Hisenior Cano Cristales

こんにちは。今回は 「Hisenior Cano Cristales」です。CIEMのオーダーメイドからスタートし、最近ではアッパーミドル級の高性能イヤホンメーカーとしてマニアの認知も広がっている「Hisenior」ブランドの8BA+2DD構成のモデルです。対向配置された2基のダイナミックドライバーにより非常にパワフルな低域を生成し、さらに入念なチューニングにより、想像以上に楽しい、快適なサウンドを実感出来ます。

■ 製品概要と購入方法について

「Hisenior」はカスタムIEMのオーダーメイドからスタートし、最近ではアッパーミドル級の高性能イヤホンメーカーとしてマニアの認知も広がっている中国のイヤホンブランドです。

今回の「Hisenior Cano Cristales」は同社の「WILD NATURE」シリーズの第2弾としてリリースされ、8基のBAドライバーと、新しいデュアル構成の液体シリコン複合振動板ダイナミックドライバーを搭載する8BA+2DD構成のハイブリッドモデル。
その外観はコロンビアの神秘「レインボーリバー」に着想を得て、ロイヤルバイオレットを基調に青、紫、金を混ぜ合わせたスタビライズドウッドを融合させ、特別に調整されたきらめくパールパープル仕上げが施されています。光の反射で川面のきらめきを再現し一組一組が異なる美しさを持ちます。
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Hisenior Cano Cristales」のドライバーには、10Hz超低域再生を可能とするHisenior初の液体シリコン複合振動板(L.S.C.Diaphragm)ダイナミックドライバーをデュアル構成で搭載。
さらに中音域用に4基の共同設計によるBellsing製カスタムBAユニット、高音域用に4基のKnowles製SWFKツィーターBAユニットで構成される8基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載。
2Low+4Mids+4Highsのドライバー配置による3-Way パッシブクロスオーバー設計で、10Hz-40kHzの超広域周波数を実現し、分離および解像度に優れ、クラシックやジャズなどの繊細なニュアンスも忠実に再現します。そして耳の自然な曲線を反映するように設計されたエルゴノミクスデザインのシェルにこれらの8BA+1DDのドライバーをコンパクトに収納し、優れた装着性を実現しています。
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ケーブルはUP-OCC高純度銅銀メッキ線(SPC)ケーブルが付属し、プラグは3-in-1のモジュラー構造を採用しています。さらに計14組の豊富なイヤーピースに加え、「Manatee Premium Leather Case」本革収納ケースなど充実したアクセサリーも備えています。
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Hisenior Cano Cristales」の価格は399ドル、アマゾンでは57,858円で販売されています。

AliExpress(Angelears Audio Store): Hisenior Cano Cristales


Amazon.co.jp(Angelears): Hisenior Cano Cristales


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Angelears Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

Hisenior Cano Cristales」のパッケージは製品写真を載せたデザインで化粧カバーの紙質も高級感があります。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ(3.5mm、2.5mm、4.4mm)、ケーブルフック、イヤーピース(5種類、合計14ペア)、クリーニングクロス、「Manatee Premium Leather Case」本革収納ケース。本革収納ケースは単品でもHiseniorの直販ストアで販売されています。
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本体は美しいパープルカラーのレジン製で、フェイスパネルもパープルカラーを基調としたスタビライズウッドで構成されています。ウッドパネルに染みこんだブルーの模様やゴールドの刻印がとても美しく仕上がっていますね。
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金属製のステムノズルは少し太めですが、シェルサイズは8BA+2DD構成としては結構コンパクトにまとまっており、装着感も良好です。シェルから内部のドライバー構成をある程度確認ができますが、ステムノズル直下に4基のミッドBAと4基のツィーターBAがダンパーを配した音導管に接続されているのが確認でき、ダイナミックドライバーは8mmサイズのユニットが2基向かい合った対向配置となっているのがわかります。そして側面には金属パーツで補強されたベント(空気孔)が配置されています。
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イヤーピースはS/M/Lで3色軸で白色のバランスタイプ、同じく3色軸で黒色の低域タイプ、サイズごとにイヤピの色が異なる開口部が大きい(ソフトバランス)タイプがS/M/Lサイズ各2ペア、ウレタンが大小2ペアで、合計14ペアのセットが付属します。ただ個人的にはこれらは使わずに、いつもの液体シリコンタイプに交換してしまうのですが(^^;)。
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ケーブルはメタリックグレーの4芯撚り線タイプで線材はUP-OCCの銀メッキ線(SPC)。プラグ交換式で、最近はちょっと珍しくなってきた2.5mmタイプを含む3種類のプラグが付属します。適度に太さのあるケーブルですが取り回しは良いようです。


■ サウンドインプレッション

Hisenior Cano CristalesHisenior Cano Cristales」の音質傾向は、ニュートラルバランスをベースにしつつ対向配置された2基のダイナミックドライバーにより強力にブーストされた低域が心地よく響くドンシャリ傾向。
ニュートラルサウンドに対向配置2DDで低域ブースト、というと、やはり「THIEAUDIO HYPE」シリーズ、なかでも個人的には「Hisenior Cano Cristales」と同価格の399ドルの「HYPE4」(4BA+2DD)が思い浮かびます。実際、海外レビュアーが測定したf値を見るとこの2つのイヤホンは非常によく似たカーブを描くようです。ただ「Hisenior Cano Cristales」のほうがインピーダンス15Ω、感度113dB/mWと若干ですが反応が良く(「HYPE4」は17Ω、105dB/mW)、そのため「Hisenior Cano Cristales」はよりハッキリとしたメリハリのあるドンシャリ傾向で、非常に鮮やかに再生されるのが実感出来ます。

