Moondrop Harmon (和鳴)

こんにちは。今回は 「Moondrop Harmon (和鳴)」です。Moondrop(水月雨)の「XTMシリーズ」の新モデルです。10mmフルサイズの1DDと水平対向2DDを同軸配置した独特な3DD構成が特徴的な製品ですね。巷では最近発売されたTAGO STUDIOコラボの「Harmon-SP」の話題も増えていますが、個人的な好みという側面も含め、こちらではオリジナルモデルのほうのレビューとなります(^^;)。

■ 製品概要と購入方法について

Moondrop Harmon(和鳴)」はMoondropのXTM Series(クロスオーバー技術シリーズ)の新モデルで、10mm中高域用ダイナミックドライバーと10mm水平対向2DD低域用モジュールによる同軸構成4チャンバー・3DD構成のモデルです。
同社の「XTM Series(クロスオーバー技術シリーズ)」は従来の枠にとらわれない設計思想でクロスオーバー制御を行う試みで、独創的な技術を投入し、既存ラインとは一線を画すアプローチで革新的な製品を生み出すことを目指しています。既存モデルでは「Moondrop Meteor」が同シリーズに含まれます。
→ 過去記事(一覧): Moondrop製品のレビュー

今回の「Moondrop Harmon(和鳴)」はXTM Series「XTM-3DD」タイプに位置づけられた製品で、独自の音響構造を採用し、3基の10mmダイナミックドライバーを4つのチャンバーを極めてコンパクトなシェルに収めることに成功しています。 このコンパクトなシェルデザインは「HeyGears」とのパートナーシップに基づく高精度3D-DLPプリントにより複雑な音響構造を安定した品質で実現しています。
Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon (和鳴)

また「Moondrop Harmon(和鳴)」のドライバー構成について、中高域用の10mmダイナミックドライバーは、振動板に新たなガラス成形技術を活用しμ単位の薄さを持つ「ガラスドーム複合振動板」を採用。ガラスドームは従来の金属振動板を大幅に上回る剛性と優れたダンピング特性を持ちます。ここに柔軟性の高いエッジを組み合わせた複合振動板とすることで繊細な高域表現に加え非線形歪みを低減し中音域の厚みを向上します。
さらに低域用に2基の10mmダイナミックドライバーをMoondrop独自の「水平対向ダイナミック構造」で構成し、磁気回路効率を向上。ダイナミックレンジを拡大し、低歪みで力強い低域を実現しています。また各ドライバーはN52ネオジム磁石とCCAWボイスコイルを採用しています。
Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon (和鳴)
そしてMoondropは最新鋭の高度施設にて調整を実施。困難とされる複数の大口径ダイナミックドライバーによるHRTFに基づく最適化を実現し、同社のVDSF Target Responseに高精度で適合させています。さらに「Moondrop Harmon(和鳴)」では特許技術による4チャンバー構成によりクロスオーバー制御における問題を徹底的に排除。全体域で一貫した位相特性を実現しています。

Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon (和鳴)

Moondrop Harmon(和鳴)」の価格は349.99ドル、日本国内では40,500円で販売されています。

Amazon.co.jp(Moondrop公式ストア): Moondrop Harmon(和鳴)


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで「Moondrop Harmon(和鳴)」ですが、例によって海外版で国内販売前に購入しています。現在は国内版も発売されており、そちらを購入した方が普通に低価格だったりしますね。
Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon (和鳴)

パッケージ内容は、本体、ケーブル、交換式プラグ、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、レザーケース、説明書、保証書など。
Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon (和鳴)

本体はDLP-3Dプリントによる樹脂製で金属製のフェイスプレートを備えています。10mmのダイナミックドライバーを同軸配置で3基並べたかなり奇抜な構造のためシェル形状も独特ですが、装着部分はシングルダイナミック機のようなコンパクトな設計で装着感は良好です。ただイヤーピースはMoondrop製品で毎回付属のグレーのタイプなので、フィット感の良いものに交換する方がよいでしょう。
Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon (和鳴)
フェイス部分は金属製でダイヤモンドカットによる幾何学でクールな印象を与えます。
シンプルながら只者では無い雰囲気を醸し出していますね。
Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon (和鳴)
ケーブルは布張り被膜の4芯タイプ。コネクタは0.78mm 2pin仕様。いちおう本体側に窪みがあるため、CIEM仕様が推奨ですが、突起が浅い中華2pinでもリケーブルは可能。プラグはネジ止め式で3.5mmと4.4mmが付属。後述の通り多少駆動力が必要なこともありType-Cは付属しません。この辺でも既存シリーズとは一線を画している感じがうかがえますね。


