
こんにちは。今回は 「XENNS Mangird Tea Pro SE」です。同社の伝統的なモデルである「Tea」シリーズを受け継ぐ「Tea Pro」をベースに、より明瞭なリファレンス/スタジオレベルのサウンドを目指してブラッシュアップされた限定版モデルです。高品質なニュートラルサウンドをベースに重低音を中心に低域をブーストしたリスニングチューニングに、超高域にKnowles製のツィーターBAを採用することでより伸びのある明瞭なサウンドを実現しています。
■ 製品概要と購入方法について
「XENNS」(旧「Mangird」)は、少数の若いエンジニアによって設立されたオーディオブランドで、ニュートラルなサウンドで好評を得た6BA+1DD構成の「Tea」と後継でアップグレード版の「Tea 2」などのアッパーグレードの製品で知られていますね。同社はESTドライバーを搭載したハイブリッドモデル「XENNS UP」で「XENNS」という名称をブランド名として取り入れており、「Tea 2」以降は「Mangird」はシリーズ名となり、過去にレビューした1DD+8BA構成の「Mangird Top」、そして2DD+6BA構成の「Tea Pro」がリリースされハイブリッド構成のIEMで高い評価を得ています。
今回の「XENNS Mangird Tea Pro SE」は「Tea Pro」の限定版の派生モデル(Limited Edition)で、フェイスプレートデザインが一新され、内部構成もブラッシュアップされています。


「XENNS Mangird Tea Pro SE」のドライバーには域用に8mmダイナミックドライバーを2基(バイオセルロース振動板)、中音域および高音域に複数の Knowles BA ドライバー、およびデュアル カスタム ダイナミック ドライバーが組み合わされ、さらに超高域用には特別に設計されたKnowles「SWFK-31736」デュアルツィーターBAユニットを新たに採用し、超高音域が大幅に向上し、サウンドステージの空気感と空間がより広がります。


さらに「XENNS Mangird Tea Pro SE」ではよりリファレンス的なサウンドシグネチャーを提供するようチューニングされており、各帯域のつながりを自然に保ちつつ、広大な音場と高い解像度を両立させています。特に低域の質感と空間表現に注力されています。


「XENNS Mangird Tea Pro SE」の価格は449ドルです。
Linsoul(linsoul.com): XENNS Mangird Tea Pro SE
AliExpress(Linsoul): XENNS Mangird Tea Pro SE
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「XENNS Mangird Tea Pro SE」のパッケージは製品画像を掲載したパッケージデザイン。内箱はしっかりとした大きさの黒箱で、高級感があります。


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ(3.5mm/4.4mm)、イヤーピース(シリコン2種類、フォーム1種類、それぞれS/M/Lサイズ)、クリーニングスティック、ケーブルクリップ、キャリングケース、収納ポーチ、マニュアル。


本体はCNC加工された金属製ハウジングとレジン製のフェイスプレートで、限定版仕様として深いグリーンのデザインが施されています。ステムノズルはやや太めです。


シェルサイズは大きめですが耳にフィットしやすいデザインで装着性は良い印象。上位モデルの「Mangird Top」と比較しても「XENNS Mangird Tea Pro SE」のほうが若干大きめのサイズ感です。


以前レビューした「Mangird Top」および所有している「Mangird Tea 2」と比較すると、フェイスデザインの意匠は踏襲しつつサイズ感に違いがあるのが伺えますね。またベントの位置が変わっているのも分かります。


ケーブルはフェイスデザインに合せたグリーンの被膜の4芯撚り線ケーブルで、導体は高純度OFCと高純度銀線のミックスによるリッツ線ケーブル。被膜は硬めながら撚り線構造により取り回しは良く使いやすい印象。また落ち着いたグリーンのカラーリングで本体デザインとの一体感もあります。


