ZiiGaat Crescent

こんにちは。今回は「ZiiGaat Crescent」です。PET振動板とLCP振動板の種類の異なる10mmダイナミックドライバーを等圧構成で配置し、さらに特徴的な仕様を持つ2種類のKnowles製BAユニットを組み合わせた2DD+2BA構成のミドルグレードハイブリッドモデルです。U字寄りのニュートラルバランスにまとめつつ前回の「Luna」の解像感の高い明瞭サウンドとは真逆の、滑らかさと豊かさを重視したウォーム系のサウンドにまとめられています。

■ 製品概要と購入方法について

「ZiiGaat」は10年以上にわたってOEM/ODMで製品を提供してきた中国の製造メーカーが立ち上げた独自ブランドで、主にLinsoul系セラーで販売が行われています。主にミドルグレード以上のラインナップで精力的に新モデルをリリースしておりマニアからの注目度も非常に高いブランドのひとつです。

ZiiGaat Crescent」は2種類の10mm ダイナミックドライバーとKnowles製の2種類のBAドライバーによる2DD+2BA構成のハイブリッドモデルです。ハンドメイドによるシェルデザインを備えた「ZiiGaat Crescent」のサウンドは、アナログ感とレトロな響きを併せ持ち、ヴィンテージ真空管アンプの特性を彷彿とさせます。全体的に歯切れが良く、切れ味鋭いサウンドで、トランジェントも速いため、ノスタルジックでありながら新鮮な感覚を音楽に与えてくれます。 
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ZiiGaat Crescent」のドライバーは、等圧構成で配置された2基のダイナミックドライバーを搭載。10mm PET振動板ドライバーは、力強いキックの低音域を響かせます。また、10mm LCP振動板は、低音域と中低域のタイトな響きを保つためのトランジェントスピードを提供します。これら特性の異なるドライバーを等圧構成で組み合わさることで独特のビンテージサウンドを生み出します。
さらに中音域にはKnowles製「ED-30262-163」バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載。精度を保ちつつ、バターのような風通しの良い質感を備えています。高音域にはKnowles「RAD-33518」ツィーターBAユニットによって稼働し、音楽の微細なディテールまでも引き出します。 
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交換可能な0.78mm 2pinコネクタを採用した超高純度グレードの銀メッキ無酸素銅ケーブルが付属。交換式プラグを採用し、3.5mmおよび4.4mmプラグが付属します。イヤーピースは2種類の液体シリコンタイプが付属します。
シェルは医療グレードのレジンで3Dプリントされており優れた耐久性と軽量性を実現しています。各ドライバーは完璧なバランスを実現するために手作業で調整されており、全ユニットで個別にテストされています。同様にハンドメイドで生成されるフェイスプレートは堅牢なデザインに高級感と美しさを添えています。
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「ZiiGaat Crescent」の価格は279ドル、アマゾンでは42,980円で販売されています。

Linsoul(linsoul.com): ZiiGaat Crescent


Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): ZiiGaat Crescent ※タイムセール価格 36,533円


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

ZiiGaat Crescent」のパッケージは先日レビューした「Luna」同様に大型のケースが同梱されるため少し大きめのボックスサイズとなっています。今回も製品画像によるクールなパッケージデザインですね。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ、イヤーピース(黒と透明の2種類の液体シリコンタイプがそれぞれS/M/Lサイズ、ウレタンタイプが1ペア)、大型のケース、説明書、保証書。
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本体は樹脂製でステムノズルは金属製。側面にメッシュパーツが埋め込まれたベント(空気孔)があります。フェイスパネルにはブラックを基調にシルバーとバイオレッドの装飾がプリントされ落ち着いた高級感がありますね。
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シェルサイズはやや大きめですがステムノズル部のリーチがあるため装着感はまずまずです。「ZiiGaat Crescent」のシェルサイズは前回レビューした「Luna」とほぼ同じサイズですね。
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付属品も充実しており、「Luna」同様の大型のレザーケースとイヤーピースは形状の異なる黒色と透明の2種類の液体シリコンタイプがそれぞれS/M/Lサイズ付属します。最初から液体シリコンタイプのみ(いちおうウレタンタイプも1ペア付属)としているのも分かりやすくてい良いですね。
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ケーブルも「Luna」同様に従来より太さのある黒い樹脂被膜の4芯タイプ。太さにあわせて多少重くなっていますが被膜は弾力があり取り回しは良い印象です。プラグは中華2pinタイプで、一般的な2pin仕様のケーブルへのリケーブルも容易です。


■ サウンドインプレッション

ZiiGaat CrescentZiiGaat Crescent」の音質傾向は若干中低域寄りながらニュートラル方向の癖の無いサウンドで、バランスとしては自然なU字を描く弱ドンシャリ。派手すぎない適度な迫力と滑らかな音のつながりが印象的です。同社の1DD+6BA構成「Luna」が高い解像感と緻密な描写力を持つのに対し、「ZiiGaat Crescent」は等圧構成の2基のダイナミックドライバーにより低域の力強さと質感を強化し、全体的に温かみと雰囲気の良さを重視したチューニングとなっています。また、アイソバリック構成の2DDを持つ「THIEAUDIO HYPE2」の低域は密度感と一体感が特徴的なのに対し、「ZiiGaat Crescent」では異なる振動板のダイナミックドライバーを組み合わせることで、低域の強さを増しつつそれぞれのドライバーの特徴を活かしたチューニングを実現しており、全体としてアコースティックな楽器の質感や空気感をより自然に表現している印象です。
なお「ZiiGaat Crescent」の仕様はインピーダンス16Ω、感度112dB/mWで、比較的音量も取りやすい印象です。ただ小型のアダプターなどではやや暗く淡泊な印象になりがちなため、より駆動力のある再生環境でしっかり鳴らす方が低域の締まりや音場の広がりが向上し、鮮やかさも増します。リケーブルによる変化も感じやすく、ニュートラル寄りの傾向のため、特徴のあるケーブルを使用して変化を楽しむのも良いでしょう。

ZiiGaat CrescentZiiGaat Crescent」の明瞭な印象ながら高域は従来の「ZiiGaat」のハイブリッドに比べると若干暗めのチューニングでまとめられています。高域にはWBFK系の仕様を持つKnowles「RAD-33518」BAが採用されていますが、フルレンジの「ED-30262-163」を補完し、超高域の伸びを確保する程度の役割のような印象ですね。適度な温かみがあり、刺激はコントロールされています。自然な伸びのある滑らかな音でシンバルやストリングスも優しく響く印象ですね。解像感は一般的ですが必要な情報量を確保しつつ全体のバランスを維持した落ち着いた高音です。

中音域はU字寄りのニュートラルなバランスで凹むことなく癖の無い印象で再生されます。採用されているフルレンジのKnowles製「ED-30262-163」は、過去には「FiiO FH5」あたりで搭載されてたBAドライバーで、一般的に多く使用されるED系の「ED-29689」より大型で内部の振動部も大きく、豊かで温かみのあるボーカル域の再生などに特徴があるようです。また他のED系ユニットより比較的インピーダンスが高く、ドライバー間のマッチングが得やすいため、ハイブリッド構成でより滑らかでシングルダイナクック構成のようなサウンドを得るのに効果的とされています。
ZiiGaat Crescentそのため、より解像感の高い印象の「Luna」や、それ以外にもよりモニター的なチューニングで採用される「ED-29689」を使用した製品と比較的も、解像感より滑らかさや温かみを意識したサウンドに仕上がっています。
U字寄りの傾向のためボーカル域は若干前傾して定位しますが、音場は自然な広さと奥行きがあり窮屈さはありません。女性ボーカルの高音などには適度なアクセントあり伸びやかな印象で、男性ボーカルには厚みと量感があります。高域がやや暗めで中低域寄りのため、男性ボーカルのほうが多少豊かな印象になります。
自然な解像感ながら演奏との分離は適切で、アコースティックギターやピアノの音色も明瞭で、過度に前に出すことなく滑らかさを感じるバランスで再生されます。

ZiiGaat Crescent低域は等圧構成の2基のダイナミックドライバーにより、しっかりとした量感と厚みを備えながらもミッドベースはタイトに制御されており、重低音の沈み込みが豊かで力強さがあります。例えば「THIEAUDIO HYPE2」のような同一振動板のドライバーによる等圧構成(アイソバリック構成)のサウンドと比較し、力強さやエネルギー感は「HYPE2」のほうが高いものの、「ZiiGaat Crescent」では種類の異なる振動板のドライバーを組み合わせることで、等圧配置による強化を行いつつもそれぞれのドライバーの特徴を活かした雰囲気ある低音に仕上げられています。印象としてアコースティックな響きや空気感を自然に再現します。余韻の残し方も自然で、低域が全体の滑らかで温かみのあつ雰囲気を下支えしています。


■ まとめ

ZiiGaat Crescentというわけで、「ZiiGaat Crescent」は、最近増えてきた対抗配置、等圧構成の2DD仕様をさいようしつつも、種類の異なる振動板のダイナミックドライバーを組み合わせることで独特な豊かさのある低域を生成し、中高域のKnowles製BAも滑らかさや温かみを重視した構成でまとめられた、ウォーム系の高音質ハイブリッドという仕上がりになっていました。同社の「Luna」が緻密な描写力を重視するのに対し、「ZiiGaat Crescent」はアコースティックな質感と音楽的な雰囲気を前面に押し出しじっくりと音楽を楽しむのに最適な印象です。
温かみと厚みを備えた自然なサウンドは、ジャズなどのアコースティックな音源との相性が良く、またボーカル曲をより雰囲気のある印象で再生します。楽曲の空気感や雰囲気を楽しみたい場合に魅力を発揮しそうですね。

タグ :
#ZiiGaat
#構成:2BA+2DD
#ドライバー:LCP
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:200-399USD
#中華イヤホン(A200USD~)
#有線イヤホン:3万円台・4万円台