SIMGOT ET142

こんにちは。今回は 「SIMGOT ET142」です。2025年にはいってSIMGOTよりリリースされた平面磁界駆動ドライバーと多層PZT(圧電セラミック)ドライバーによるハイブリッド構成のミドルグレード製品です。両方のドライバーの特徴を活かしたSIMGOTらしいニュートラルなサウンドチューニングに加え、特徴的な4種類のノズルフィルターにより様々な表情を楽しめるイヤホンに仕上がっています。

■ 製品概要と購入方法について

SIMGOT ET142」はSIMGOTブランドにおけるイヤホン製品としては初めて平面自戒型ドライバーを搭載したモデルです。平面ドライバーを搭載した「ET」シリーズとしてはヘッドホン製品の「ET1000」がありますが、それから6年以上を経て新たに登場した「ET」シリーズの新モデルとなります。
→ 過去記事(一覧): SIMGOT製品のレビュー

SIMGOT ET142」では12.5mm 平面磁界駆動型ドライバーに加えて多層PZT(圧電セラミック)ドライバーをを組み合わせた1Planar+1PZTのハイブリッド構成を採用しています。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142
SIMGOT ET142」が搭載する12.5mmの平面磁界駆動型ドライバーはシンメトリーな両面グリッドアレイ磁気システムを備え、超薄型の平面振動板を卓越した精度で駆動。ダイナミックな低音、滑らかな中音域、そして精緻な高音域を、一貫した力で再生します。また、カスタム多層PZT(圧電セラミック)ドライバーは高音域と超高音域を洗練させ、音楽にきらめきと微細なディテールを加えます。この1Planar+1PZTハイブリッド構成により、豊かな質感、広がりのあるサウンドスケープ、そして滑らかで自然、そしてリアルな再生を実現します。
本体はCNC加工された合金構造を採用し、耐久性と美しさを両立。長時間のリスニングでも疲れにくく、快適な装着感を実現します。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142
さらに「SIMGOT ET142」は4種類の交換可能なチューニングノズルが付属します。
標準で装備される「Blazed Titanium/透明リング」ノズルは「SIMGOT ET142」の最も特徴的なノズルフィルターで、化学処理されたチタンチューブに高温の炎によるブルーイング工程を経て作られたノズルで、青や紫から赤や黄色まで個々に異なる色彩を持ちます。このノズルは、高音域が広がり、開放感があり、クラシックや楽器の演奏に最適です。
他にも、「Gold-Plated Copper/黄色リング」ノズルは幅広いリスニングに最適な温かみのあるバランスの取れたチューニングで、2種類のステンレススチール製ノズルのうち「ステンレス/赤リング」ノズルは明瞭さと精度が向上した、洗練されたサウンドプロファイル、「ステンレス/黒リング」ノズルはスムーズでダイナミックなチューニングで、全周波数帯域にわたってバランスの取れたレスポンスを実現します。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142
そして、「SIMGOT ET142」はフラグシップグレードの「プレミアムLC7ケーブル」が付属。合計732本の高純度無酸素銅と銀メッキ線をリッツ構造に組み合わせ、解像度とダイナミックレンジを向上させています。プラグは交換可能で3.5mmと4.4mmのプラグが付属します。

SIMGOT ET142」の価格は249.99ドルです。
Linsoul(linsoul.com): SIMGOT ET142


AliExpress(HIFICHOI): SIMGOT ET142


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージは製品画像を載せたシンプルなデザイン。SIMGOT製品は製品ごとにパッケージの化粧カバーのデザインを変えているのが面白いですね。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142

パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換プラグ、交換ノズルフィルター(ゴールド)、ステンレスノズルフィルター2種類および固定プレート、交換用リング、追加/交換用フィルター材、イヤーピース(3種類、ブラックのみ4サイズ、グレーとホワイトは3サイズ)レザーケース、説明書など。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142

本体は金属製のシェルで鏡面処理されたデザイン。12.1mmサイズの平面ドライバーとPZTドライバーは直列配置のためシェルサイズは非常にコンパクトです。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142
特徴的なブレイズチタンのノズルフィルターが標準では装着されており、熱処理ブルーイング加工された独特のグラデーションを持ったチタンノズルが印象的な外観になっています。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142

