TRN Black Pearl

こんにちは。今回は 「TRN Black Pearl」です。DACチップにデュアル「CS43131」を搭載し、4.4mmバランス接続にも対応、スマートフォン側と独立したボリュームボタンを備えるなど必要十分な機能を備えつつ30ドル台、5千円台で購入可能なドングル型オーディオアダプターです。さらに「実質的な公式アプリ」もAndroid用に用意されており、同価格帯ではちょっと次元の異なるカスタマイズにも対応する「音質面」でも「機能面」でもかなり「遊べる」マニア向けなアダプターです。

■ 製品概要と購入方法について

TRN Black Pearl」はTRNのドングル型のオーディオアダプター製品です。同社でも既存モデルで「TE PRO」などの製品がありますが、実質的に50ドル以下の価格設定ながら性能面でも音質面でも必要十分な仕様を満たした製品となっています。

TRN Black PearlTRN Black Pearl

TRN Black Pearl」はDACチップに「CS43131」をデュアルで搭載し、32bit/384kHz PCM、DSD256のハイレゾ再生に対応します。インターフェースは4.4mmバランスと3.5mmシングルエンドで、3.5mmはマイク付きケーブルにも対応します。上位モデルの「TE PRO」と比較して搭載チップの変更のほか最大サンプリングレートを少し下げている(「TE PRO」は32bit/768kHz)点や液晶インジケーターを搭載せず、フォーマットごとにカラーが変わるインジケーターライト仕様とすることで、実質価格で50ドル以下、アマゾンでも5千円台の低価格を実現しています。

TRN Black PearlTRN Black Pearl

TRN Black Pearl」の価格は37.61ドル、アマゾンでは5,950円です。

AliExpress(TRN Official Store): TRN Black Pearl


Amazon.co.jp(TRN直営店): TRN Black Pearl


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして TRN Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TRN Black Pearl」はシンプルなパッケージ構成で、内容は本体、OTGケーブル(USB Type-C)、説明書。
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本体は57mm×23mm×13mm、25gと非常に軽量でサイズ的にも比較的コンパクトにまとまっています。また本体は金属製で表面/裏面は強化ガラスでシンプルながら美しい光沢感があるデザインとなっています。
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シンプルな製品ですが本体側面には+/-とマルチファンクションボタンが配置され、裏面には「TE PRO」から継承される基盤を透明部分で見せる意匠を部分的に再現しています。インターフェースは3.5mmシングルと4.4mmバランス。この価格帯の製品で音量ボタンがあり、さらにシングルエンドとバランス接続対応はかなりの価格破壊ですね。しかも3.5mmはTRRS(マイク付き)にプラグに対応と必要装備は一通り網羅しています。
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ボタンの操作はマニュアルによると+/-は音量で短く押す場合と連続で押す場合で多少挙動に違いがあり、マルチファンクションボタンは1回押しで再生/停止、2回押しで曲送り、3回押しで曲戻しとなるようです。


■ サウンドインプレッション

TRN Black PearlTRN Black Pearl」の音質傾向は比較的ドライで明瞭感のある音作り。TRNの寒色系サウンドと相性が良いスッキリした音作りです。音量ボタンはスマートフォン側の音量とは独立しており、より本体音量とスマートフォン側音量の組み合わせでより詳細な音量調整が可能です。
なお、後述しますが「TRN Black Pearl」は初期設定ではゲイン設定は「HIGH」に設定されており、敏感なイヤホンでは少し派手めの印象になる場合があります。高域または低域が強すぎる場合は、「LOW」に変更することでよりニュートラルな印象で楽しめます。この場合もノイズ特性は高いためホワイトノイズはほぼ皆無で透明感のあるサウンドを楽しめます。

TRN Black Pearl」のチューニングとしてはニュートラルですが明瞭感があり各音域の粒立ちが良いため、イヤホンの傾向に合せてV字やW字の傾向がよりハッキリ出る感じだと思います。DACの「CS43131」をデュアル、またはクアッドで搭載したオーディオアダプター製品は最近増えてますし、それ以上に搭載したDAPなどもありますが、DACチップ自体の癖はあまり無いものの、やはり多少エッジを効かせた音作りのほうが向いている印象ですね。

TRN Black Pearlちなみに、「CS43131」を搭載した低価格オーディオアダプター製品では、多少カマボコ寄りのチューニングでボーカル域が映える製品も結構あり、最近のU字傾向のイヤホンが増えている現状ではそちらのほうがニュートラルに感じやすい場合もあります。それらと比較すると「TRN Black Pearl」は多少メリハリ型になるのかもしれませんね。とはいえ、大抵のイヤホンでは元気に鳴り、非常に使いやすいアダプターだと思います。なお、100ドルオーバーでより余裕のあるアンプ回路を搭載したモデルはよりフラット方向で滑らかなサウンドで鳴らしますが、比較すると多少大人しめ、または地味に感じる場合もありますね。

