気回路を備えたダイナミックドライバーを搭載し、振動板には高密度PUエッジと剛性の高いガラスドームによる複合振動板を採用。スピードと明瞭さを維持しつつ低域の質を向上させます。
中音域にはKnowles製「RAD-33518」バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載。高速レスポンスと精緻なサウンドを実現。
さらに高音域用にはチタンコーティングされた振動板を備えた新開発の6mm 平面磁界ドライバーを2基搭載し、卓越したスピードとコントロールで再生します。さらにプロ仕様の音響チューニングにより全帯域にわたりスムーズかつ解像感の高いサウンドを目指しています。
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ケーブルには4芯銀メッキ無酸素銅ケーブルが付属。また4芯並列構造により外部の電磁干渉を低減し、日常使用における信号の安定性を維持するのにも役立ちます。コネクタは3.5mmまやは4.4mmプラグを選択可能です。
本体のカラーバリエーションは「Jade Shadow Green」と「Ink Night Purple」の2色を選択可能。それぞれ異なる雰囲気と視覚的な特徴を表現しています。「Jade Shadow Green」は浅瀬に差し込む光をイメージし自然な優雅さをクリーンで控えめな印象で表現しており、「Ink Night Purple」は深海の神秘を反映しより深みのある雰囲気のある外観を提供します。
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「TRN Mermaid」の価格は199ドル~、アマゾンでは29,850円~で販売されています。

Amazon.co.jp(TRN直営店): TRN Mermaid


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして TRN Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TRN Mermaid」のパッケージは深海のイメージで人魚を描いたデザイン。光の反射でラメ色に光るパッケージが高級感があります。パッケージサイズやデザインは「TRN WhaleShark」や「TRN JAWS」などの「オーシャンズシリーズ」を踏襲していますね。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、Type-C変換ケーブル、イヤーピース(「T-Eartips」および液体シリコンタイプを含む5種類、各サイズ)、ハードケース、ケース用タイなど。
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本体は金属製でフェイス部には半透明の鱗風の彫刻が施された樹脂製プレートが埋め込まれています。フェイスプレートは深海を思わせるグラデーションが美しく、光の当たり方で表情を変えます。
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フェイスサイズは大きめですが、装着面は耳の形状に合わせたデザインで、耳全体を覆うようなフィット感があります。シェル後部にはヒレのような突起がありますが、装着感には干渉せず、耳への収まりは良好です。
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ただ実際には結構イヤーピースで固定する印象になるため、よりフィット感のあるイヤーピースを選択するのが良いでしょう。イヤーピースのバリエーションはシリコンタイプ4種類、ウレタンタイプ1種類でそれぞれS/M/Lサイズが付属。特に個人的も愛用している「T-Eartips」や液体シリコンタイプが付属するのは有り難いですね。多くの場合イヤーピースは付属品のみで困ることは無いでしょう。
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ケーブルは銀メッキOFC線の4芯平線(リボン状、きしめんみたいな形状)のタイプ。被膜は適度な弾力があり、取り回しは良いですが巻きくせが付きやすい側面はあるかも。なおプラグ仕様は購入時に3.5mmまたは4.4mmが選べます。またはType-C変換ケーブルも付属します。こちらはケーブル仕様で4.4mmを選んだ場合もType-C変換ケーブルは3.5mm用だったりするのはご愛嬌ということで(^^)。


■ サウンドインプレッション

TRN MermaidTRN Mermaid」の音質傾向は明瞭感のあるV字を描くハッキリとしたドンシャリ傾向。ボーカル域は曲によっては多少前傾するため場合によっては多少W字寄りに感じる場合もありますね。低域はガラスドーム振動板のダイナミックドライバーによる深い重低音を中心にエネルギッシュでスピード感があり、立体的なレイヤー感のある音場表現が非常に心地よく感じます。いっぽうで高域は2基の平面ドライバーによる歪みを抑えた直線的な伸びの良さでTRNらしいスッキリとした明瞭さを表現しており、同時に刺激をコントロールしたチューニングで、全体としてはややウォーム寄りの「イマドキ」のサウンドに仕上げられています。

かつてのTRNといえば、いかにも中華ハイブリッド的な寒色系キレキレのサウンドというイメージでしたが、特に「オーシャンズシリーズ」の製品はリスニング的なバランスの良さを感じる非常に「精緻」かつ「成熟した」仕上がりになっています。この「質の良さ」を持ちつつ、いわゆるハーマンターゲット的なニュートラルさとは異なる、結構分かりやすいV字方向のリスニングサウンドは非常に楽しく、マニアではないライトユーザーも含めた多くの方にも一聴して「いい音」と感じさせる説得力がありますね。

