Binary EP321 MEMS

こんにちは。今回は 「Binary EP321 MEMS」です。個性的な製品をリリースしている「Binary」ブランドからリリースされている2DD(10mm+6mmパッシブラジエーター)+3BA+1基のダイレクトドライブMEMSという意欲的な構成を採用したモデルです。高域用ユニットとして使用されるダイレクトMEMSユニットは専用のアンプを必要とせず、通常のオーディオ環境での直接駆動を可能で、一部のワイヤレス製品での採用はあるものの、オーディオグレードのIEM製品としては「Binary EP321 MEMS」が先駆的なアイテムとなりますね。

■ 製品概要と購入方法について

「BINARY Acoustics」は中国のイヤホンブランドで、2017年頃から本格的に製品をリリースしています。私のブログでは「Gizaudio × Binary Chopin」および「Binary Dynaquattro」といった機種を紹介しています。

今回の「Binary EP321 MEMS」は、同クラスのIEM製品としては先駆的にダイレクトドライブMEMSユニットを採用した意欲的な製品で、3BA+2DD(実際は1DD+1PR)+1MEMS構成のハイブリッドモデル。一般的にオーディオグレードのMEMSデバイスは、適切に動作させるためのバイアス電圧を供給する専用アンプが必要になりまが、「Binary EP321 MEMS」では新開発の「ダイレクトドライブMEMS」ユニットを採用し、外部アンプを必要せず通常のオーディオ環境での直接駆動を可能にしました。さらにMEMSユニットは、非常に剛性が高く、薄く、軽量な半導体ダイアフラムを採用しているため、卓越した高域の解像度と応答速度、そして優れた伸び(拡張性)を実現します。
Binary EP321 MEMSBinary EP321 MEMS
さらに高域用 2BAドライバーユニットを搭載し、MEMSとの連携でよりクリアで高解像なサウンドを実現します。また中音域用にはフルレンジ仕様のBAを搭載し、中域全体を高い一体感でカバーします。
低域用には「DynaQuattro」と同じ10mmダイナミックドライバーと、6mmウールペーパーコーンのパッシブダイアフラムユニットを採用。デュアル磁気回路構造を備えたアクティブ+パッシブ複合の低域ドライバーにより優れた低域のレスポンスを実現します。そして、出力回路には物理的な3ウェイ・クロスオーバーフレームを採用し、各周波数帯を最適化します。
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Binary EP321 MEMS」のシェルは、HeyGearsと共同設計によるDLP 3Dプリントを採用。内部設計委においては周波数分割構造を事前に計算したうえで、高精度な3Dプリント技術により成形されています。さらにフェイスパネルは高品質なステンレス素材を高精度CNC加工で仕上げ、不規則な幾何学模様を特徴とし、光の角度によって多彩な色味を屈折させます。またステンレスを使用しつつ片側約7.5gの軽量さを実現しています。
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Binary EP321 MEMS」の価格は、309.99ドル、アマゾンでは51,999円で販売されています。

HiFiGo(hifigo.com): Binary EP321 MEMS


AliExpress(HiFiGo): Binary EP321 MEMS


Amazon.co.jp(HiFiGo): Binary EP321 MEMS


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージはフェイスプレートの模様をイメージした落ち着いたデザイン。今回は4.4mmモデルが届いています。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2セット、各S/M/Lサイズ)。ケース、説明書など。
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Binary EP321 MEMS

本体は高精度3Dプリントによる透明な樹脂製でフェイスプレートは軽量に加工されたステンレスが採用されています。フェイスプレートは幾何学模様が光の角度で表情を変える仕様で、非常に美しく高級感のある仕上がりとなっています。
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10mmダイナミックドライバーと6mmパッシブラジエータは直列配置で、さらに高域用の2BAユニット、中音域用のフルレンジBAによる3Wayの構成で、さらにMEMSユニットが超高域ツィーターとして2BAを補完します。クロスオーバーはダンパー等の物理フィルターによる調整のようですね。このようなドライバー数の多いハイブリッド構成のためシェルサイズは大きめですがフィット感は比較的良い印象。イヤーピースをしっかり合せることで自然な装着感を得られます。
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ケーブルは0.78mm 2pin仕様の銀メッキ線の2芯タイプ。プラグは3.5mmまたは4.4mmを購入時に選択します。取り回しは良い印象です。
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イヤーピースはステムノズルに合せた開口部の太いタイプが各サイズ2ペアずつ付属します。液体シリコンタイプのイヤーピースに交換するのも良いと思います。


