NICEHCK Tears

こんにちは。今回は 「NICEHCK Tears」です。NICEHCKの低価格モデルで、30ドル、5千円程度の価格設定ながら、独自の音響設計とセミオープン型構造の採用により優れた音場感と抜けの良さをを実現しつつバランスの良いリスニングサウンドを実現しています。Type-C仕様のDSPモデルも選択可能でアプリによるPEQ設定にも対応するなどクラスを超えた楽しさのあるイヤホン製品です。

■ 製品概要と購入方法について

中国のイヤホンセラー「HCK Earphones」は私のブログでもお馴染みの老舗中華イヤホンセラーで、多くのマニアに絶大な支持を受けていることでも知られています。そのオリジナルブランドの「NICEHCK」もまた多くのマニアに寄り添った「他とはちょっと違う製品」が特徴でしたがここ数年で高音質なイヤホンブランドとして評価および知名度も一気に向上。国内代理店による店頭試聴や購入が可能なモデルも増えてきており今後の発展も大いに期待できます。
→ 過去のレビュー(一覧): NICEHCK製品のレビュー

「NICEHCK Tears」は低価格のシングルダイナミック構成のモデルながらハウジングの音響ラビリンス構造とセミオープン的な開放感により優れた空間表現と抜けの良さを実現しています。ドライバーにはデュアル磁気回路+デュアルチャンバー構造のダイナミックドライバーをシングルで搭載。
NICEHCK TearsNICEHCK Tears

NICEHCK Tears」の最大の特徴は独自の音響設計に基づくハウジングで、特別にチューニングされた音響ラビリンス・チャンバーは力強く、かつ自然でリラックスした低音を実現。複数層からなるコイル状の巻き構造を採用。音波の通り道を長くし、気流の位相を最適化することで空気ダンピングを調整し、低域はより深く潜り、弾力感も豊かに表現します。また、多層の高精度音響コンポーネントを融合し、共振を効果的に抑制しながら音の純度を高め、クリアで心地よいリスニング体験を実現します。
そしてオープンバック構造を採用し、精密に配置されたリリーフベントアレイと多段ダンピングフィルターの協調動作により、気流を効率よく拡散・誘導。定在波や共振を抑え、高域エネルギーの過度な蓄積を緩和します。さらに振動板の動きに対する内部空気圧の抑制も同時に低減。超高域のディテールの表現力を高めます。
NICEHCK TearsNICEHCK Tears
「NICEHCK Tears」はコンパクトなデザインで優れた装着性を実現。ステムノズルにはフィボナッチ・アコースティックメッシュを採用し、チューブの音響インピーダンスを変化させることでオーディオ性能をさらに最適化。低価格ながら内部配線も6N単結晶銀を採用し、信号伝送時の電気信号の情報損失をさらに低減します。
またType-Cモデル(DSP版)では、高性能DACデジタルデコードチップを搭載し、最大32bit/384kHz のサンプリングレートに対応。NICEHCKの公式アプリと連携し、グラフィカルな画面で 8バンドPEQ(パラメトリックEQ)を調整可能。好みの音作りを自由に追い込めます。さらに、リスニング傾向に合わせた2種類のデフォルトEQ(Neutral / Dynamic)も用意しており、サウンド効果画面で自由に切り替えて使用できます。
NICEHCK TearsNICEHCK Tears
NICEHCK Tears」の価格は28.99ドル~(3.5mm)、31.99ドル(Type-C)です。
アマゾンでも販売を開始しました。価格は4,799円、Type-Cは5,350円です。

NICEHCK公式ストア(nicehck.com): NICEHCK Tears


AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK Tears


Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK Tears


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

NICEHCK Tears」のパッケージは製品画像を掲載したシンプルなデザイン。今回は3.5mm版(ブラック)をサンプル提供いただき、追加でType-C版(ホワイト)を購入しました。今回は「NICEHCK」ではなく「YUANDAO」ブランドのパッケージになっている点がポイントです。
NICEHCK TearsNICEHCK Tears

パッケージ内容は、イヤホン本体、付属ケーブル、イヤーピース(「NICEHCK 07」5サイズ)、ポーチ、ケーブルタイ、説明書など。
NICEHCK TearsNICEHCK Tears

シェルはコンパクトな樹脂製で軽量に仕上げられています。シェル内部で中央に配置され音響チューニング要素として機能するメッキ仕上げのアコースティック・ガスケットがフェイス部とハウジングの中間の仕切りとしてメタリックなアクセントとなっています。
NICEHCK TearsNICEHCK Tears
ハウジング部のフロントキャビティ(装着側)には3つのスリット状のベント(空気孔)があり、オープンバック構造によるセミオープン仕様となっています。このベントとフィルタ構造と内部の迷路型のチャンバー(Maze-Chamber)により空気の流れを制御しています。フェイスプレート側はシンプルな5角形のデザインで「YUANDAO」ロゴがシルクスクリーン印刷されています。
NICEHCK TearsNICEHCK Tears
コンパクトな設計で耳への収まりは良く、比較的フィットしやい印象。ステムノズルが長めのため、小さめのイヤーピースで耳奥まで装着してみるのも良いでしょう。