円形のレザーケースのほか布製ポーチやクリーニングブラシなどまた付属品も充実しており、イヤーピースも3種類のタイプが付属。イヤーピースは付属品のほかよりフィット感の合うものに好感するのも良いと思います。
■ サウンドインプレッション
「XENNS Mangird Tea Pro SE」の音質傾向はモニターライクで癖の無い中音域と広さのある音場感を持ちつつ、緩やかなV字またはU字方向にブーストされ弱ドンシャリに調整されています。低域はサブベースを中心に適度にブーストしつつ中高域との分離を高めている印象。またKnowles「SWFK-31736」によって超高域を補完された高域は、最近のトレンドに合せピークは早めで聴きやすくまとめつつ、超高域を伸ばして空気感を加えるような印象です。最近のミドルグレード以上の製品ではややウォーム方向で滑らかさに重点を置いた機種が増えていますが、「XENNS Mangird Tea Pro SE」ではオリジナルの「Tea Pro」より音の輪郭がより鮮明に感じるようにチューニングされているらしく、実際の印象としても高域の見通しの良さや伸び感と、透明感のある中音域、締まりのある低域などある程度分析器なリスニングにも対応出来そうなモニター的な明瞭さのあるサウンドだと感じます。
スペックとしてはインピーダンス13Ω(±1Ω)、感度104dB/mW(±1dB)とCIEM的な多ドラ仕様で、音量は取りやすいものの、低ノイズかつ電流量の多い駆動力のあるDAPやアンプ等での再生が望ましいでしょう。もっともこの価格帯の製品を購入される方の再生環境であれば基本は問題ないでしょう。「XENNS Mangird Tea Pro SE」の高音域は、明瞭で伸びのある音を鳴らします。超高域用のKnowles製のツィーターBAユニットにより硬質でスッキリしたサウンドで再生され、見通しも良い印象。いっぽうでピークは比較的早めに設定されているため、刺さりやすい音域は自然な距離感で再生されある程度聴きやすくまとめている印象。それでもモニター的な解像感の高い鳴り方のため、刺激を感じやすい方は多少疲れやすく感じるかもしれませんね。
中音域は適度な主張があり凹むことなく再生されます。高域同様にやや硬質でキレの良い印象で、見通しは良く1音1音の粒立ちも良い印象。女性ボーカルの高音など中高域に適度なアクセントがあり、前傾して活き活きと再生されますが、定位そのものは前に出すぎず、自然な距離感を維持しています。男性ボーカルも明瞭な輪郭で再生され締まり優先の印象。そのため余韻などは多少スッキリして感じます。どちらも正確な定位ながら凹むことなく明瞭で、モニター的な音像表現を好まれる方には相性が良いでしょう。それでも過度に寒色系に振っては無く、自然な温かみも少し維持しているため、リスニング的な聴きやすさもあります。音場は自然な広さがあり、演奏との分離の良さと抜けの良い明瞭さにより窮屈さを感じることはありません。いっぽうで、中心を起点に定位は安定しており、音源に忠実な空間表現を楽しむことができます。
低域は重低音を中心にブーストされており、ニュートラルベースながら自然な量感と力強さがあります。ミッドベースは膨らむこと無く直線的で、締まりが良くアタックもスピード感がある印象。中高域との分離も良好です。重低音は深く沈み、キレと解像感のあるパワフルな音で全体を下支えします。
広い音場感とあわせ、音数の多い曲でもタイトにならし立体的な臨場感を演出します。明瞭な輪郭と音像表現があるためモニター的にも楽しめる質の高い低域です。
■ まとめ
というわけで、「XENNS Mangird Tea Pro SE」は限定版として「Tea Pro」を強力にブラッシュアップしたチューニングで、モニター的なニュートラルベースのサウンドに空気感と伸びのある超高域と重低音を中心にブーストした低域を加えることで、リスニング的にも質の高いサウンドを実現しています。相応に価格もアップしていますが、価格に見合う、非常に質の高いサウンドに仕上がっている印象です。特に最近のアッパーミドル級のハイブリッド製品は滑らかさ重視の製品が増えているため、最近のトレンドは踏まえつつも、モニター的な明瞭さを持つチューニングのサウンドを好まれる方には良い選択肢のひとつになるのではないかと思います。