■ サウンドインプレッション

Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon(和鳴)」の音質傾向はニュートラルで癖の無い自然な印象のサウンド。バランスはハーマンターゲットカーブ(H-2019)と親和性が非常に高く、同社の「VDSF Target Response」に忠実な印象のU字寄りの弱ドンシャリ傾向です。伸びのある高域、フラットで癖の無い中音域、豊かさのある低域を持つサウンドで、歪みが少なく解像度と透明感に優れる、いわゆる美音系の音作りが特徴。
既存の「Blessing2:Dusk」や上位機種の「DARK SABER」、そして最近の「Meteor」などにも通じる、Moondropの王道のサウンドチューニングといえるでしょう。要するに個人的にも大好きなサウンドですね(^^)。

そのなかでも「Moondrop Harmon(和鳴)」はフルサイズのダイナミックドライバーをを3基同軸配置とし、そのなかでも低域用ウーファーの2基は対向配置を採用するという、「キワモノ感しかない(笑)」ドライバー構成により、自然な滑らかさや透明感を維持しつつ、マルチドライバーらしい豊かさと温かみを備えています。
「Meteor」のレビューでも記載しましたが、多くのブランドがフォーカスしがちな中音域または中高域はMoondropはすでに既存のモデルで一定の回答を得ているため、最近の製品はそれらの回答を踏襲しつつ、様々な技術的アプローチに挑戦をしています。「Meteor」では非常に巨大なハウジングにより低域用ドライバーで距離を稼ぐ配置を実現することで、スピーカーのような豊かな低域と音場感を実現していました。

Moondrop Harmon (和鳴)今回の「Moondrop Harmon(和鳴)」は「Blessing3」以降育ててきた水平対向配置によりアイソバリック的なブーストを得る2DDウーファーを中高域用ドライバーの後方に同軸配置し、特許技術のキャビティ構造を採用することで強力な低域を「Meteor」同様に音導管のリーチを稼ぎながら再生する仕組みを極めてコンパクトなシェルに収めることに成功しています。結果ととしてダイナミックドライバーらしいダイナミックレンジの広い音作りを行いつつ、タイトでエネルギッシュな低域が、優れた解像感を維持しつつ自然な温かみと深く広い音場を提供しています。

Moondrop Harmon(和鳴)」の仕様はインピーダンス19Ω(±15%)、感度114dBと一見するとそれほど鳴らしにくそうではありませんが、3基のフルサイズドライバーをしっかり鳴らすためには相応に駆動力が必要です。小型のオーディオアダプターなどでは多少暗く淡泊な印象で満足のいく印象にならない可能性もあります。必要に応じて4.4mmのバランス接続プラグを使用し、十分な駆動力と分離性をもったDAPやアンプ等でしっかり鳴らすことが望ましいでしょう。

Moondrop Harmon (和鳴)Moondrop Harmon(和鳴)」の高域は伸びやかで見通しの良い印象で再生されます。実質的にフルレンジで駆動し、中高域を表現するガラスドーム複合振動板ダイナミックドライバーは金属振動板のような硬質さとは音色が異なりより自然でやや繊細さも感じる印象ですが、音像表現は正確で分離もよく、高域に透明な印象を与えています。そのため音数の多い曲でも窮屈に感じたり滲んだりすることはありません。またいわゆるメリハリがあるV字系サウンドのような元気さや力強さとは異なる印象のため、より微細な音まで明瞭かつ丁寧に描写される印象ですが、反面多少優しくゆったりと感じる場合もあります。個人的には美音系で良いと思いますが、硬質感のあるサウンドを好まれる方には多少物足りないかも知れませんね。

