TANCHJIM FOLA

こんにちは。今回は 「TANCHJIM FOLA」です。2025年10月25日に発売予定の「TANCHJIM」の新モデルですね。先行するモニター用の「NORA」同様に、上位モデルでも採用される最新の「DMT5」ダイナミックドライバーをシングルで搭載。さらにアルミ製シェルや高性能ケーブルなど備え、チューニング的にもリスニング性を高めたハイグレード仕様のモデルです。

■ 製品概要と購入方法について

「TANCHJIM」(タンジジム)は2015年に設立された中国のイヤホンメーカーで、科学的な解析やロジックに裏付けられた専門性の高い調整によるニュートラルでバランスのよい音作りとシンプルな製品デザインでファンも多いブランドです。
→過去記事(一覧):「TANCHJIM」製イヤホンのレビュー

TANCHJIM FOLA」は最新世代のDMT5構造を採用したシングル・ダイナミック型Iのモデル。モニター向けIEMモデルの「NORA」に対し、「TANCHJIM FOLA」は音楽鑑賞からゲーミングまで幅広い用途に最適化されたマルチパーパスなリスニングモデルとして設計されています。HRTFベースの優れたサウンドに加え、アプリ連携によるバーチャル7.1/5.1ch再生や、公式PEQプリセットにも対応します。

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TANCHJIM FOLA」のシェルは鋳造アルミニウム合金製で、サファイアガラスのフェイスプレートにより軽量で耐久性に優れ、高級感のある外観に仕上げられています。

ドライバーにはTANCHJIMのフラッグシップ技術「DMT5」構造を採用し、PUサスペンションエッジによる複合振動板デュアル磁気回路デュアルキャビティダイナミックドライバーをシングルで搭載。フラグシップ級の低歪み性能を実現し高域レスポンスも滑らかに再生します。また強力な磁気回路性能が高効率・低歪み再生を支えます。またドライバーを収容するシャーシでは上位モデル同様の導波カバーを備えエネルギー伝達効率と解像度を向上させます。
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また「TANCHJIM FOLA」のシェルは、ヘルムホルツ共鳴器を用いたリアキャビティ設計により、ボーカルと楽器の質感を強化。さらに低乱流の音響チャンバー設計により、音響抵抗を抑え、高域レスポンスをより線形化します。
そしてステムノズル部には、3種類の交換可能なチューニングノズルを付属。「スタンダード」(標準装備)、「ブライト」「ダイナミック」の3種類のサウンドを楽しむことができます。
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TANCHJIM FOLA」の価格は199.99ドル、日本国内では26,400円(税込み、アマゾン価格)で販売されます。日本国内で発売予定は2025年10月25日からとなっています。

Amazon.co.jp(TANCHJIM Offical Store): TANCHJIM FOLA


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして TANCHJIM より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで今回も発売前にTANCHJIMさんから提供いただきました。「TANCHJIM FOLA」のパッケージは正方形のボックスでパッケージデザインはイメージアートを採用しています。ボックスサイズやデザインは「NORA」の踏襲しており姉妹モデルであることを伺わせますね。
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パッケージ内容はイヤホン本体、交換フィルターノズル(2種類)+アルミ製台座、ケーブル、交換プラグ(3.5mm、4.4mm、USB Type-C)、イヤーピース(2種類、3サイズ)、ハードケース、説明書、保証書など。付属品なども含め「NORA」より充実しています。
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イヤーピースはソフトな質感のシリコン製の「T-APB 気圧バランスイヤーピース」が2種類同梱。「ORIGIN」に同梱しているもとの同じもので、一般的なシリコンタイプが付属した「NORA」と比べるとハイグレード仕様になっています。開口部の大きさの違いで2種類のイヤーピースが付属します。