ところで、「TRN Black Pearl」はUSB Audio Class 2.0に対応したデバイスのため、基本的にはスマートフォン、Mac/PCなど対応するデバイスで問題なく認識して利用できます。実際iPhoneやMacに接続して問題なく利用できましたし、Audirvanaでスペックを確認することもできました(MacではDSDはDoPとなるためDSD128までの表示)。
TRN Black PearlTRN Black Pearl
ただ製品説明で対応するデバイスについての詳細な記述はありませんし、またPC用のドライバー(ASIO)の提供も確認した限りありません。同製品がスペックに対して非常に低価格である理由のひとつとして、実質的にスマートフォン向け、特にAndroid向けに特化したデバイスとして割り切って設計されているから、という側面はあると思います。

いっぽうで、製品説明の主要な機能について記載された部分に「8バンドのEQ」と「録音のサポート」という記載があります。TRNから「TRN Black Pearl」専用の公式アプリはリリースされていませんが、Android用の「WALK PLAY」アプリを利用しての対応ということで、実質的にこのアプリが「公式アプリ相当」の扱いになっています。
「WALK PLAY」アプリについては製品マニュアルの記載や公式サイトにリンクなどもありませんし、GooglePlayへの公開もありませんが、apkファイルは以下サイトから入手可能です。
「WALK PLAY」アプリサイト(https://www.szwalkplay.com/)

このサイトからapkファイルを入手し、インストールすることで、接続した「TRN Black Pearl」を認識して各種設定を行うことが可能です。設定には「WALK PLAY」アプリ用のアカウントが必要ですが、適当なGmailアドレスなどでもアカウントは作成可能です。
TRN Black PearlTRN Black Pearl
この「WALK PLAY」アプリ、TRN以外にもEPZなどのオーディオアダプターも実質的に公式アプリとしているみたいですね。接続すると「TRN Black Pearl」の詳細なステータスのほか、ファームウェアの更新があった場合はこのアプリからアップデートが可能なようです。

実際の詳細設定は「LINK」から行い、EQでは製品説明記載の通り8種類のプリセットが選択可能になります。ほかにもカスタムEQでは非常に詳細なEQ設定が可能で、設定内容はオンライで公開し、ほかのユーザーと共有が可能です。
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また、同様に製品説明にあったマイクによる録音機能、そして各フィルターの設定や「DACの動作モード」、そして「ゲイン設定」もアプリから行うことが可能です。マニュアルを見る限りマルチファンクションボタンでは「DACモード」や「ゲイン設定」の項目の記載はなかったため、これらの変更はアプリが必須なのかもしれませんね。
「実質的な公式アプリ」という扱いのため自己責任な部分はあるものの、もともと30ドル台のオーディオアダプターとしてはかなり価格破壊なスペックなうえに、アプリでも他社と比較してもかなり詳細な設定が可能な印象です。このアプリを遊んでみるために「TRN Black Pearl」を購入してみるというのも十分にアリかもですね。


■ まとめ

というわけで、「TRN Black Pearl」は専用アプリの設定などちょっと初心者には敷居が高くマニア向けな部分はありますが、それらのハードルをクリアできる方には、30ドル台の低価格でかなり「実用的なサウンド」でかつ「かなり遊べる」オーディオアダプターを入手できると思います。
なお、アプリを使用しない初期設定ではゲイン設定は「HIGH」、DACモードは「CLASS-AB」に設定されています。「TRN Black Pearl」自体の音質傾向が多少メリハリ型のため、実際の出力よりパワフルに鳴る場合もあります。そのため敏感なイヤホンの場合は「LOW」ゲインに変更するとニュートラルな印象で楽しめます。
TRN Black PearlまたDACモードは通常は「CLASS-AB」(小音量向け、音量に関係なく一定の電圧をキープし安定した音質を維持するモード)での利用が良いと思いますが、「HIGH」ゲインでも鳴らしにくいヘッドホンなどの場合は「CLASS-H」(大音量向け、音量に合せて電圧を変化させるモード)に変更したほうが余裕を持って鳴らせる場合があります。カスタムEQ設定もかなり詳細に行うことができますし、この辺の細やかなチューニングが可能な点は、マニアであればかなり楽しめるのではと思います。
というわけで、お値段的にもかなりお手頃ですし、興味のあるかたはとりあえず購入してみるのをお勧めしますよ。個人的にもかなり楽しい製品だと思いました(^^)。

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