
こんにちは。今回は 「DUNU X KOTO ITO」です。HiFiGoからのプロデュースにより「DUNU」と国内レビュアーの「かじかじ」氏とのコラボモデルとしてリリースされた2DD+2BAモデルです。
ボーカル域にフォーカスし、「かじかじ」氏のこだわりによるチューニングでかなり個性的な印象のサウンドに仕上がっている、非常に興味深い200ドル級のイヤホンです。
■ 製品概要と購入方法について
HiFiGoによって企画され、「DUNU」ブランドと「かじかじ」氏のコラボによって製品化されたのが「DUNU X KOTO ITO」です。DUNUによるベースモデルを元に同氏とのコラボレーションにより6ヶ月の開発期間に5回のチューニング変更を実施したとのことです。


ドライバー構成は2DD+2BAで、低域用の10mmバイオ複合振動板ダイナミックドライバーと、中低域および中音域用の8mm LCP複合ダイナミックドライバー、高音域用BA、超高音域用BAによって構成されています。
ケーブルは「DaVinci」の高純度LEOケーブルと同様の高純度4芯ケーブルが付属。22AWGの高純度銀メッキ単結晶銅導体をリッツ編組構造しており、Q-Lock Quick Switch交換式プラグで3.5mmと4.4mmプラグに交換可能です。


「DUNU X KOTO ITO」の価格は199.99ドルです。
※掲載時AliExpressにて開催中のセールに併せて先着順で35ドルOFFクーポンが配布中。
AliExpressで購入時「JPAE35」で164.99ドルで購入可能です。
AliExpress(HiFiGo): DUNU X KOTO ITO
HiFiGo(hifigo.com): DUNU X KOTO ITO
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「DUNU X KOTO ITO」のパッケージはシンプルなブラックのデザイン。かじかじ氏の「KOTO」ブランドの琴のイメージかもですね。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換式プラグ、イヤーピース(3種類、各サイズ)、クリーニングブラシ、ケース、説明書など。


本体は比較的コンパクトなレジン製。この辺はDUNUによる手堅さを感じる部分で装着性も含め良好な印象。ただし、見方を変えればわりと一般的なデザインのため、後述のとおりの「攻めたサウンド」に対しては外観は普通すぎるかもと思ったりしなくもないです(^^;)。


ロゴはフェイス部の「ITO」に加え、側面の「KOTO」ロゴのプリントがあります。
ケーブルは「DaVinci」と同様のものが付属。プラグは3.5mmと4.4mmが交換可能です。


