水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」

こんにちは。今回は 「MOONDROP RAYS (光束)」 です。「Moondrop(水月雨)」のゲーミングモデルですね。USB専用モデルの「MAY(梅)」をベースにした1DD+平面ドライバーのハイブリッド構成を採用し、専用のチューニングを実施。よりゲームギア的な印象をもったカラーリングも魅力的でアプリやWebでの詳細なチューニング対応など、今後の同社の展開にも期待できる仕様となっています。

■ 製品概要と購入方法について

MOONDROP RAYS」は多くのプロゲーマーとの共同チューニングにより生まれたプロフェッショナル向けのゲーミングイヤホンです。「Moondrop(水月雨)」は多くのオーディオマニアだけで無く様々なプロゲーマーにも愛用されており、そのニーズに対応するため広範なリサーチを実施し現状を徹底的に分析・最適化。その結果として音響技術とソフト・ハード両面の開発力を融合させ「MOONDROP RAYS」が誕生しました。
→過去記事(一覧):Moondrop製品のレビュー

MOONDROP RAYS」では同社が持つ音協技術およ先進設備を駆使し、高性能ドライバー、高性能DSPサウンドチップ、AIノイズキャンセリングマイク、チューニングためのプラッフォフォームなど複数の技術を組み合わせ、さらに各ゲーム分野のプロゲーマーと共同でチューニングを実施しています。
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MOONDROP RAYS」のドライバーにはフルレンジのダイナミックドライバーをベースにシャーシ内に直列配置された高域用平面駆動ドライバーを搭載。1DD+1Planarハイブリッド構成により超広帯域の再生と低歪みを実現し、過渡応答にもすぐれています。ディテールをクリアに再現し、立体的でリアルな音響空間を楽しめます。正確な定位と圧倒的な臨場感でゲーム体験を引き上げます。

また、USB Type-CインターフェースにはHiFi音質を実現するDSPサウンドICチップを搭載。マイクコントロール部にはNPUプロセッサを搭載したAIノイズキャンセリングマイクを搭載し、騒音の中でもクリアな通話を実現します。また本体ケーブルに加え、1.5mmの延長ケーブルを同梱しており、デスクトップ環境でのハードなプレイでも有線環境で遅延無く使用できます。
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MOONDROP RAYS」はデフォルトではMoondropが基準とする「VDSF Target Response」にほぼ完全に一致したチューニングを実施し、純粋で美しい音を忠実に再現。さらにMonondropが提供するAndroid用アプリに加え、専用のWebプラットフォームでの詳細なチューニングに対応。マルチポイントPEQ(パラメトリックイコライザー)を搭載し、プロゲーマーによるチューニングやカスタムチューニングを実施することが可能です。
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MOONDROP RAYS(光束)」の価格は99.99ドル。国内では12,870円で販売されています。
Amazon.co.jp(Moondrop公式ストア): MOONDROP RAYS(光束)


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

とうわけで、先月まで依頼対応のレビューを集中的にやっていましたので、8月からは購入済みイヤホンもぼちぼちレビューしていきます。「MOONDROP RAYS(光束)」ですが私が購入したのは海外版で3ヶ月近く前。現在は上記の通り既に国内版も発売されており、そちらを購入した方が普通に低価格だったりしますね。
水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」

MOONDROP RAYS(光束)」のパッケージ内容は、本体、ケーブル(USB Type-C DSP仕様)、延長用(USB Type-C → Type-A)1.5mmケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、レザーケース、説明書、保証書。
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本体は3Dプリントによる樹脂製で金属製のフェイスプレートを備えています。ステムノズルがやや太めですが耳にフィットしやすいデザインでイヤーピースを合せれば遮音性もそこそこ良い印象。イヤーピースはMoondrop製品で毎回付属のグレーのタイプなので、フィット感の良いものに交換する方がよいでしょう。
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MOONDROP RAYS(光束)」のドライバーはフルレンジのサファイア蒸着層複合フレキシブルサスペンション振動板ダイナミックドライバーと、8,000Hzを超える超高域を補完する6mm 環状平面磁気ドライバーによるハイブリッド構成で、ひとつのドライバーシャーシに直列配置で収納されています。グリーンのシェルは多少透過性があるためドライバーシャーシの実装されている様子が確認出来ますね。
水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」
ちなみに「MOONDROP RAYS(光束)」のシェル形状は「MOONDROP MAY(梅)」とほぼ同一で使用している樹脂および表面処理、フェイスプレートにプリントされたデザインといった相違点ですね。実際仕様も同様に1DD+1Planar構成でインピーダンス30Ω、感度120dBと同じですので、「MOONDROP RAYS(光束)」は「MAY」をゲーミング用にカラー変更及びチューニング変更を行ったモデル、という解釈でよさそうですね。
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ケーブルは本体カラーにあわせてグリーンの被膜の4芯線で、「MAY」のケーブルとはUSB Type-Cコネクタやマイク部分の形状は同じですが線材は弾力があり手触りの良い樹脂被膜で覆われているなど意匠が異なります。取り回しなどは「MOONDROP RAYS(光束)」のケーブルのほうが絡まりにくく多少使いやすい印象。さらにゲーミング用途を意識した1.5mmの延長(先端はType-A)ケーブルが付属するのも興味深いですね。