■ サウンドインプレッション

Binary EP321 MEMSBinary EP321 MEMS」の音質傾向はニュートラル傾向を維持しつつ各音域で適度な主張のある緩やかなU字または若干のW字方向のサウンド。トラディショナルな高・中・低の3Wayのサウンドチューニングによりボーカル域が前傾するイマドキのバランスに仕上げつつ、ダイレクトMEMSユニットによるシャープな高域感と、パッシブラジエーターによりブーストされた深さと芯のある低域が心地よいアクセントとなっています。ただし、音像表現としては「MEMSっぽさ」を結構分かりやすくチューニングされているため、全体としてニュートラル寄りなぶん、高域から超高域にかけて多少人工的とか、わざとらしいと感じる場合もあるかもしれません。もっとも、この辺はほぼ「好み」の部分で、多くの方にとってはドライバー構成を活かた透明感がある寒色系のハイブリッドサウンドとして好感されると思います。

いわゆる多ドラ&物理クロスオーバー仕様のIEM製品に該当するため、インピーダンス13Ω、感度122dBとかなり反応は良く、さらにダイレクトMEMSによって通常のアンプでも再生可能という記載はあるものの、相応の電流量は確保する必要があるため、再生環境は高感度のCIEM製品などに適した低ノイズ、高駆動のDAPやアンプなどが必要です。またリケーブルでの変化も相応にありそうですね。

Binary EP321 MEMSBinary EP321 MEMS」の高域は前述の通りダイレクトMEMSらしさが前面にでた、特徴的な音を鳴らします。ハイブリッド機として通常のダイナミックやBA以外の超高域のアプローチとしてはマイクロ平面駆動、ピエゾ(圧電)、そしてEST(静電)ユニットなどが私のレビューでも多く登場していますが、MEMSではこれらのユニット同様に寒色系の印象になりつつも、より「速さ」があり、シャープさの中に見通しの良さと煌めきがあります。いっぽうで好みにもよりますが独特の質感のためやや人工的な印象を感じる場合もあるかもしれません。
高域そのものの印象としては寒色系で、超高域のエアリーさが加わることによる伸びやかさがあり、ハイハット等はシャープかつ繊細な輪郭をスピーディーに描きます。いっぽうで過度に明るすぎず刺さり等も制御されている印象でこの辺の質感が独特に感じる要素でもありますね。

Binary EP321 MEMS中音域はハーマンターゲット寄りのニュートラル方向でまとめられており凹むことなく再生されます。中音域を担うフルレンジBAは高域同様に寒色系の明瞭な音を鳴らし、女性ボーカルは適度にアクセントがあり明瞭感のある抜けの良いスッキリした印象で、男性ボーカルは寒色系のため厚みは多くないものはっきりした輪郭で明瞭に再生されます。ただ小型のオーディオアダプターなどでは低域の量感が増すため、ノイズ特性の高い、より駆動力のある再生環境が望ましいでしょう。解像感や分離は非常に良く、見通しは良い印象。音場は自然な広さながら前後のレイヤー感があり、比較的正確な定位とキレの良いスピード感により混雑すること無く明瞭に再生されます。

Binary EP321 MEMS低域はニュートラル方向のバランスを維持しつつ、10mmユニットをブーストする6mmパッシブラジエータにより重低音を中心に下支えをします。またパンチ力のある音ですが厚みよりキレ重視の印象。スピード感と締まりのある印象で、ミッドベースは直線的でベースラインも明瞭に鳴ります。
重低音はしっかり下の方まで沈み込む印象。パッシブラジエーターのる補完では量感そのものは多くないものの、深さをより増しているようです。同時にキレも良く解像感や分離も高いため、低域の音数の多い曲でもスッキリした印象で再生されると思います。


■ まとめ

Binary EP321 MEMSというわけで、「Binary EP321 MEMS」はダイレクトMEMSを超高域に採用した意欲的なマルチドライバー機として、想像以上にまとまりの良いハイブリッドサウンドに仕上げられていました。最近のミドルグレードのハイブリッド機では、最近のニュートラル方向のトレンドに合せて、電子クロスオーバーなどを駆使し意図したチューニングに徹底的に制御するためのベースとして各ドライバーが使用されることが多いですが、もともとの「ハイブリッドらしさ」というのは各ドライバーの個性を活かした組み合わせだったように思います。そういった意味で物理クロスオーバー仕様によるトラディショナルなCIEM的アプローチで調整された「Binary EP321 MEMS」は、そういったハイブリッドの楽しさを改めて感じさせてくれるイヤホンでした。ダイレクトMEMSおよびパッシブラジエータを備えたダイナミックドライバーのキャラクターをしっかり楽しみつつバランスの良い明瞭サウンドを堪能できる、非常に興味深いアイテムだと思います。

タグ :
#Binary
#ドライバー:MEMS
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:200-399USD
#中華イヤホン(A300USD~)
#有線イヤホン:ミドルグレード以上(5万円前後~)
#有線イヤホン:3万円台・4万円台
#構成:3BA+1DD+1Passive+1MEMS