ステムノズルはこの「Blazed Titanium/透明リング」以外に3種類が付属します。ノズルフィルター付きのモデルは多くありますが、このような組み合わせは結構個性的ですね。
傾向も「Blazed Titanium/透明リング」または「Gold-Plated Copper/黄色リング」の2種類と、ステンレスノズルの「Stainless Steel/赤リング」または「Stainless Steel/黒リング」の2種類で好みを選ぶ、という感じに設計されているようです。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142
また「Blazed Titanium/透明リング」または「Gold-Plated Copper/黄色リング」の2種類のノズルは、内部にフィルター材が詰められていませんが、別途用意されているスポンジフォームのフィルター材を入れることで高域の刺激を抑える変化があります。つまりノズルフィルターだけで4種類+フィルター有り2種類の6種類の変化を楽しめる仕様となっています。
さらにイヤーピースも標準タイプの白色タイプ、台形タイプの赤軸/グレータイプ、開口部が広く浅い形状の黒色タイプの3種類が同梱されており、これらによる印象の変化も含めるとさらに多様なバリエーションを楽しめる仕様となっています。
SIMGOT ET142SIMGOT ET142
そしてケーブルは結構太さのある2芯撚り線でプラグは交換式。太さとともに多少重量があるため屋外で気軽に、というタイプのケーブルではありませんが、被膜は弾力があり、取り回しは比較的良好です。


■ サウンドインプレッション

SIMGOT ET142」の音質傾向はニュートラル方向でバランスとしては自然な印象のU字傾向。ただ4種類のノズルフィルターにより特に多層PZTドライバーの効果が明確に出る中高域から高域にかけてのバランスが大きく変化し、またロングノズルについては材質の違いによる変化もかなり感じる点がとても印象的です。

SIMGOT ET142パッケージを開封時、「SIMGOT ET142」の4種類のノズルフィルターには正直なところちょっと困惑しました。なぜチタンと銅のロングフィルターと、ベースに固定されたショートのステンレスフィルターが2種類の2系統のフィルターなのか。一般的なノズルフィルターというと、標準タイプがあって高域強化と低域強化が選べる、みたいな組み合わせが多いのですが、、「SIMGOT ET142」のフィルターはそのような感じではありません。確かにSIMGOTの他の製品も「SIMGOTのターゲット」と「ハーマンターゲット」準拠のフィルター、のように単純な高低とは異なるフィルターを備えていたものはありましたが、それらと比較しても「SIMGOT ET142」の4種類のノズルフィルターは異質でちょっと分かりにくく感じます。

しかし実際に聴いてみることで、その意図は非常に良く理解することができます。まずショートノズルで定位を若干変更し、内部のノズル口径とフィルター材で調整された2種類のステンレスノズルは中高域から高域にかけてのピークを抑え、ハーマンターゲットに近いバランスで刺激を抑えた聴きやすいサウンドに調整されています。そのなかでも「Stainless Steel/赤リング」ノズルはメリハリがありリスニング的な明瞭感があるバランスで、「Stainless Steel/黒リング」ノズルはよりニュートラルですが多少あっさりした印象でまとめられています。

SIMGOT ET142これに対し、ロングノズルの「Blazed Titanium/透明リング」および「Gold-Plated Copper/黄色リング」の2種類はより耳穴奥で定位し、フィルター材を入れないことで、多層PZTドライバーによる非常に伸びのある鮮明な中高域から高域のピークをより実感出来ます。特に「Blazed Titanium/透明リング」ノズルは硬質なチタンにさらに「焼き」を入れることでさらに非常にシャープなサウンドに仕上げており、逆に「Gold-Plated Copper/黄色リング」は柔らかい銅材をしようすることで強いピークをもちつつもウォームな印象で、ボーカル曲などがより華やかな印象になるよう仕上げられています。
ただ高域のピークが強いため、特に「Blazed Titanium/透明リング」ノズルでは鋭い音は鋭く、相応に刺さり等の刺激もあるため、苦手な方向けに、スポンジフォームによるフィルター材が同梱されています。これをピンセットなどでノズル内部に入れることでピークが抑制され、刺激を抑えた聴きやすい印象に変化しますが、明瞭感やメリハリにも相応に変化があるため、好みで使い分ける感じでしょう。