■ 「Moondrop Link」アプリ(Android版)、Webオンラインツール(PC/Mac)による設定

MOONDROP RAYS(光束)」のUSB Type-Cコネクタに搭載されているDSPチップは専用アプリ及び新たに用意されたWebオンラインツールによって設定を変更することが可能です。
Android用の「Moondrop Link」スマートフォン用アプリはGooglePlayまたはMoondropサイトのリンクからダウンロードします。既にUSB接続のMoondrop製品を使用し「Moondrop Link 2.0」を使用している場合はそのまま認識するはずです。
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アプリを起動するとプリセットによる「チューニング変更」と、ユーザーのイコライザー設定を利用できる「オンラインインタラクティブDSP」のメニューが利用できます。「チューニング変更」では標準の「Default」のほか「FPS1」「FPS2」「Rhythm Game」「3A Game」の各ゲーム向けのプリセットが用意されています。この辺のプリセットがゲーム用なのが特徴的ですね。
「オンラインインタラクティブDSP」ではMoondropまたはユーザーコミュニティにて公開視されているイコライザーの設定値およびカスタム(右上のアイコン)による設定も可能。
どちらの設定もイコライザー設定を適用すると、ケーブル側のDSPに保存され、いったんケーブルが再接続されます。この設定は変更するまでは別のデバイスにつなぎ替えても適用されるため、あらかじめスマートフォンで設定した後に、その設定値を反映したままゲーム機などにつなぎ替えて利用することが可能です。
水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」
ほかにもアプリ自体の画面をダークモードに変更できるほか、壁紙などの変更も可能です。

ちなみに、「Moondrop Link 2.0」アプリはiPhone用もありますが、iOSの制限により設定をケーブル側に書き込むことができないため「MOONDROP RAYS(光束)」には未対応です。そのため、ゲーム機などと同様、WindowsやMac等のPCで次のWebツールを使用して設定をあらかじめ書き込んで利用する方法になります。
Web経由でのオンラインツールは以下のURLからアクセスします。
MOONDROP Online Equalizer Tool(https://hub.moondroplab.tech/)


サイトにChromeまたはEdgeでアクセスすると、接続確認のページが表示されるため、「MOONDROP RAYS(光束)」を接続し、選択のうえ確認します。無事認識されれば各メニューが利用可能になります。Webツールで利用できる項目も基本的には「Moondrop Link」アプリと同じで、画面表示もダークモードとライトモードを切替えられます。
水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」
イコライザーのカスタム設定はPC上の広い画面で行えるため、アプリ版より詳細な設定が可能なのがよいですね。こちらも設定を行うと本体側に保存され、以降は別デバイスに接続しても再設定まで適用されます。


■ サウンドインプレッション

MOONDROP RAYS(光束)」の音質傾向は音質傾向はニュートラル方向のバランスのよいサウンド。傾向としては若干のU字に近い弱ドンシャリ。同様の構成を持つ「MAY」がいわゆるリスニングバランスで少し低域を持ち上げて緩やかにV字方向のチューニングにまとめられているのに対し、「MOONDROP RAYS(光束)」はよりVDSFターゲットに準拠し、「KATO」や「Kadenz」寄りのチューニングが行われています。またインピーダンス30Ω、感度120dBとスマートフォンなどでも音量の取りやすい仕様となっており、DSPチップ搭載のUSB Type-Cアダプター専用機として十分な駆動をしてくれる印象ですね。

水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」高域は刺激はコントロールされており高域は聴きやすくまとめられています。中音域はほぼフラットで癖の無い音を鳴らし、正確な定位感で空間を表現します。音場に窮屈さは無いため広く感じますが、過度に拡張せず、まさに「ゲームに勝利するための表現力」を持っている印象。低域は直線的なミッドベースと重低音があり、タイトさとともに滑らかさを感じる印象です。ゲーミング用途としてと「SE215SPE」みたいなオールラウンダーな使い勝手だと思いますが、リスニング用としても「KATO」などの往年の「いかにもMoondrop」なニュートラルバランスが好みの方であればデフォルトの状態で楽しめますし、アプリやWebでPEQを変更することでより詳細にチューニング変更ができるため、より幅広いユーザーに対応出来そうな実力は持っていると思います。

