
こんにちは。今回は 「LETSHUOER S12 Ultra」です。中華系のファクトリーブランドとしてマニアの間ですっかり定着した印象もある「LETSHUOER」の代表的モデル「S12」シリーズの最新モデルが2025年10月にリリースされました。オリジナルを彷彿とさせるシブめのデザインに回帰しつつ外観および内部をしっかりブラッシュアップしており、2025年仕様の最適解としてしっかり成熟された高音質イヤホンだと感じました。
■ 製品概要と購入方法について
「LETSHUOER」は2016年に創業したユニバーサルIEM/カスタムIEMのファクトリーブランドで、中国国内ではカスタムIEMビジネスのほか話題のモデルを数多くリリースしています。平面駆動ドライバーを搭載した「S12」で一躍人気ブランドとなり、すっかり定番イヤホンのひとつとなりました。また同社のユニバーサルモデルではマルチドライバー構成のミドル~ハイグレード製品も多く、自社製品および同社ODMと言われている各製品も含め手堅い音作りは定評があります。
今回の「LETSHUOER S12 Ultra」は14.8mm平面駆動ドライバーを搭載する同社の代表的モデル「S12」シリーズの最新モデル。より深く改良された最新ドライバーとブラッシュアップされた新しいシェルデザイン、アップグレードされたケーブルなど、「S12」がさらに進化しました。


「LETSHUOER S12 Ultra」では大きく改良された14.8mmの大口径平面駆動ドライバーを搭載。内部構造を徹底的に改良し、品質の向上と卓越な超高周波数の伸びとディテール再生を実現。一貫した高水準の性能を確保し、平面駆動型ドライバーの解像度とダイナミックを解放します。ドライバーの改良により、高音域は自然なクリアさと空気感のあるディテールを再現し、低音域はタイトで明確かつ反応が良く、迫力のあるサウンドを提供します。


また「LETSHUOER S12 Ultra」のケーブルには392本の単結晶銅銀メッキケーブルを採用し、優れた導電性と強力な耐干渉性能を実現。3.5mmおよび4.4mmの交換式プラグのほか、「DT01 Pro」USB Type-C変換ケーブルも同梱されます。
本体はアルミニウム合金製のシルエットを継承しつつ、コネクター周囲の筐体を再設計しています。素材の構成と表面仕上げをさらに磨き上げ、より統一感があり目を引くデザインに仕上げられています。


カラーバリエーションは「モカ」と「ガンメタルグレー」の2色を選択可能。
価格は169ドル、アマゾンでは27,500円で販売されます。
Amazon.co.jp(LETSHUOER公式ストア): LETSHUOER S12 Ultra
LETSHUOER公式サイト: LETSHUOER S12 Ultra
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして LETSHUOER より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
今回は「ガンメタルグレー」で届きました。パッケージは新しく採用されたコネクタ部分のデザインをイメージしたモダンなデザイン。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ、「DT01 Pro」Type-C変換ケーブル、イヤーピース(2種類、各S/M/Lサイズ)、ハードケース、説明書、保証書。


「LETSHUOER S12 Ultra」の本体はオリジナルの「S12」を彷彿とさせる細かいサンドブラスト加工されたシンプルなデザインのアルミニウム合金製のシェル。


ただポイントとなっているコネクタ部分のカッティングされた形状のほか細かい意匠や質感が向上しており、改めてオリジナルをリブートした感があります。同時に「S12」シリーズの大きな特徴である、14.8mmというカナル型イヤホンのなかでは最大級の平面駆動ドライバーを搭載しつつ、可能な限りコンパクトなシェルサイズにまとめ、驚くほど収まりの良い装着感を実現している点はしっかり踏襲されています。


それでも従来モデルのシェル形状を踏襲する限定版の「S12 2024 Edition」と比較してみると、細かな変化のほか「LETSHUOER S12 Ultra」では僅かにシェルサイズ自体も大きくなっていることが分かります。それでも優れた装着感はしっかり維持されています。


ケーブルはダークブラウンとガンメタル色の線材による4芯撚り線タイプで1芯あたり98本、4芯で392本の導体を使用した高純度単結晶銅銀メッキ線で構成されます。樹脂被膜はやや硬くコシがありますが取り回しは良い印象です。プラグはネジ固定の交換式です。


