Kiwi Ears Orchestra II

こんにちは。今回は 「Kiwi Ears Orchestra II」です。片側に10基のBAドライバーを搭載し、同社の伝統的な「Orchestra」ラインを踏襲するマルチBAモデルです。独自性より安定性を重視し、ハーマンターゲットにしっかり準拠しつつイマドキのトレンドも踏まえた手堅い音作りで、この仕様では比較的手頃な300ドル台とミドルグレードの価格設定を実現しています。

■ 製品概要と購入方法について

Kiwi Ears」は2021年に登場した新しいポータブルオーディオの中華ブランドですが、非常に早いペースで新製品を投入しており急速に知名度が高まっていますね。同社のイヤホン製品は豊富なラインナップと質の高いサウンドで多くのマニアから注目を集めています。最近はオーディオアダプターなどのプレーヤー製品やヘッドホン製品などより幅広いラインナップでの展開も積極的です。
→ 過去記事(一覧): 「Kiwi Ears」のレビュー

今回の「Kiwi Ears Orchestra II」はKiwi Earsの最初のモデルである「Orchestra」の後継で片側10BA構成のモデル。私のブログでは「Orchestra」系では人気モデルのひとつ「Orchestra Lite」を紹介しています。「Kiwi Ears Orchestra II」では 10 個のBAドライバーにより卓越したオーディオの明瞭性、豊かな中音域、インパクトのある低音域を実現し、スタジオ品質のサウンドを求めるニーズに対応します。
Kiwi Ears Orchestra IIKiwi Ears Orchestra II
Kiwi Ears Orchestra II」が搭載する片側10基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーは用途に応じて個別にチューニングされ、4Wayクロスオーバーによって最適化。低域の厚みやスピード感を保ちながら、中高域の解像度と定位精度を高い次元で両立しています。
Kiwi Ears Orchestra IIKiwi Ears Orchestra II

Kiwi Ears Orchestra II」のシェルは音響減衰特性を持つレジン充填による堅牢な構造により外部干渉を最小限に抑え、騒音環境下でも安定したモニタリングを実現。内部反射やハウジング内共振を抑制することで、ハーモニックディストーションを低減し、よりクリーンで正確な音質を実現しています。
Kiwi Ears Orchestra IIKiwi Ears Orchestra II

Kiwi Ears Orchestra II」の価格は349ドル、アマゾンでは61,497円です。

Linsoul(linsoul.com): Kiwi Ears Orchestra II


AliExpress(Linsoul Audio Store): Kiwi Ears Orchestra II


Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): Kiwi Ears Orchestra II


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージは製品画像を載せたデザインを踏襲していますが、付属ケースの大型化により、パッケージは従来製品より大きめ。
Kiwi Ears Orchestra IIKiwi Ears Orchestra II

パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換プラグ(3.5mm / 4.4mm)、シリコンイヤーピース(4タイプ、各S/M/Lサイズ)、ケース、説明書など。
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Kiwi Ears Orchestra II」の本体は透明度の高いレジン充填によるシェルフェイスパネルは金属製。内部のドライバー配置が視認できるハウジングと格子状にカッティングされたアルミフレームのフェイスプレートがクールなデザインです。片側10BAと多ドラモデルですがシェル自体は軽量です。
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シェルサイズはさすがに大きめですが、比較的耳にフィットしやすい形状で、イヤーピースを合せればしっかりフィットし装着感は良好です。レジンの質感もあり遮音性が高いため、それなりに密着感がある印象です。
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イヤーピースは4種類のシリコンイヤーピースが各サイズ付属します。付属イヤーピースのほか、軸が太めの液体シリコンタイプのイヤーピースを併せるのも良いと思います。
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ケーブルは太めのSP-OCC単結晶銅銀メッキ線の4芯ケーブルで、被膜はやや硬めですが撚り線タイプのため取り回しは良い印象です。