中音域は、癖の無いニュートラルな音を自然に鳴らします。非常にパワーのある低域用2DDウーファーを後方に備えつつもガラスドーム複合振動板ダイナミックドライバーは歪みを抑え、解像感と分離が高く、同時に適度に温かみのある滑らかな音で再生してくれます。そのため印象と手は派手でも刺激的でも無く、見通しが良く自然です。
Moondrop Harmon (和鳴)またダイナミックドライバーらしい豊かさを持っている音像表現のため、ボーカル域は「Meteor」あたりと比較してf値的に酷似していても「Moondrop Harmon(和鳴)」のほうが調和感を持ちつつもより前面で濃さのある印象で再生されます。中高域のアクセントは最近の多くのU字傾向より自然で女性ボーカルの高音などはあまり目立ちすぎることはありませんが、緻密さや音像の綺麗さを感じさせ心地よく描写される印象。男性ボーカルはより厚みがあり自然な光沢と亜畳があります。
音場は自然な広さよ奥行きがあり、空間表現は正確さがあります。演奏との分離も適切で緻密ながら混雑することは無く、見通しの良い空間で多少ゆったりした印象で再生されます。適度な鮮やかさを持ち淡泊に感じることはありませんが、派手な演出も無く透明かつ自然です。

Moondrop Harmon (和鳴)低域は水平対向2DD(または「HODDUS」)の恩恵によりf値から読み取れる印象以上に豊かで主張のある音を鳴らします。「Blessing3」および「DUSK」のように「HODDUS」を搭載しつつもマルチドライバー構成でニュートラルバランスに調整されている機種に比べ、3DD構成の「Moondrop Harmon(和鳴)」は相対的に「HODDUS」による2DDウーファーユニットの存在感が強力で、エネルギッシュな印象とともに深く美しい描写が印象的です。とはいえ中高域同様にニュートラルバランスではあるため、V字傾向のレイヤー感を期待するとちょっと中低域の厚みが多く緩めな低域に感じる可能性がありますが、原音に忠実でかつ適度にブーストする印象により、低域成分が少ない曲では大人しく、多い曲ではより深く、力強く再生されます。派手さはないものの存在感があり、非常に上品で綺麗な低音だと思います。


■ まとめ

Moondrop Harmon (和鳴)というわけで、「Moondrop Harmon(和鳴)」はMoondropらしい実験的な試みを満載しつつも非常に同社らしい美しいサウンドにまとめられた完成度の高いイヤホンだと感じました。
サウンドバランスはこれまでミドルグレード以上のマルチドライバー機で実現していた「VDSF Target Response」に忠実な印象のU字寄りの傾向を3DD構成で踏襲しつつ、フルレンジで中高域を鳴らす、メインのガラスドーム複合振動板ダイナミックドライバーが優れた解像感と分離性、歪みの少なさを実現しつつ、硬質過ぎない自然なサウンドを実現していました。また「HODDUS」(水平対向2DD)によるウーファーは低域に強いエネルギーを与え、適度に温かく、全体的に豊かな音場感と深みを与えていました。そのため「Moondrop Harmon(和鳴)」は、いわゆる「Moondrop」らしいニュートラルサウンドを好まれる方には非常に魅力的な選択肢となることは間違いないでしょう。
いっぽうで、よりV字傾向的なリスニングサウンドを好まれる方には同様の傾向の他の機種同様に豊かさの割にメリハリやキレの良さがもっと欲しいと感じる場合もあります。ちなみに「Moondrop Harmon(和鳴)」にはTAGO STUDIOコラボした「Harmon-SP」バージョンもあり、そういったニーズには多少は応えるチューニングになっているようです。この辺は好みで選んでみるのも良いかもですね。なお、言うまでも無く、私自身、個人的にはオリジナルのほうが好みです(^^;)。


タグ :
#Moondrop
#構成:3DD
#コネクタ:CIEM-2pin(埋め込み)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:200-399USD
#中華イヤホン(A300USD~)
#有線イヤホン:3万円台・4万円台