MOONDROP RAYS(光束)」の高域は、明瞭で伸びのある音を鳴らしつつ刺激を抑え聴きやすくまとめられています。超高域用のツィーターとして6mmの平面駆動ドライバーを搭載しますが、過度に存在感を主張せず、音量をあげても歯擦音などはほぼありません。ハイハットなどのシンバル音も明瞭に鳴り、平面ドライバーは自然なトーンで見通しの良さと空気感を与えてくれている印象です。ただし解像感や分離は平均的で100ドル級でも「Aria 2」には及びません。そのかわり滑らかさがあり、自然な印象で必要な音を描写する感じですね。

水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」中音域は癖の無い音を鳴らします。「デフォルト」のチューニングの場合、バランスとしてはほぼフラットで、ボーカル域が前傾したり特定の音が強調されるようなこともありません。そのためリスニング目的ではHiFi的な原音忠実性を持っている反面、多少淡泊な印象に感じることもありそうです。「デフォルト」では音場は左右に広く、奥行きは自然でやや浅い印象。個人的には「KATO」あたりに近い印象を持ちましたが、高域同様に解像感や分離、そして透明感などは及ばないため、「MOONDROP RAYS(光束)」の場合は、リスニング目的であればアプリまたはWebのPEQで若干のV字方向に調整し、多少前後のレイヤー感を出した方がよりハッキリとした印象のサウンドに変化すると思います。
いっぽうで本来のゲーミング用途であれば、正確な空間表現と細かい音を適切に描写するディテール表現はかなり有効に働くでしょう。また明瞭ながら自然な音像表現で滑らかさもあるため、長時間のプレイでもストレスなく楽しめるのではと思います。

水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」低域はニュートラルで直線的な印象で調整されています。同様のドライバー構成を持つ「MAY」はより重低音にかけてブーストされており、比較すると「MOONDROP RAYS(光束)」の低域は多少控えめな印象となります。またミッドベースは直線的ながらタイトというより滑らかな印象の音像表現で、特に強めのアタックは柔らかめに描写されます。これは爆音など強い音による耳への負担を考慮したチューニングでしょう。いっぽうでスピード感は早く、音数が多くても混雑すること無くクリーンな印象で描写されます。そのため重低音など低域の強さを求める方にはあまり向きませんが、もちろん、アプリやWebのPEQで変更することは可能です。


■ まとめ

水月雨「MOONDROP RAYS (光束)」というわけで、Moondropによるゲーミング向け製品としてリリースされた「MOONDROP RAYS(光束)」ですが、ゲームギアぽくアレンジされた外観もさることながら、「Moondrop」らしいニュートラルサウンドをベースに低域のアプローチなどゲーム向けを意識したチューニングがしっかり施されていたのがとても印象的でした。個人的には当初はもっと解像感や分離感を高めるサウンドかと思っていたのですが、「MOONDROP RAYS(光束)」は思いのほか滑らかさを重視した印象だったことが興味深く感じました。
eスポーツ用ギアとしてのIEMというと「SE215SPE」や「IE100 PRO」あたりが長年にわたって定番ですが、正確な定位感と優れた過渡応答を持ちつつ、激しいサウンドでもプレーヤーにストレスを与えない、という意味で自然な音像表現や滑らかさという点も重要なのだろうと感じます。
そしてさらに興味深いのは、「リスニング用途」としてもそれなりに使える製品に仕上がっていること。アプリやWebでPEQを変更しないデフォルトの設定でも「KATO」などのニュートラルなMoondropを知っている人には馴染みのあるサウンドバランスですし、PEQを変更してよりV字方向のバランスに変更しても「MOONDROP RAYS(光束)」は大きく破綻すること無く滑らかなサウンドを鳴らします。スマホと組み合わせた普段使いとしては多少マニアックではあるもののかなりオールラウンダーなイヤホンでは無いかと感じます。いちおう「MAY(梅)」との棲み分けはちゃんとされている印象ですが、Webでのイコライザ設定はもっと幅広い機種で対応してくれるといいな、と思いました。


タグ :
#Moondrop
#構成:1DD+1Planar
#価格帯/グレード:50-100USD
#中華イヤホン(100USD未満)
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#有線イヤホン:1万円台