個人的には最も鮮明な高域を持つ「Blazed Titanium/透明リング」ノズルと、聴きやすい今どきのバランスにまとめつつ適度な明瞭さと鮮やかを持つ「Stainless Steel/赤リング」ノズルが好印象でした。また普段聴く楽曲や最近のJ-POPや女性ボーカルのアニソンが中心の方であれば「Gold-Plated Copper/黄色リング」ノズルのほうが「Blazed Titanium/透明リング」ノズルより相性が良く感じるかもしれませんね。

SIMGOT ET142SIMGOT ET142」の高域は多層PZTドライバーにより明るく直線的な音を鳴らします。個人的にSIMGOTは高域好きが好むチューニングを心得ている「音作りが上手い」ブランドのひとつだと思っていますが、平面ドライバーとPZTを組み合わせた製品のなかでも直線的で見通しが良い印象を感じさせます。特に今回もっともこだわっている「Blazed Titanium/透明リング」ノズルでは非常に鮮烈な高域を描写しており、優れた解像感と分離感、そして透明感をもっていると感じます。ただ最近のトレンドでは強すぎると感じる可能性もあり、ステンレス製の2種類のノズルを用意する周到さも感じます。

中音域は従来の同社製品よりはっきりしたU字傾向で凹むことなく再生されます。平面駆動ドライバーらしいニュートラルで歪みの無いサウンドを再生しますが、どのノズルフィルターを選択しても淡泊になりすぎず(強いて言えば「ステンレス/黒リング」ノズルは多少あっさり)、かといって過度に強調したような鮮やかさや色づけも無く、見通しが良く透明感のある印象の中で自然で生き生きとした音で再生されます。
SIMGOT ET142また分離も良く、ボーカル域と演奏は立体的に定位し、解像感も高く表現も豊かです。「Blazed Titanium/透明リング」ノズルが最も寒色寄りでシャープな印象で、「Gold-Plated Copper/黄色リング」ノズルは明瞭ながらボーカル域は適度に温かみと柔らかさがあり、「Stainless Steel/赤リング」はこれら2種類のロングノズルよりメリハリは抑えていますが自然な温かみと要所を押さえた明瞭感が心地よく感じます。「Stainless Steel/黒リング」ノズルはニュートラルで最も癖の無い音を鳴らします。

低域はニュートラルバランスながら若干ブーストされており、最適なリスニングバランスで調整されています。高域のピークを抑えたステンレスノズルでは相対的に低域は強めに感じますが、特に「Stainless Steel/赤リング」は中低域寄りのバランスとなり、より包み込むような立体的な音場感で没入感のあるサウンドを楽しめます。
SIMGOT ET142また高域の強い「Blazed Titanium/透明リング」や、「Gold-Plated Copper/黄色リング」ノズルでもニュートラルバランスで存在感のある低音を鳴らし、不足を感じることは少ないでしょう。
ミッドベースは直線的で締まりが良く、中高域との分離も適切です。心地よいインパクトと歯切れの良いアタックがあり、適度なエネルギーにより存在感を感じさせます。また重低音は深く沈み、かつタイトで解像感のある音を鳴らします。地響きのような低音とは異なりますが、適切な重量感とキレの良さで音数の多いEDMやハードロックなどもしっかり鳴らしてくれる印象です。


■ まとめ

SIMGOT ET142というわけで、「SIMGOT ET142」はSIMGOTのイヤホン製品としては初めての平面駆動ドライバー搭載、ヘッドホン製品も含めた「ET」シリーズとしても6年以上ぶりのモデルとなります。さらに多層PZUドライバーを組み合わせ、いかのも同社らしいドライバーの活かし方でサウンドチューニングが行われていたのが印象的でした。
また4種類(正確には2種類のロングノズルと2種類のショートノズル)のノズルフィルターのポジション設定など、やはり他社とは異なるアプローチが興味深いですね。
200ドル台のミドルグレード製品で、全体的な質感と、多彩なフィルター設定、そして高域の質感などにこだわりたい方には興味深い選択肢のひとつになると思います。



タグ :
#SIMGOT
#構成:1Planar+1PZT
#ドライバー:平面駆動
#ドライバー:PZT
#価格帯/グレード:200-399USD
#中華イヤホン(A200USD~)
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin