Moondrop Meteor

こんにちは。今回は 水月雨「Moondrop Meteor - 流星」です。
3月26日から日本国内でもリリースされたMoondropの新しいマルチドライバーモデルですね。隕石の粉末を使った特徴的なフェイスプレートに13mmの大口径ダイナミックドライバー、2基のBA、4基のマイクロ平面ドライバーを搭載したトライブリッド仕様で、Moondropらしさを踏襲しつつリスニング方向に質を高めたバランスの良さと聴き心地を実感出来る高音質イヤホンです。

■ 製品概要と購入方法について

Moondrop Meteor(流星)」は日本国内でも3月26日から発売開始した「水月雨(Moondrop)」の新モデル。異なる特性を持つ複数のドライバーを巧みに組み合わせた、1DD+2BA+4Planar構成のハイブリッド型イヤホンです。
→ 過去記事(一覧): Moondrop製品のレビュー

Moondrop Meteor(流星)」の最大の特徴としてフェイスプレートには隕石の粉を使用。隕石に含まれるカマサイトやタエナイトといった地球外鉱物よって形成された「ウィドマンシュテッテン構造(Widmanstätten-Struktur)」と呼ばれる独特の質感とパターンが描かれます。この珍しいデザインは、小惑星の深淵部で数十億年かけて結晶化した過程を反映しており、宇宙の驚異のようなリスニング体験をイメージしています。
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Moondrop Meteor(流星)」のドライバーは、低域用のダイナミックドライバー(DD)、中音域用の2基のバランスドアーマチュア(BA)ドライバー、そして高域および広帯域をフォローする4基の平面駆動ドライバーを搭載。さらにXTMシリーズクロスオーバー技術を採用し、異なる片側3種類7基のドライバーを最適に配置。従来のイヤホンでは難しかった大型の低音域用ダイナミックドライバーの搭載にも成功しました。

低域用には13mmの大口径ダイナミックドライバーを搭載。複合ドーム振動板とN52 ネオジム磁石を採用し、超ワイドダイナミックレンジと低歪みを実現します。低音用DDには隕石パネルが組み込まれており、振動減衰とオーディオ品質が向上しています。
また高域を中心として4基のマイクロ平面磁気ドライバーを採用。ツィーターBAや静電ドライバーに比べてより歪みが少なく、高い解像度と滑らかな高音域を実現し、非常に詳細なリスニング体験を実現します。
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そして中音域にはカスタマイズされたデュアル構成のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載。音響ノズルの構造設計、ダンピング構成、そしてクロスオーバー回路により精密に調整されたこの2BAユニットは、革新的な高音域と低音域に対して自然で開放的な中音域を生成し、全体として完璧なバランスを実現します。
これらのドライバーは3Dプリントにより精密加工されたキャビティに配置され、ダイナミックドライバーの音響ノズル内には「アコースティックメタマテリアル」を採用したパッシブ型アコースティックノッチフィルター構造を搭載。4.7 kHzと7.2 kHzでのドライバー共振を排除するように設計されており、周波数スペクトル全体にわたってより滑らかで純粋なサウンドを実現します。
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水月雨「Moondrop Meteor - 流星」の価格は549.99ドル。日本での販売価格は76,500円です。
Amazon.co.jp(Moondrop公式ストア): Moondrop Meteor - 流星