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本体は鋳造アルミニウム合金製で、サファイアガラス製のフェイスプレートは美しい光沢を放っています。シェルサイズは「TANCHJIM」のなかでも最もコンパクトな「Oxygen」や「HANA」などのモデルに近い超コンパクト設計です。耳への収まりも良く、長時間でも負担が少ない印象。ただ耳に装着自体はイヤーピースで固定するイメージになります。
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シェルサイズは素材の違いを除き「NORA」とほぼ同様で非常にコンパクトにまとめられています。「DMT5」ドライバーを搭載する上位モデルである「ORIGIN」と比較すると全体的にコンパクトにまとめられています。
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交換用フィルターは標準の「S」(スタンダード)フィルター本体に装着されており、それ以外はアルミ製の台座に固定されています。それぞれのフィルターは側面に「D」(ダイナミック)、「L」(ブライト)の文字がプリントされています。側面のプリント以外で形状的な相違点はほぼ皆無なようです。
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それぞれのフィルターはもっとも自然なバランスの「S」(スタンダード)を標準として、やや低域を抑え、相対的に高域が伸びる「L」(ブライト)フィルター、逆に低域の増して中高域をやや抑えた「D」(ダイナミック)フィルターになっています。
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ケーブルは透明な樹脂被膜で覆われた銀メッキ線タイプで取り回しよく細い線材にまとめられています。またプラグが交換式になっており4.4mmのバランス接続プラグとType-C仕様プラグが付属します。


■ 「TANCHJIM」アプリによるPEQ設定とバーチャルサラウンド機能について

TANCHJIM FOLA」のケーブルは「3.5mm」「4.4mm」「USB Type-C」の交換プラグが付属し、コネクタを「USB Type-C」タイプに交換することで今回も「TANCHJIM」アプリによる詳細なPEQ設定が可能です。
対応する最新の「TANCHJIM」アプリは同社サイトのダウンロードページからapkファイルでダウンロードできます。なおMac版アプリは「TANCHJIM FOLA」には未対応です。
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「TANCHJIM」のEQ機能はPEQ(パラメトリックEQ)で、設定した内容を本体(Type-Cアダプタ)に書き込み、自動で再接続後に設定が反映されます。そのためいちど設定を書き込めば、Mac、iPhone/iPadやゲーム機などアプリがインストールされていない環境でも設定したバランスで利用することが可能です。

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また「TANCHJIM FORCE」から利用可能になったWindows版のアプリは「TANCHJIM FOLA」にも対応。こちらも上記URLからインストーラをダウンロードし、インストール後にUSBポートから接続することで利用可能になります。言語設定で日本語も選択可能で、Android版と同様のPEQ設定をより広い画面で設定が可能です。
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そしてWindows版アプリでは新たに「仮想サラウンド(5.1ch/7.1ch)」の設定が追加されました。こちらはPEQのように本体に書き込むタイプでは無くアプリ側で出力に割り込んで変更を加えるタイプで、設定すれば即時に反映されます。PCによる動画視聴やゲーム用という印象で、個人的にはダイレクトなままでもよいかなと思いましたが、色々試して見るのも面白いと思います。


■ サウンドインプレッション

TANCHJIM FOLATANCHJIM FOLA」の音質傾向はフラット方向のニュートラルサウンドで、同社らしいサウンドチューニングを踏襲しています。傾向そのものは先にリリースされた「NORA」と非常に近く、いかにも姉妹(または兄弟)モデルといった印象です。そのためバランスとしては同様に「DMT5」構成のドライバーを搭載する「ORIGIN」ベースのリスニング仕様という印象もありますね。

先日の「NORA」のレビューでも記載しましたが、上位モデルの「ORIGIN」はステンレス製の大きめのハウジングで長時間のリスニングには向かないものの、音質的にはより高レベルで仕上げられており、「NORA」と今回の「TANCHJIM FOLA」はどちらも同様の「DMT5」構成や波カバーを採用しつつ、キャビティ構造などに変化を持つことで異なるキャラクターを実現しています。

TANCHJIM FOLA具体的には、プロフェッショナルモニター用にチューニングされた「NORA」は軽量の樹脂ハウジングを採用し、ボーカル域を中心にディテールがより鮮明に実感出来るように調整されています。そして今回の「TANCHJIM FOLA」はより広範なリスニング向けの調整がされており、アルミ製ハウジングにより高域の明瞭感や煌めきが向上。低域もより鮮明な輪郭を持った印象で、方向性としてはより「ORIGIN」に近い印象になっています。「TANCHJIM FOLA」と比較すると、結構明瞭だと感じた「NORA」はステージモニター向けにフォーカスした製品として調整されているということを改めて実感しました。また付属ケーブルの質感が向上し、プラグ交換が可能な点や、金属製でもより軽量な「TANCHJIM FOLA」のほうが多くの場合「ORIGIN」より使いやすく感じるかもしれませんね。