■ サウンドインプレッション

Kiwi Ears Orchestra IIKiwi Ears Orchestra II」の音質傾向はニュートラル方向ながら自然なU字を描く弱ドンシャリ。海外サイトに掲載されているf値を見ると、かなりハーマンターゲットカーブ(H-2019)に寄せたチューニングであることが伺えます。
オリジナルの「Orchestra」がかなりフラット方向のサウンドだったことを考えると、同様にフラット寄りながら多少U字方向の「Orchestra Lite」のアップグレードモデル、といった感じかもしれませんね。「Kiwi Ears Orchestra II」では透明なシャーシに収容された2基の低域用BAユニットによりドンシャリ方向にブーストされており、高域は最近のトレンドに合せてピークを聴きやすくコントロールしつつ、超高域にアクセントを置くことでスッキリした明瞭感を感じさせます。またハーマンターゲットに準拠することで中音域は癖の無い印象で音源を精緻に、かつ滑らかに再生する印象。片側10基のBAを4Wayで配置し、中音域に比較的フォーカスしたチューニングを行うことでニュートラルながら淡泊になりすぎず、自然な範囲で鮮やかさを感じるチューニングが好印象ですね。

Kiwi Ears Orchestra IIKiwi Ears Orchestra II
透明なシェルをみると各BAユニットの音導管にダンパー等のフィルターがあり、物理クロスオーバー仕様であることが確認出来ますが、実際インピーダンス15Ω、感度110dB/mWとCIEM並みに敏感で電流量の多い仕様となっています。そのため、音量自体は取りやすいですが、低ノイズかつ左右で20基のBAを安定稼働できるしっかりとした駆動力のあるDAPまたはアンプの利用が望ましいでしょう。

Kiwi Ears Orchestra IIKiwi Ears Orchestra II」の高域は、マルチBAらしい明瞭でスッキリした印象を持ちつつ、刺激を抑え聴きやすい印象で調整されています。それでもやや硬質で煌めきもある音のため、高音に敏感な方はイヤーピースなどで調整するほうが良いかもしれませんね。
中高域からのピークはハーマンターゲットより低めに調整されていますが、超高域用の2BAによるアクセントがありクリーンな見通しの良さがあります。クロスオーバー制御は適切で過去のマルチBA機にあった特有の籠もりはなくスッキリした解像感と分離の良さがあります。

中音域は癖の無いニュートラルなサウンドで凹むことなく再生されます。解像感は高く見通しも良い印象。U字方向のバランスで女性ボーカルの高音などの中高域は自然な距離で定位しつつハーマンターゲットより若干強めのアクセントを持っています。
Kiwi Ears Orchestra IIそのため明瞭な輪郭があり籠もること無く伸びの良さも感じられます。また4wayの構成で中低域にも2基のBAを割り当てることで男性ボーカルも淡泊になることなく自然な量感で存在感を感じさせます。マルチBA的な寒色寄りで、輪郭も明瞭感があるものの硬質感はあまり強調されず滑らかさのある音像表現です。
音場は自然な広さがあり弱ドンシャリ傾向によるレイヤー感で分離も良く演奏も綺麗に再生されます。定位も正確な印象です。

低域は透明なシャーシに収容された大型の2BAユニットにより適度にブーストされた量感を持ちつつ、BA特有の籠もり感の無いタイトでスッキリした音を鳴らします。マルチBAらしいミッドベースを中心とした印象ですが重低音も思ったより深さと力強さがあります。それでもマルチBAとしては、という範囲で、ハイブリッド機や平面ドライバー機のような重低音ではないため、あくまでニュートラルベースでの低域として捉える必要があります。ミッドベースはタイトでキレ重視の印象。総じて解像感は高く、音数の多い曲でもしっかり再生されます。


■ まとめ

Kiwi Ears Orchestra IIというわけで、「Kiwi Ears Orchestra II」は片側10BAという完全な多ドラ機ですが、基本的に同社によるカスタムユニット構成で、いわゆる有名ブランドのドライバーを搭載していない点や、電気抵抗などの基板制御ではなくダンパーなどのフィルターによる物理クロスオーバー仕様で調整することで、レジン充填による美しいシェルデザインながら300ドル台のミドルグレードの価格設定で仕上げられています。
音質面でもハーマンターゲットにほぼ準拠しつつ、最近のトレンドに合せてより聴きやすく、さらにボーカル域によりフォーカスしたバランスの良いサウンドに仕上げられています。
おそらく「Orchestra」系では、このように先鋭的技術押しではない、トラディショナルな音作りを行うことで独自性より安定を重視した音作りがコンセプトなのだろうと理解できますし、その点では目的通りの仕上がりだと感じます。個性的ではないものの安定したマルチBA機を購入したいときに手堅い選択肢のひとつになりそうですね。


タグ :
#KiwiEars
#構成:10BA
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:200-399USD
#有線イヤホン:ミドルグレード以上(5万円前後~)
#中華イヤホン(A300USD~)