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

私は日本国内版の発売前に中国Taobaoの水月雨旗艦店より直接購入しています。そのため付属品などで国内版と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
パッケージはいつものキャラ絵のよりちょっと雰囲気のあるデザインになっていますね。萌え絵パッケージが苦手な方が店頭購入でも安心仕様です(笑)。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換プラグ、イヤーピース(2タイプ、S/M/Lサイズ)、レザーケース、イラストカード、説明書、保証書など。
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3Dプリントによるシェル本体は、非常に巨大です。最近購入したイヤホンのなかでも間違いなく最大ですね。独特な「ウィドマンシュテッテン」スカルプチャが描かれた隕石パネルが異彩を放っていますが、同時にこのサイズの大口径ダイナミックドライバーがパネルの真後ろに配置されている構造も理解できます。太さと長さのあるステムノズルからは最も離れた位置に配置されており、独自のアコースティックノイズフィルターの「距離」を稼いでいることが確認出来ますね。
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低域を調整するためにもはや伝統的とも言える「Shure SE846」のローパスフィルターような独自構造を持つことは高性能イヤホンでは時々見受けられ、例えば最近だと「AFUL MagicOne」のように非常に長い音導管を埋め込むようなアプローチもあります。「Moondrop Meteor」では装着時にダイナミックドライバー部が耳から大きく露出するようなシェル形状を採用し、大口径ドライバーを含めたドライバー構成を調整するかなり大胆なアプローチを採用していることが伺えます。
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非常に大きなサイズのイヤホンですし、ステムノズルも太さがあるため、イヤーピースの選択はかなり重要となるでしょう。「Moondrop Meteor」ではこれまでもBlessingシリーズ等で3Dプリントによる太さのあるステムノズルは多くあり、それらの機種で同梱されていた軸の広いグレーのイヤーピースが付属します。さらにいわゆる「Softears U.C.」タイプの液体シリコン仕様のイヤーピースも付属します。多くの場合は、付属イヤーピースでしっかりと装着できると思いますが、密着感を向上した方が特に低域の印象は向上するため「SednaEarfit XELASTEC II」などを組み合わせるのも良いでしょう。また耳穴が細く、より小さいサイズのイヤーピースを必要とする場合は他にもXSサイズのある「NICEHCK C03/C04」や「SpinFit CP100+」などに交換するのも良いと思います。
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ケーブルは高純度銅線と銀メッキ線のミックス線タイプの4芯ケーブルが付属。プラグ交換式で3.5mmと4.4mmのプラグが付属します。コネクタは0.78mm 2pin仕様。適度に弾力のある被膜で取り回しは良好です。ただ例によって同社のより低価格のモデルと同様のケーブルであるため、もう少し良いケーブルを付属しても良いのでは、という意見もありそう。というわけで、私も何種類か高グレードのケーブルでリケーブルを試しましたが、多少再生環境での違いはあるものの、個人的には付属ケーブルでの相性も普通に良い印象でした。


■ サウンドインプレッション

Moondrop MeteorMoondrop Meteor」のサウンドは、ニュートラル方向、ハーマンターゲットカーブ寄りの弱ドンシャリ傾向。Moondropのマルチドライバー製品は特に「H-2019」ハーマンターゲットカーブとの親和性が高い印象がありますが、今回の「Moondrop Meteor」も非常に忠実度の高いバランスで調整されているようです。
これは、「Blessing2:Dusk」や「DUSK」、さらに上位モデルの「DARK SABER」にも通じるチューニングで、すごく大雑把に言えばこのグレードでの「いつものMoondropのサウンド」です。
しかし4基のマイクロ平面ドライバーによる高域と13mm大口径ドライバーと独自のサウンドフィルター構造による低域の質感と、全体的な音場表現では明らかに格段の進化を遂げていると実感させます。

個人的な印象ですが、少なくともミドルグレードのマルチドライバー機において、中音域のチューニングについては「Blessing2」または「Blessing2:Dusk」あたりの段階でMoondrop的な回答は得たのではないかと想像しています。そのため以降のモデルでは低域および高域の変化に挑戦したり、質感をアップデートしたり、といったことが製品ごとの主要なテーマになっているのではと思います。
分かりやすいモデルとしてはESTを試した「Variations」や対向ドライバーを搭載した「Blessing3」「DUSK」があります。これらの機種はMoondropは製品ごとのキャラクターを設定しつつも自社による「VDSF Target Response」に基づいた特性で一貫してチューニングしており、その系譜は今回の「Moondrop Meteor」においても受け継がれます。毎回何らかの点で攻め攻めの製品を作っているしパッケージは萌え絵なのにやってることはクソ真面目すぎる印象で、「Moondrop Meteor」においても、いぶし銀のように完成度を向上させていることを実感します。

Moondrop Meteorそのため、「Moondrop Meteor」に新鮮さを求める方には代わり映えのしない、少し退屈な音に感じるかもしれません。あるいは「良いけど突出した特徴は感じない」みたいな印象かも。確かに「Moondrop Meteor」はいつものMoondropです。それに今回こだわっている部分はおそらく中音域ではないため、ボーカル域を中心としたミッドレンジの質感にこだわる方には、「Kadenz」や「KATO」のような200ドル以下のシングルドライバー機と比較して、価格差以上のメリットを感じない可能性もあります。「Moondrop Meteor」の最大の特徴は、進化した「まとまりの良さ」に加えて、低域の圧倒的な質感と音場感だと思います。