3種類のフィルターも「ORIGIN」のアプローチに近く、標準の「S」(スタンダード)フィルターではバランスとしては最もフラット方向に近いニュートラルなサウンドで再生されます。
TANCHJIM FOLAまた低域が若干ブーストされる「D」(ダイナミック)フィルターではV字方向の印象が増し、ミッドベースを中心に厚みが若干増し中音域の音場感も得やすくなります。
そして「L」(ブライト)フィルターでは中高域から高域にかけての見通しが良くなり、よりスッキリとした透明感のあるサウンドになります。
もっとも、これらのフィルターでの変化は再生環境で感じ方に違いがあり、小型のオーディオアダプターなどではそれほど大きな違いは感じないかもしれません。

TANCHJIM FOLA」の高域は明瞭で直線的な伸びのある音を鳴らします。「NORA」よりやや硬質で煌めきも増した印象があり、見通しや透明感も向上した印象。「ORIGIN」のような超高域まで突き抜ける感じではないものの、再生環境や楽曲によっては若干刺激を感じる場合もあります。解像感や分離性も高く、十分に駆動力がありS/Nの高い再生環境ではより伸びやかで透明感のあるサウンドが楽しめます。

TANCHJIM FOLA中音域は凹むことなく鳴り、音源への忠実性が高い印象のニュートラルな音で再生されます。モニター的にボーカル域にフォーカスした「NORA」より輪郭がハッキリした印象もあります。長時間の聴きやすさや耳コピてきな実用性では「NORA」のほうが有利ですが、原音忠実性やリスニングイヤホンとしての空気感、実在感は「TANCHJIM FOLA」のほうが優れている印象です。
また透明感が有り見通しも良い印象で、さらに中高域付近の適度なアクセントにより詳細なディテールを捉えやすく感じます。ボーカル域は若干前傾する印象ですが自然な位置で定位し、解像度も高い印象。内部仕様としてヘルムホルツ共鳴リアチャンバー設計が採用され、女性ボーカルの高音などの中高域から高域に近い帯域の伸びや抜け感が強化され解像度の向上に寄与しているようです。
音場は自然な広さと奥行きがあります。またよりリスニング的な印象のため「TANCHJIM FOLA」のほうが「NORA」より若干広く、音源を適切に表現する印象。解像感および分離に優れ、見通しの良さと透明感の高さを持つ印象から演奏はボーカルとの分離も良く適切に定位し、綺麗に再生されます。

TANCHJIM FOLA低域はニュートラルバランスのため量的には少し控えに感じますが、よりハッキリとした音でパンチ力もあるため多くの場合不足を感じることは少ないでしょう。中高域との分離も良くクリーンな印象です。ミッドベースは締まりが良く直線的な印象でアタックもエネルギーががあります。スピード感を強調したようなキレ重視の音とは異なりますが、それでも他の音域同様に「NORA」よりハッキリした印象がありますね。重低音は沈み込みや解像感はまずまずでこの辺は「ORIGIN」には及びません。この辺はアルミとステンレスの素材の違いやシェル形状の違いなどもありそうですね。それでもリスニング用としては自然にまとまっている印象です。


■ まとめ

というわけで、レビュー掲載時点で今週末(2025年10月25日)発売予定の「TANCHJIM FOLA」ですが、先行するモニター仕様の「NORA」に対して、よりリスニングモデルとしての質感を高めつつ、同時に「ORIGIN」より軽量コンパクトで価格的にも多少200ドル級と多少購入しやすくまとめられたモデルとして、非常にバランスの取れた仕上がりだと感じました。
TANCHJIM FOLAまたアプリによる調整でゲーミングなどのマルチパーパスな用途も想定しているのも興味深いですね。個人的にはアプリで実装されているEQが最近の特に海外のオーディオ界隈でニーズの高まっているPEQ(パラメトリックEQ)仕様で、プリセットにこそ設定されていないもののユーザー設定では「JM-1 DF」など、いわゆる「メタ(Meta)」(または「New Meta」)と呼ばれるトレンドに準拠した設定が行えるなど、今後のスタンダード機としての役割を見据えたモデルだな、という印象を持ちました。興味のある方ならば是非とも押さえておきたいイヤホンですね(^^)。

タグ :
#TANCHJIM
#構成:1DD
#コネクタ:CIEM-2pin(埋め込み)
#リケーブル:CIEM-2pin(埋め込み)
#価格帯/グレード:100-200USD
#中華イヤホン(A200USD~)
#有線イヤホン:2万円台