TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2

こんにちは。今回は 「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」です。「Truthear」の最初のモデルであり代表機種ともいえる「ZERO」が、ユーザーからのフィードバックと最新技術を得て、より進化しました。今回もCrinacle氏とのコラボにより、さまざまなアップグレードを加えつつも 60ドル台に抑えつつ、音質面ではさらにハーマンターゲットに準拠した高音質を実現してます。

■ 製品概要と購入方法について

「Truthear」は2022年に登場した深圳の新しい中華イヤホンブランドです。高度な音響設計技術とDLP 3Dプリンティングによる高精度シェルにより、低価格ながら高品質のイヤホンを相次いでリリースしています。MoondropやSoftearsなどと関係がある企業との情報もあり、同社は科学的で「成熟した」音作りについてのノウハウにより低コストの製品作りを得意としているようです。
最初の製品でCrinacle氏とコラボによる2DDモデル「ZERO」が非常に高い評価を得て以降、同社では3BA+1DDの「HEXA」、1DD構成の「HOLA」、2024年には「ZERO」シリーズの新モデル「ZERO:RED」、4BA+1DD構成の「NOVA」、低価格モデル「GATE」をリリースしています。
→過去記事(一覧): TRUTHEARブランド製品のレビュー

今回の「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」は「ZERO」シリーズの新モデルで、同社の最初の製品である「ZERO」の後継モデルともいえる製品です。構成としてはDLP 3Dプリンティングシェルに10mm+7.8mmの2種類のダイナミックドライバーを搭載する2DD仕様と「ZERO」を踏襲しつつ随所でアップデートが行われています。また今回も有名レビュアーのCrinacle氏がコラボで参加しています。
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TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」では搭載される10mm+7.8mmの2種類のダイナミックドライバーのうち、7.8mmドライバーでは継続して柔軟なPU(ポリウレタン)サスペンションとLCP(液晶ポリマー)ドーム振動板を使用しつつ、磁気回路を25%拡大、ドーム面積を50%拡大し、高周波性能を改善しました。この内部デザインを大幅な変更により拡張性が向上し、解像度に優れ滑らかで透明な高周波応答を実現しています。
さらに低域を担当する10mmドライバーもアップグレードし、新たに調整された振動板ではソリッドシリコンサスペンションはLCPドームと直線状になり、極細のボイスコイルの採用により非線形歪みをさらに抑制するなど低域の音質を向上。より深く迫力のある低音を期待できます。
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さらに、「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」ではこれまでの「ZERO」シリーズでのフィードバックを踏まえ、キャビティ構造およびクロスオーバー回路を再設計。結果としてダイナミックドライバーの変換効率を高め、感度が大幅に向上しました。またHeyGearsによる高精細DLP 3Dプリンティングによるシェルもフィードバックを踏まえて再設計されておりノズルサイズと角度を最適化することで全体的な快適性が向上しています。
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そして「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」では付属ケーブルも2芯294本の高純度銅線および銀メッキ線の同軸ケーブルが付属。通常モデルのほか、さらにマイク付きケーブルも同梱(ケーブルが2種類付属)のオプションも設定しています。

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」の価格は64.99ドル(マイク付きは69.99ドル)です。
またレビュー掲載時アマゾンでも10,000円(マイク付き10,768円)で販売されていました。
AliExpress(Truthear Official Store): TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2