仕様としてはインピーダンス32Ω、感度109dB/mWでスマホ直挿しだと多少物足りない可能性はありますが、多くのオーディオアダプター等で十分に駆動できる印象。それでもより出力を稼げる4.4mm(バランス接続)のほうが好印象となる可能性は多いでしょう。

TRN MermaidTRN Mermaid」の高域は、イマドキの刺激をコントロールした、ややウォーム寄りの調整ながら、TRNらしいスッキリした明瞭感もあり、伸びの良さも感じます。2基の平面駆動ドライバーにより歪みを抑えた直線的な伸びと優れた解像感を実現。同時にBAのような金属質な硬質感とは異なる、若干の温かみもある自然な音像表現を実現してます。興味深いのは、最近の機種で高域または超高域に平面ドライバーを配置する場合、通常はBAと同様のサイズのシャーシに収容された「マイクロ平面」のドライバーを採用することが多いですが、「TRN Mermaid」は6mmサイズの平面振動板タイプのドライバーを2基並列で搭載している点。それぞれの平面ドライバーが高域及び超高域を個別に担うことで一貫性を持ちつつより繊細かつ柔軟なサウンドチューニングを実現しています。これにより適度な空気感と煌びやかさを持ちつつも耳当たりの良い自然な表現で、ハイハットやシンバル音の余韻も綺麗で、解像感は高いものの聴き疲れしにくい高域に仕上げられています。

TRN Mermaid中音域はV字寄りの傾向のため若干下がって定位し全体として立体的なレイヤー感を演出します。それでも女性ボーカルやピアノの高音など中高域にアクセントがあり、若干のW字方向に前傾し、明るく抜けの良い音を鳴らします。男性ボーカルも適度な温かみがあり自然な印象で、極端に張り出すことはないものの埋もれることなくはっきりと描写されます。またより駆動力のある再生環境ではボーカル域はより前傾しメリハリ感が増します。バランス接続や情報量の多いケーブルへのリケーブルなどでも同様に変化があるため、好みに応じて色々試して見るのも良いかも知れませんね。
高域同様に適度な温かみがあり、キレ重視のサウンドではないものの、スピード感があり、解像感の高さから見通しも良い印象。使用されるKnowlesの「RAD-33518」はいわゆるWBFKと互換性があるBAで高域用に使われることも多いユニットですが、2基の平面ドライバーと協調し中音域をフォローすることで艶感や透明感の表現が増している印象もありますね。また演奏との分離も良く、左右に広さのある音場感と、V字傾向らしいレイヤー感により、音数の多い曲でも混雑すること無く立体的で開放感のある鳴り方をします。

TRN Mermaid低域は重低音を中心にパワーがありエネルギッシュな印象ながらキレのあるレスポンスによりタイトな音を鳴らします。重低音は沈み込みの深さと重さがありますがボワつくような膨らみはなく解像感も高い印象。ミッドベースは直線的で締まりのある印象で、力強いアタックによりハッキリした印象で再生されます。中高域との分離も良く明瞭さを維持してます。ただし、再生環境によってはやや低域過多に感じる場合もあるため、気になる場合はケーブルの変更やより駆動力のある再生環境などで試してみるのも良いと思います。


■ まとめ

というわけで「TRN Mermaid」は、「オーシャンズシリーズ」の個性的なシェルデザインに加え、Knowles製BAや2基の6mm平面ドライバー、そしてガラスドームを採用した複合振動板のダイナミックドライバーといったドライバーの特性を上手く活用し、トラディショナルなV字傾向のをリスニングサウンドを「イマドキ」にアップデートした手堅い仕上がりが印象的でした。
TRN MermaidかつてのTRNのような寒色系の派手さではなく、真正面から多くのユーザーに対応出来るリスニングサウンドに仕上げてくるあたりに同社の成熟度を改めて実感しました。同時に「オーシャンズシリーズ」で共通している他社では作らなそうな個性的なデザインや、ハーマンターゲットではなくドンシャリでかつ非常に楽しいサウンドに仕上げる点に「TRNらしさ」も感じる事ができます。非常に競合の多い200ドル級のミドルグレード製品ですが、十分に完成度やプライスパフォーマンスは高く、お勧めできるイヤホンだと感じました。


タグ :
#TRN
#構成:1BA+1DD+2Planar
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#ドライバー:平面駆動
#ドライバー:PU+ガラス
#価格帯/グレード:100-200USD
#有線イヤホン:2万円台
#有線イヤホン:3万円台
#中華イヤホン(A200USD~)