イヤーピースは通常のホワイトのタイプのほか、DUNUオリジナルの「DUNU S&S イヤーチップ」が4サイズ、「DUNU Candy イヤーチップ」が3サイズ付属します。
■ サウンドインプレッション
「DUNU X KOTO ITO」の音質傾向は、ボーカル域にフォーカスし、とにかく厚みのある低域で下支えするようなイメージ。実際に聴いてみると、U字寄りのサウンドをベースとしつつミッドベースの下の方の低域に強いブーストがあり、また高域の刺さりやすい音域を大きめにコントロールすることで、各所で記載の通り「かじかじ氏の好みに寄せた」チューニングになっているようですね。方向性としてはJ-POPなどを中心とした音源と相性が良い音作りで、ただし(いわゆるボーカル寄り、ミッドセントリック傾向のイヤホンと比較しても)特定のアーティストや編曲傾向の曲調で好みに合うようにしているためか、低域でブーストしているポイントがちょっと特殊だったり、高域がはっきり物足りない曲があったりと、最近のイヤホンのなかでも「相当偏ってる」製品だと思います。いわゆる久々の「変態イヤホン」です(いちおう褒め言葉^^;)。ちなみにコラボ製品というと、メジャーどころのCrinacle氏やHBB氏をはじめ、これまでリリースされている多くの海外レビュアーの場合は、自身で周波数特性(f値)についてのターゲットカーブを設定しているケースが多く、それぞれのターゲットを踏まえ、製品のドライバー構成などの特徴に併せて(場合によってはコミュニティでの意見集約などを経て)チューニングを行うことが多いようです。そのためマニアであれば類似傾向の製品と比較することである程度は方向性が想像でき、それなりの価格でも無試聴突撃が可能になります。
その点でいうと、「DUNU X KOTO ITO」についてはちょっと予想が難しいため、自分に合うかどうか気になる方は、国内代理店からリリース後に試聴したほうが良いかもしれませんね。実際は「好みに合う方」も結構いらっしゃるかも、という気がします。レビュアー的な評価指標と、実際の購入層の方々の統計学的多数での「普段聴いている曲」との相性は必ずしも一致しないので、「偏ってる」だの「変態」だのここで書いていても、店頭で聴いた方が好感すればセールス的には正解となるでしょう。実際どのようになるかは予測できませんが、「攻めたチャレンジ」として個人的には動向を見守りたいと感じました。
「DUNU X KOTO ITO」は超高域をツィーターBAでブーストしつつ、高域そのものはかなり抑えたチューニングで刺激をコントロールしています。刺激を抑える方法として刺さりやすい帯域に谷を作のが一般的ですが、最近ではミッドセントリックな製品を中心にピークをより手前に置き、それより上の帯域を下げるアプローチも増えています。「DUNU X KOTO ITO」もこのアプローチに近いのですが、U字傾向で前提となる中高域のアクセントも上の方は控えめなため、これらの抑制された帯域に当てた曲では「高域をバッサリ切った」ように感じる場合があります。
中音域は比較的近くに定位します。全体的に明るめの傾向ですが、スッキリした伸び感を敢えて調整することで女性ボーカルが太めのボディで目立つような印象になります。ハイトーンも綺麗に聴こえますが、歯擦音などが出ないように、そのすぐ上くらいから調整が入るイメージでしょうか。また男性ボーカルも適度に温かく厚みがあり、広がりのある音場感で聴き心地を向上させています。解像感は200ドル級のイヤホンとしては決して高い方ではないですし、分離自体は良いものの演奏をしっかり捉えたい方向けでも無いため、ニュートラル傾向に慣れているとかなり癖が強く感じます。それでも好みが合えば結構楽しいサウンドといえるかもしれませんね。
低域はミッドベースにフォーカスして強めのブーストがあります。広めの音場感と併せて、ライブ音源等でも臨場感が増す印象がありますが、(おそらく相性が良いとされる)普通のJ-POPやアニソンなどのボーカル曲でも特定の音域がちょっと持ち上がっているような感覚があり、気になる方はそれなりに違和感を持つ可能性があります。また低域の質感を前面に出している最近の洋楽では強い低音が強くなりすぎてボワついたり籠もりを感じる場合もあります。そのため、低音はパワフルで重量感もありますが、ボーカル曲を下支えし臨場感を与えるためのチューニングで、低音好きの方が好まれる低域とはちょっと異なる点は注意が必要です。
■ まとめ
というわけで、「DUNU X KOTO ITO」は当初から記載されている通り、かなり好みに偏った印象のイヤホンに仕上がっていました。所感については前述の通りですが、個人的には、これだけ数多くのイヤホン製品がリリースされている昨今に置いては、全てが似たような製品ばかりというのもつまらないと思いますので、例えば「見た目に特化」とか「低音に特化」みたいな攻めた製品がリリースされることは非常に良いことだと思っています。私のブログでも過去には「メタル特化型ヘッドホン」としてフラット傾向のヘッドホンをわざわざ「変態チューニング」(笑)してリリースしたアイテムなども紹介していますし、確信犯的に「偏った」製品をリリースできるということ自体は幸せなことだと思います。
今回の「DUNU X KOTO ITO」はJ-POPなどのボーカル曲と相性が良いとされつつも、好みに合うかどうかは正直なところ人によると思います。その意味で、前述の通り店頭での販売を前提とすれば良いのですが、HiFiGoを中心に無試聴で購入する場合はウィークポイントになる可能性があります。できればSIMGOTのように2種類の傾向のサウンドフィルターを備えて選択肢を与えるアプローチができればより買いやすくなるかもですね。とはいえ様々な制約の中で日本のレビュアーとしてコラボモデルを攻めた内容で実際に製品化したという実績は先駆者として評価すべきでしょう。今後マーケティング的にも成功することを陰ながらお祈りしています(^^)。