
こんにちは。今回は 「DUNU Vulkan 2」です。6BA+2DD構成で、10mm+8mmの低域用ダイナミックドライバー、Knowles製のカスタム2BAミッド、4基の高域用BAで構成される4Way仕様のハイブリッドです。初代「Vulkan」が結構ハーマンターゲットに忠実なニュートラルだったのに対し、今回の「DUNU Vulkan 2」はまた異なる基準でのニュートラルを目指した結構興味深いイヤホンです。
■ 製品概要と購入方法について
「DUNU」(または「DUNU-TOPSOUND」「达音科」)は、中国を中心とする老舗の大手イヤホンブランド。1994年からイヤホン製品の開発および製造を開始しており、2006年にはドライバーの自社開発体制を持つなど、大手らしく技術的なバックボーンも充実しています。またケーブルやイヤーピースなどの分野でも多くの製品を持つなど、豊富なラインナップが魅力ですね。
「DUNU」製品については、私のブログでも数多くレビューを掲載しています。
「DUNU Vulkan 2」は2022にリリースされた4BA+2DD構成の「Vulkan」(レビュー/過去記事)の後継モデルで、ドライバー構成を6BA+2DD仕様にアップグレードし、全く新しいドライバーおよびアーキテクチャを採用。より密度が高く、豊かなボーカル、より深い低音の質感と広がりのあるサウンドステージを実現しています。
本体はCNC加工による航空宇宙グレードのアルミニウム合金製でシルキーな仕上げとシャンパンゴールドによるカラーリングにより高級感のある質感を実現しています。
本体はCNC加工による航空宇宙グレードのアルミニウム合金製でシルキーな仕上げとシャンパンゴールドによるカラーリングにより高級感のある質感を実現しています。


「DUNU Vulkan 2」のドライバーは2基のダイナミックドライバーと6基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーで構成され、ダイナミックドライバーには重低音用の10mmドライバーと低域用の8mmドライバーを搭載。それぞれが完全に独立した音響チャンバーに収められています。物理的に分離された構造により相互干渉を排除し、より高い明瞭さとダイナミックなコントロールを実現します。
中音域用にはKnowles製のカスタムデュアルBAユニットを搭載。ボーカルを温かみと感情の深みをもって描き出し、豊かで前に出るような存在感と、繊細なニュアンスを再現します。
そして高音域および超高域用には2基のデュアルBAユニットによる4BA仕様のツィーターを搭載。優れた解像度と滑らかさで再生し、煌びやかな伸びと、自然なディテール表現を実現します。


「DUNU Vulkan 2」ではこれらの6BA+2DDのハイブリッド構成を、洗練されたデュアルシステム・クロスオーバー・アーキテクチャにより制御。精密な電子クロスオーバー技術により、サブベース、ベース、ミッド、トレブルに完全に独立した音響チャンネルを搭載。極めて精密な周波数制御を可能にし、スムーズな過渡応答と帯域全体で一体感のあるサウンドを実現しています。


「DUNU Vulkan 2」の価格は359.99ドル、日本国内では58,990円で販売されています。
HiFiGo(hifigo.com): DUNU Vulkan 2
Amazon.co.jp(DUNU公式ストア): DUNU Vulkan 2
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「DUNU Vulkan 2」のパッケージはシンプルな黒箱デザイン。なおオリジナルの「Vulkan」がMMCX仕様だったためか、「DUNU Vulkan 2」ではMMCXと2pin仕様の2種類が用意されています。今回は2pin仕様で届きました。


パッケージ内容はイヤホン本体およびケーブル、交換プラグ(3.5mm、4.4mm)、6.35mm変換プラグ、イヤーピース(シリコンタイプ4種類各サイズ)、クリーニングブラシ、クリーニングクロス、本体カバー、ケース、説明書など。DUNUは付属品が多いので毎回楽しいですね。


本体はCNC加工されたアルミニウム合金製で、オリジナルの「Vulkan」より丸みを帯びたフェイスデザインが印象的です。フェイス部はより凝った意匠となり、メッシュパーツによる2カ所のベントが確認出来ます。


ドライバー数が増加しており、2基のダイナミックドライバーも並列配置となっているためシェルサイズが少し大きくなった点はやむを得ませんが、フィット感は良く、十分に許容範囲内でしょう。


ステムノズルもしっかりイヤーピースが固定できる仕様で装着性も向上しています。またシャンパンゴールドによるカラーリングは落ち着いた印象で高級感がありますね。


イヤーピースは通常の白色タイプおよび赤い軸の黒色タイプのほか、DUNUオリジナルの
「DUNU S&S イヤーチップ」が4サイズ、「DUNU Candy イヤーチップ」が3サイズ付属します。このなかでは私は「DUNU S&S イヤーチップ」を選択することが多いですね。