Moondrop Meteor」の高域は、「DUSK」など最近のミドルグレードでのチューニングに準拠した印象。適度な量感を確保しつつ刺激を抑えた自然な音を鳴らします。マイクロ平面ドライバーを採用することでより歪みを抑え、直線的な伸びの良さを解像感の向上を実感させます。ちなみに平面ドライバーは「DUSK」が2基だったのに対し、「Moondrop Meteor」では4基にアップグレードされており、よりパワーアップした低域の主張にあわせて強化されています。そのため全般的に反応は良く、より鮮やかさや明瞭感が向上している印象もありますね。

Moondrop Meteor中音域はフラット方向のニュートラルさを感じさせつつ、ハーマンターゲット準拠のU字寄りの傾向のため、ボーカル域を中心に少し前傾して再生されます。「Moondrop Meteor」では製品説明にあるとおり強化された高域および低域とバランスをとったチューニングが行われているようで、完全にニュートラルではなく、鮮明さが若干強調されている印象もありますね。そういった意味では「DUSK」のようなCrinacle氏コラボ製品よりリスニング向け、ボーカル曲向けなサウンドと言えるでしょう。J-POPやアニソンも非常に心地よく楽しめます。
同時に解像感は高く透明感も優れており、中音域全体は癖の無い印象でボーカルは適切な距離で定位し、演奏は自然に分離します。音場も自然な広さを持ちますが、スピーカーのような深く立体的な低域の表現により、全体的にも不思議な広がりのある豊かさを感じさせます。またマスタリングされた音源の質による表現の違いも大きく、ランダム再生などで、しっかりとレコーディングされた音源が再生されたときに表現力の違いに「おおっ」と思う瞬間があります。いい音源の曲をじっくり聴きたくなる聴き応えのあるイヤホンです。

Moondrop Meteor低域はタイトでキレのある直線的な印象ながら、普通のイヤホンではあまり感じないタイプの空間的表現が特徴的です。非常に深く厚みのある音を出す13mmの大口径ドライバーが通常のイヤホンではほぼ考えられない距離の配置で再生され、さらに独自の音導管設計とクロスオーバー設計により、質の良いニアフィールドのスピーカーで聴いているような音場の広がりと自然な臨場感があります。
また中高域を含めた全体のバランスは非常に素晴らしく、長時間でもとにかく気持ちよく楽しい、という印象がありますね。
「Blessing3」や「DUSK」、または他社の対向2DDのブーストされた低域と比べると強さや重低音の重さなどの点ではニュートラル方向のバランスのため、リスニング的に物足りなく感じる方もいらっしゃるかも知れません。この点は再生環境やリケーブルなどで多少追い込む余地はあります。またイヤーピースは液体シリコンタイプで密着感を増すことで低域の量感は変化しますし、シェルサイズが大きいため多少工夫が必要な場合がありますが、少し小さめのサイズでできるだけ耳奥までしっかり装着するほうが良いでしょう。


■ まとめ

Moondrop Meteorというわけで、「Moondrop Meteor」ですが、個人的には非常に好きです。良いと思います。ただ記載の通り「こだわりのあるマニアなら一言ありそう」な要素(ツッコミどころ)も実はいろいろあって、手放しで褒めるとちょっとミーハーぽいかなと思うことも無いことはないのですが(汗)、まあ「好きなんだからそれでいいじゃん!」みたいな謎の説得力もある完成度かなと思います。
あえて「Moondrop Meteor」のウィークポイントを挙げるとすると、シェルデザインと隕石に振ってるのは分かるけどケーブルやケース等のアクセサリをもう少し下位モデルとは差別化して欲しい感があるのと、装着性もこのサイズでは頑張ってると思うけどあともう少し、という点と、私のようにミドルグレードのMoondropをほぼ全機種購入している人間にとっては(まずそんなヤツめったにいないだろう、というツッコミはともかく)、「Moondrop Meteor」もやはり「Moondrop」すぎるのでもう少し棲み分けが欲しいとか・・・まあ、どうでもいいと言えばどうでもいい点ばかりですね(^^;)。というわけで気になった方は試聴して良かったら買ってみてくださいね。

タグ :
#Moondrop
#構成:2BA+1DD+4Planar
#ドライバー:平面駆動
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:ミドル&ハイグレード
#有線イヤホン:5000円以上(1万円未満)