また3.5mmからUSB Type-Cに変換する「DT01 Pro」ケーブルも付属します。既存の「S12」シリーズ同様にイヤーピースは白色タイプ、黒色タイプの2種類が同梱されます。
■ サウンドインプレッション
「LETSHUOER S12 Ultra」の音質傾向はニュートラル方向の癖の無い印象で緩やかなカーブを描くサウンド。「S12」シリーズの中では直近の「S12 2024 Edition」のバランスに近く、さらに若干中低域寄りで調整されている印象もありますね。オリジナルの「S12」は当時各社からリリースされた14mm級平面駆動ドライバー搭載のイヤホンのなかでも比較的先陣を切っており、さらに平面駆動らしさを前面に出しつつも明るくキレのあるサウンドが特徴的でした。その後「S12」シリーズはよりV字方向に調整されたコラボモデルや、成熟した印象の「Pro」などを経て、直近の「S12 2024 Edition」では成熟したバランスと明瞭さ、滑らかさを両立し、質を向上させた印象で仕上げられていました。
「LETSHUOER S12 Ultra」では「S12 2024 Edition」から重低音の深さを中心に若干低域を強化し、原音忠実性の高いニュートラルな印象で鳴らしつつ、平面駆動らしい低歪みで直線的な印象をもちつつ、オリジナルの「S12」より自然な音色に進化しています。平面ドライバーらしい描写と、上質なダイナミックドライバーのような低音の深みを持った質感で、リスニングイヤホン的な「リアル」さを感じさせる印象です。
ただし、大口径14.8mmの平面駆動ドライバーを搭載していることもあり、より鮮明さを感じるサウンドで再生するためには十分に駆動力のある再生環境が必要です。小型のオーディオアダプターの場合、ポータブルアンプを併用したり、より情報量の多いケーブルにリケーブルするのも方法のひとつでしょう。「LETSHUOER S12 Ultra」の高域は、平面駆動らしい伸びの良い詳細な音を鳴らします。「S12 2024 Edition」に近く自然な印象の音色で明瞭な見通しの良さをもちつつ自然な空気感もあり、滑らかな印象にまとめられています。オリジナルの「S12」と比較すると刺激を抑えより上品な印象ですが、適度に明るく直線的で、解像感も高く細かい音の描写も綺麗に表現されます。
中音域は、癖の無いニュートラルなバランスですが、より豊かな印象でバランスが良く、原音忠実性を持ちつつもリスニング的に心地よいサウンドにまとめられています。一般的に平面駆動ドライバーは歪みを抑えモニター的な詳細さを得意としますが、いっぽうで豊かさや瑞々しいニュアンスの表現が淡泊になりがちな印象もあります。このなかでオリジナルの「S12」はある程度V字寄りのアプローチを撮ることでリスニング的な楽しさを得てました。その後シリーズを通して質感の向上が進められ、最新型である「LETSHUOER S12 Ultra」では、大口径平面駆動ドライバーによる原音忠実性を持った高い解像感やディテールの表現とともに、上質なダイナミックドライバーのようなエネルギーがあり、自然かつ実在感のある質感を獲得しています。ボーカル域は自然な位置で定位し、滑らかさと豊かさがあります。女性ボーカルは高音に適度なアクセントがあり、自然な伸びの良さを持ち、硬質になりすぎずに適度に甘い、綺麗な音色があります。男性ボーカルは心地よい張りと厚みがあり、自然な響きで豊かさを感じさせます。
音場は広さより正確さを感じる表現で、音源のもつ空間を自然に描写する印象。演奏も綺麗に分離し、自然な定位で綺麗に再生されます。ピアノは美しく、ブラスは鮮やかで、ストリングスは適度に艶やかさがあり木管楽器も豊かな印象で多くのインストゥルメンタルで非常に心地よく、聴き応えがあります。もともと「S12」シリーズは個人的にかなり好みのイヤホンではありますが、モデルごとに成熟していく課程を目の当たりにするようで非常に感慨深いものがあります。
低域はニュートラルベースのサウンドとしては非常に優れた質感を持っており、平面駆動ドライバーらしい明瞭で歪みの少ない印象ともとに、詳細さとスピード感、さらに深みのある音の広がりを感じさせます。さらに「LETSHUOER S12 Ultra」では重低音を中心に若干のブーストを加えることで、より明瞭さと高い解像感もった重低音と、直線的ながら適度に厚みのあるミッドベースなど、よりエネルギッシュな印象にアップグレードされている印象です。いわゆる低音モリモリみたいなサウンドではありませんが、低域もまたダイナミックドライバーのようなインパクトと重量感があり、非常に心地よい印象です。
また「LETSHUOER S12 Ultra」には3.5mmからUSB Type-Cに変換する「DT01 Pro」ケーブルアダプターが同梱されます。このアダプターに内蔵されるDACは24bit/192kHzまでのPCMに対応(DSDは未対応)し、ハイレゾ再生が可能なストリーミングサービスなどにも対応します。アダプターを使用した場合も比較的自然な印象で再生されますが、iPhoneなどでは標準音量ではやや音量が小さく、ボリュームを上げると多少中高域寄りに歪みが発生するため、基本的にはアダプターを使用する場合は小音量でBGM的な利用方法が向いている印象ですね。
■ まとめ
というわけで、モデルごとに進化を続けてきた「S12」シリーズの最新モデル「LETSHUOER S12 Ultra」ですが、大口径の14.8mm平面駆動ドライバーを搭載するイヤホンとしての完成度はもちろん、ニュートラルベースの音質傾向でのリスニングイヤホンとしての成熟度もしっかり高めてきているという印象を持ちました。確かにオリジナルの「S12」にも当時の感覚での楽しさがありますが、2025年現在での最適解は間違いなく今回の「LETSHUOER S12 Ultra」といえるでしょう。個人的には製品としての質感を高めていく課程で、単純に200ドル以下のイヤホンとしてイメージできるサウンドは超えてきている印象もあるサウンドだと思います。いっぽうで、今回アップグレードした要素もある意味「非常に地味」で、オリジナルの「S12」から相変わらず派手さは無く、「ニュートラルサウンドの非常にいぶし銀な感じの手堅いイヤホン」であることを実感させされました(これまでもカラフルな「Z12」やゴージャスな「S12 2024 Edition」のように見た目を派手にしても滲み出るシブさは変わらないですね^^;)。それもまた「S12」シリーズの大きな魅力であると個人的には思っています。というわけで、手堅く、良い音のイヤホンが欲しい方には今回もとてもお勧めですよ(^^)。