ケーブルは高純度銀メッキ単結晶銅を使用したリッツ構成の4芯ケーブルが付属。適度な太さと高級感のある印象で取り回しも良好です。「Q-Lock」プラグシステムを採用し、プラグは3.5mmと4.4mmが交換可能です。
■ サウンドインプレッション
「DUNU Vulkan 2」の音質傾向はフラット方向に近いニュートラルなサウンド。初代の「Vulkan」がよりハーマンターゲット寄りだったのに対して、「DUNU Vulkan 2」では高域のピークを抑えて聴きやすくする今どきの傾向に調整され、低域は2基のダイナミックドライバーで力強く再生しつつバランスとしてはフラットにチューニングされています。結果として再生環境によってはよりボーカル域にフォーカスした若干のカマボコ寄りに感じる場合もありそうです。インピーダンス32Ω、感度113dBと多くの再生環境で比較的鳴らしやすい印象ですが、低域のパワフルさを感じるためにはアンプ側にある程度の駆動力が必要と思われます。
このサウンドバランスは、「DUNU Vulkan 2」が「JM-1」をターゲットにDUNUが独自に設定したターゲットカーブを元に設計されているためと思われます。傾向として「JM-1」は低音をやや抑えつつ、中高域の自然さとボーカル再現を重視する傾向があるようです。
※「JM-1」ターゲットの派生である「JM-1+10dB tilt」(リスニング方向に調整した「JM-1」)を最近Crinacle氏界隈などでよく目にする「New Meta」傾向と解釈するコミュニティも多いようです。この辺についての詳細は要望があれば別記事でやるかも、です(^^;)。
ちなみに、DUNUではコラボモデルから定番に昇格した人気モデルの「DaVinci」が「New Meta/JM-1+10dB tilt」ベースのひとつと言われますが、こちらは「THIEAUDIO HYPE 4」などと同様、さらに低域をブーストした仕様となっています。これに対し、今回の「DUNU Vulkan 2」については、やはり「Moondrop Blessing 3」や同「DUSK」との競合を意識した製品かなと感じます。というもの、以前レビューしたオリジナルの「Vulkan」も当時のニュートラル製品の基準的なポジションだった「Blessing 2」や「Blessing2:Dusk」と比較されることの多いモデルであったことからも、「DUNU Vulkan 2」という製品名称が持つ位置づけは偶然ではないと思われます。「DUNU Vulkan 2」の高域は、明瞭で伸びの良い音を鳴らします。解像感も高く見通しも良くスッキリした音で鳴らします。いっぽうでピークは多少コントロールされており、歯擦音などの刺激は少なく聞きやすくまとめられています。オリジナルの「Vulkan」はやや強めの主張がありましたが、「DUNU Vulkan 2」ではより滑らかな印象となり、ハイブリッド的なメリハリよりスムーズな印象を感じやすい高音になっています。
中音域は適度な主張がありつつ、自然な音で再生されます。解像感や分離は良く、定位も比較的正確です。全体的に滑らかさと僅かな温かみがあり、明瞭ながら自然な印象にまとめられています。再生環境によってはボーカル域はより前傾する印象もありますが、定位そのもは自然な距離感で鮮やかさと濃密さがあります。オリジナルの「Vulkan」はニュートラル傾向に寄せすぎたためか特に中低域にかけて無味無臭すぎるというか、やや淡泊に感じる場合もありましたが、「DUNU Vulkan 2」はより鮮明で特に男性ボーカルは豊かさと存在感が増しました。女性ボーカルも中高域に適度なアクセントがあり伸びの良い音で再生されます。また音場は広く抜けの良い印象で、演奏もより精緻な表現を実感出来ます。
低域はバランスとしてはほぼフラットに近いニュートラルですが、2基のダイナミックドライバーにより深い重低音をスピード感とインパクトのあるミッドベースを実感出来ます。量感としては一般的なハーマンターゲット傾向に比べると控えめに調整されているため、強さや重量感はやや少なく、低域好きの方には物足りないかもしれませんね。ただニュートラルな方向性ゆえに質感は良好で、解像度も高い印象。個人的には「DaVinci」の低域は量感と強さに対してやや緩い印象もあったため、より明瞭に描写される「DUNU Vulkan 2」の低域のほうが好感しました。この辺は好みによって別れるところだと思います。■ まとめ
というわけで、「DUNU Vulkan 2」ですが、非常に人気の高い「DaVinci」に対する位置づけとして、思ったほど目立っていない感じもありますが、個人的にはオリジナルの「Vulkan」から引き続き、非常に好感を持ったイヤホンでした。海外では最近ではハーマンターゲットから「New Meta」方向にターゲットが変わる流れがあるようですが、そのなかでも「DUNU Vulkan 2」はよりニュートラルな「JM-1」を基準としているあたりに結構硬派な印象もあり、ハーマン準拠の「Vulkan」とはまた異なる趣で良さがあります。まあ多くの方の印象としては良くできているもののリスニングイヤホンとしては好みは分かれる製品だと思いますので、興味のある方は試聴などで確認してみるほうがよいかもですね。個人的は好きですが(^^)。