Amazon.co.jp(LEAUDIO-JP):TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回は海外でのリリース開始とほぼ同時にオーダーしました。実は時差の関係でオフィシャルストアの発売開始よりちょっとだけ先にオーダーできたため、1~2日早めに届いたみたいです(^^;)。
購入したのはマイク付きケーブル無しの通常版です。
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パッケージ内容は本体、ケーブル、5Ωアッテネーター(インピーダンス増幅プラグ)、イヤーピースはシリコンタイプがS/M/Lサイズ、ウレタンタイプが大が3ペア、小が1ペア、レザーポーチ、イラストカード、説明書ほか。
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TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」の本体はHeyGearsの高精細DLP 3Dプリントによるレジン製で、従来の「ZERO」および「ZERO:RED」を踏襲しているものの、ステムノズルが少し細くなり、角度も若干変更になりました。
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それでもサイズ違いの2種類のダイナミックドライバーを並列で配置する構造のため結構大きめです。個人的には従来の「ZERO」「ZERO:RED」の太いステムノズルと付属イヤーピースはなかなか耳に合わなかったため、合せるイヤーピース探しにも多少苦労したのですが、今回は装着性はかなり改善されています。
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実際「ZERO」と「ZERO2」を比較するとフェイス部分の形状やサイズ感はほとんど同じですが、ステムノズルの形状やサイズは結構違うことがわかりますね。とはいえ「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」のステムノズルも一般的なイヤホンと比べれば結構太さがありますが、それでも装着性の向上およびイヤーピースの選択肢は格段に広がりました。
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また付属するイヤーピースは軸部分の口径やや大きめくらいのタイプになりました。イヤーピースを交換する場合も選択肢が増えたためより使いやすくなったと思います。
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またケーブルも「ZERO」「ZERO:RED」の付属ケーブルより太さのある2芯線タイプになりました。情報量がアップしているほか以前のケーブルは細くて結構絡まりやすかったため、全体的な取り回しや使い勝手も大きく向上していますね。また5Ωのアッテネーター(インピーダンス増幅プラグ)も同梱されます。「ZERO:RED」の付属品は10Ωアッテネーターでしたので、この辺のアプローチの違いも気になるところですね。


■ サウンドインプレッション

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」の音質傾向はU字寄りの弱ドンシャリ。2基のドライバーのうち中高域を担う7.8mmドライバーの進化が最も大きい改善点で、高域の伸びやかさや質感が非常に良く向上しました。また低域を担う10mmドライバーは滑らかさが増し、中高域との連続性が向上しました。いっぽうで「ZERO」より低域の量感は少し減っており、バランスとしてはよりニュートラルに変化しています。2025年の現在でこそ口径の異なる2DD構成は珍しくありませんが、同社の「ZERO」がリリースされたときは低価格でハーマンターゲット準拠のイヤホンを実現するための「コロンブスの卵」というか「目から鱗」的なアプローチでした。そして「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」では各ドライバーの性能向上とチューニングの改善により、改めて「ZERO」が目指したハーマンターゲットカーブ(H-2019)へのアジャストを強化した印象です。

なおオリジナルの「ZERO」はリリース当時、特に海外のレビュアーの間で非常に高い評価となったポイントとして「ほぼ完璧なハーマンターゲット準拠」ということがありました。しかし、実際に聴いてみると再生環境での変化が大きく、場合によっては中音域のフラットさ以上に高域や低域の派手さが目立った印象になったりしました。この再生環境による変化の大きさは今回の「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」においてもある程度踏襲しています。

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2ただ「Truthear」というブランド自体が低価格機から最上位の「NOVA」まで、比較的低価格で技術的視点での「高音質」を達成することを目的としているところがあり、例えばフラット寄りの傾向の「HEXA」は「お値段以上」的な意味で絶賛する評価があるいっぽうで、「面白みがない」「それ以上の何かがない」みたいな評価もあります。
そんな「Truthear」の製品のなかで「ZERO」については特に再生環境での変化が大きく、逆に言えば追い込みで変化を楽しむ「素材としての質の高さ」によりマニア的な評価も高いのかも、という気がします。
そういった(自分好みに追い込むための「素材」的なイヤホンとしての)視点では「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」もまた同様であり、質感が向上した「ZERO」であると言えるでしょう。ただそれが「Truthear」なりCrinacle氏が意図してることかどうかは分かりませんが・・・。

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」の高域は、「ZERO」と比較してもっとも進化したポイントです。「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」ではよりスッキリした伸びの良さががあり、解像感及び見通しの良さが向上しています。搭載された7.8mmドライバーの性能向上を実感しますね。
TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2チューニングとしてH-2019カーブへのアジャストをより高めているため、シンバル音は鮮明で質感も良く、鋭い音は鋭く明瞭に鳴ります。ただ高域好きの方が好印象を持つ反面、最近の聴きやすく刺激を感じやすい帯域をコントロールする傾向とは少し異なるため、刺さりや歯擦音などが気になる可能性もあります。なお付属のウレタンフォームタイプのイヤーピースを使用すると高域の刺激が抑制されます。「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」でウレタンタイプのイヤーピースの付属品が増えたのはこの高域を意識しているのかもしれませんね。