NICEHCK TearsNICEHCK Tears
ケーブルは2芯撚り線タイプで、ブラックは黒色、ホワイトは透明の樹脂被膜で覆われています。取り回しは良く使いやすい印象です。


■ サウンドインプレッション

NICEHCK TearsNICEHCK Tears」の音質傾向はハーマンターゲット寄りで緩やかなV字またはU字方向の印象。オープンバック構造の採用により抜けの良い開放感を持ち、30ドル以下の低価格モデルとしては非常にバランス良くまとまっている印象です。もちろんより分析的なディテール感や解像感、表現力などの点で価格相応の部分はあるものの、リスニングイヤホンとしてのまとめ方が非常に上手く、複雑な音響構造によるパワフルな低域でしっかり下支えしつつ、セミオープンによる音場の広さとともに明るく抜けの良い高域で、実際ほどウォームに感じさせない適度なメリハリ感を実現しています。そのため普段使いならこれでいいんじゃないかな、と思わせるサウンドだと感じます。

仕様としてはインピーダンス20Ω、感度127dBと鳴らしやすく、スマートフォンやゲーム機へ直挿しでも実用的に稼働します。さらにType-CモデルではDSPチップにより鮮明さをより感じるサウンドに仕上がっています。
Type-CモデルではAndroid用のNICEHCKアプリを利用できます。アプリはNICEHCK公式サイトからapkファイルをダウンロードするかGoogle Playからインストールします。なおアプリはAppStoreにiPhone用も掲載されていますが、掲載時点でiPhone版のバージョンでは認識しませんでした。
NICEHCK TearsNICEHCK Tears
アプリでは8バンドPEQの調整が可能で、3種類のプリセットが登録されており、さらにカスタム設定を行うことも可能です。またサラウンドとゲームモードの2種類の特殊EQも選択可能です。

高域は刺激を抑えつつ明るく見通しの良い音を鳴らします。
NICEHCK Tearsハーマンターゲット寄りの鮮明な高域を持ちつつピークは早めで、刺さりやすい帯域から上はコントロールされている印象。いっぽうでオープンバック構造などの独自の音響設計により明るい抜けの良さがあり、ウォーム過ぎること無く適度な鮮明さと煌めきを維持しています。寒色系の中華ハイブリッドのような硬質でキレ重視の音とは異なるものの適度な鮮明さと解像感を演出しており、「お値段以上の質感」みたいなアピールの所以となっているようです。特にType-Cモデルでは透明感が増した印象で、聴きやすくまとめつつより鮮明に表現されます。

中音域はハーマンターゲット寄りのニュートラルな印象。ボーカル域は中高域のアクセントにより女性ボーカルの高音などは前傾しつつ、自然な距離感で定位します。適度な空気感を持ちつつオープンバック構造により抜けの良さがあり、適度なレイヤー感を演出しています。
NICEHCK Tears音場は前後の抜けの良さに加え、左右に広がりがありセミオープン型らしい空間表現があります。高域同様に輪郭は自然で解像感を強調する印象はありませんが、スッキリした明瞭感があり、明るく適度なメリハリ感のあるサウンドにまとまっています。

低域は、独自の音響設計による深く沈む重低音とパンチのある力強いミッドベースが印象的。ニュートラルな印象を維持しつつ、適度にブーストされた低域がバランス良く中高域を下支えします。全体としては低域の印象をより実感する音作りながら、過度な主張でなくバランスの良いリスニングサウンドに仕上げている点が好印象です。


■ まとめ

NICEHCK Tearsというわけで、「NICEHCK Tears」はアンダー30ドル、アマゾンでも5千円程度の低価格モデルながら、独自の音響構造による高度なチューニングにより、クラスを超えたバランスの良さを感じさせるサウンドに仕上がっていました。
リケーブルにも対応しており、さらに変化を楽しむのも良いですし、またType-CモデルではAndroid用アプリを組み合わせることでPEQ派の方にもお手軽に最適なチューニングを楽しめる選択肢を提供しています。マイクつきモデルも選べますので含めた幅広いユーザーの日常使いにお勧めしやすいイヤホンだと感じました。



タグ :
#NICEHCK
#構成:1DD
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#中華イヤホン(低価格/50USD以下)
#有線イヤホン:低価格(35USDor5000円以下)