Hisenior Cano Cristalesなお、反応が良く比較的音量も取りやすいものの、ホワイトノイズを拾いやすい可能性もあるため、ノイズ特性の高い再生環境が必要です。また、両側合計20基のドライバーを稼働させるため必要電流量が多く、つまり消費電力が高いため、再生環境側は十分な駆動力があるほうが望ましいでしょう(低消費電力の小型オーディオアダプターの場合、出力を確保するために歪みやすくなる場合があります)。また「Hisenior Cano Cristales」は物理タイプのパッシブクロスオーバー、つまりダンパーなどのフィルターを音導管に備えることでドライバー間のクロスオーバーを制御する方式のため、抵抗により出力を調整する電子クロスオーバーに比べて再生環境による影響も大きいと考えられます。その視点からも、やはり十分な駆動力と高いノイズ特性があるDAPやアンプなどの利用が望ましいでしょう。

Hisenior Cano CristalesHisenior Cano Cristales」の高域はBAらしいスッキリとした明瞭さと伸びの良さを持ちつつ、刺激などは丁寧にコントロールされている印象を持ちます。適度な鋭さと鮮やかな煌めきを持ちつつ、刺さりやすい音域は調整されており、駆動力のあるアンプのハイゲインで鳴らしてもぎりぎり刺さらない印象で再生されます。Knowlesの定番ツィーターユニットであるSWFKを4基並列で鳴らすことで、超高域だけでなく高域全般(製品ページの記載を元にすると3kHzより上の帯域)をカバーし、BAらしい寒色系のスッキリした高音を鳴らしつつ歪みを抑え、解像感と見通しの良さを確保しています。

中音域は凹むことなく、明るく明瞭な音を鳴らします。バランスとしてはニュートラルで癖の無い印象。マルチBA特有の籠もりのようなものは皆無で高域同様にスッキリとしたサウンドで解像感は高くボーカル域との分離も良好です。Hiseniorと共同でカスタマイズされた4基のBellsing製フルレンジBAユニットは800Hz~3kHzのミッドレンジを担当し、やはり並列で再生されることで歪みを抑え、同時にやや前傾するボーカル域に僅かな温かみを与えることで自然な滑らかさも感じさせます。
Hisenior Cano Cristalesボーカル域はやや前傾するものの自然な位置で定位し、女性ボーカルの高音などの中高域に適度なアクセントがあり抜けの良い明瞭さがあります。また男性ボーカルも心地よい豊かさと深さを感じる印象で非常に心地よく感じます。前述の「HYPE4」と比較するとよりメリハリがあり鮮やかな印象ですが、ハイブリッドにありがちな人工的な印象では無く、自然な音像の中でより色彩が豊かな感じです。
音場は自然な左右上下とも自然な広さがあり、さらに奥行きは深くレイヤー感があります。演奏との分離は良好で、透明感も高いため、楽器も非常に瑞々しく、立体的な空間表現のなかで気持ちよく再生されます。

低域は強力にブーストされており、非常に深く強さのある重低音と、タイトで強いインパクトのあるミッドベースが全体を心地よく下支えします。対向配置された2基の液体シリコン複合振動板ダイナミックドライバーはエネルギッシュな印象で強いパンチ力と豊かな厚み、そして原音を正確に刻むタイトで直線的な質感を実現しており、同時に全体のニュートラルバランスを圧倒せず、かつ不足無くバランス良く再生されます。
Hisenior Cano Cristales個人的には300~400ドル級の製品の中では「HYPE4」の低域がもっとも気に入っていましたが、質感において「Hisenior Cano Cristales」も遜色無く、かつ耳に過度に負担を掛けない聴きやすさもあることから、結構やみつきになる聴き心地だと感じました。
ただし、量感も多く、非常にエネルギッシュな低域ですが、パワー重視の低音イヤホンを好まれる方のニーズとは異なる印象です。ミッドベースは直線的で締まりがあり、適切なインパクトとスピード感のあるアタックがあります。また濁りなどはほぼ皆無で明瞭な分離と解像感を持つ質の高さが印象的です。重低音は非常に深く厚みがあります。同時にタイトで過度に響くことなく、ニュートラルなバランスを維持します。


■ まとめ

Hisenior Cano Cristalesというわけで、「Hisenior Cano Cristales」はパープルカラーの美しいシェルデザインに対向配置の2基のダイナミックドライバーを含む8BA+2DD構成を収納した高スペックの400ドル級イヤホンですが、そのデザインと同時に、パワフルな低域を中心としたサウンドに驚きを感じました。
個人的な好き嫌いで言うと、「かなり好き」なタイプのサウンドです(^^)。ベースとしては今どきのニュートラルサウンドをベースとしつつ、高域は丁寧にチューニングすることで、十分な伸びの良さと煌めきがあり(最近は高域が控えめな製品が多いので、とても嬉しい)、さらに対向配置された2基のダイナミックドライバーは非常に強力な低域を生成し、バランスの良いドンシャリサウンドを生成しています。いっぽうで4基ずつのBAを並列は位置することで、多ドラながらシンプルな3Wayクロスオーバーにまとめ、「いかにもハイブリッド」な感じを抑制した滑らかさも感じるチューニングも非常に好感が持てます。また本文中に記載の通り再生環境によっては異なる印象となる可能性もあるイヤホンですが、この価格帯の製品は必然的にある程度のマニア向けとなると思いますので大きなウィークポイントにはならないでしょう。正直、私にとっては「思ったより相当良かった」ことで、レビューを一気に書き上げられるくらいには驚いたイヤホンだったと思います(^^;)。

タグ :
#Hisenior
#構成:8BA+2DD
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:200-399USD
#有線イヤホン:ミドルグレード以上(5万円前後~)