中音域はニュートラルで見通しの良い音を鳴らします。適度な主張があり凹むことはありません。高域同様に新しいドライバーにより解像感や透明度は「ZERO」「ZERO:RED」より向上しており、フラット寄りのバランスでありがちな「粗さ」はほぼ感じさせない印象。
TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2ハーマンターゲット的なU字バランスで女性ボーカルの高域などに僅かにアクセントがあり伸びやかで、逆に男性ボーカルの低域は少しあっさりしています。ただバランスとしてはほぼニュートラルなためボーカルが前傾した印象はあまり無く、演奏もボーカルも自然な位置で定位し、透明感の高い印象で綺麗に鳴ります。ボーカル域の定位感などについてはリケーブルや再生環境で変化しますし、中低域から低域については後述の通り5Ωアッテネーターを利用することで一気に増加します。音場は広がりなどはあまりないものの自然な広さと奥行きがあり、立体的な印象があります。全体的なバランスに非常にこだわっているイヤホンということもあり、空間表現は原音に忠実で心地よさがあります。

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2低域はニュートラルなバランスを維持しつつ、タイトでパンチ力のある音を鳴らします。
「ZERO」と比べるとミッドベースの量感はすこし控えめな印象となりますが、中低域から低域にかけて2DD的な印象はほぼ感じず、滑らかさのある印象でつながりの良さを感じます。
またリケーブルなどで変化するものの「ZERO」では少し浅い印象だった重低音が「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」では改善されており、より深く沈み込みがあります。ただ全体としては少しドンシャリ的な力強さもあった「ZERO」と比べると「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」ではよりニュートラルで相対的に中高域の主張が強めに感じるかも知れません。

個人的には「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」のニュートラルなバランスは好印象ですが、オリジナルの「ZERO」の低域の方が好みだった方もいらっしゃるかも。
TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2低域の量感が欲しい方は、付属の「5Ωアッテネーター」を使用することで、全体のインピーダンスが上がり音量は取りにくくなるものの低域の量感は大幅に増加します。これはこれで有りだとは思いますが、アッテネーター使用時の低域の質感的にはちょっと微妙な印象もあります。
低域の質感という意味では、ニュートラルながら中低域寄りにチューニングされている「ZERO:RED」のほうが好印象ですね。そのためハーマンターゲット寄りで低域の質感や量感を高めたい方は「ZERO:RED」を選択いただき、より量感の多い低域を好まれる方は他の製品を検討する方が良いかも、という気もします。


■ まとめ

というわけで、「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2」ですが、「ZERO」からの進化、というか、「Truthear」が人気ブランドのひとつとして成長する過程での技術的なフィードバックを得て改めて同じ目標で製品化したイヤホン、という印象を感じました。
オーディオ的な個性というか、面白みみたいな部分を出すことを敢えて目指さず、低価格帯の製品でターゲットとするサウンドに技術的アプローチを進める、という「Truthear」らしい生真面目さが、逆に圧倒的な個性を生み出している、という稀有な存在感がより際立った印象もあります。
TRUTHEAR x Crinacle ZERO:BLUE2イマドキのアプローチよりスペックを重視しているため、高音質化した高域は多少刺さりやすくなっており、その代替策でウレタンフォームのイヤーピースを増やしたりとか、ニュートラル方向にすることで低域が控えめになったという意見に対応するためにアッテネーターで低域をブーストする仕組みを用意するとか、ちょっとアプローチが(理屈的には正しいかも知れないものの)一般的でないところも、いかにも「Truthear」です。結果として今回もマニアにとっては遊びがいのあるアップグレードされた楽しいイヤホンができました。これでいいのかどうかはよく分かりませんが、マニアはとりあえず買っておくのも良いと思います(^^;)。


タグ :
#Truthear
#構成:2DD
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:50-100USD
#中華イヤホン(100USD未満)
#Crinacle
#ドライバー:PU+LCP
#ドライバー:LCP
#有線イヤホン:1万円台